News 2002年3月27日 09:21 PM 更新

シャープ,液晶テレビAQUOS新製品を発表

 シャープが液晶テレビAQUOSの新製品としてC3シリーズ3機種(20V型/15V型/13V型)を発表。あわせて,「限りなく40インチに近い」液晶TVが,今年9月に登場することも明らかにした。

 シャープは3月27日,液晶テレビAQUOS(アクオス)の新製品として,20V型の「LC-20C3」(20万円,4月3日発売),15V型の「LC-15C3」(14万円,4月24日発売),13V型の「LC-13C3」(8万8000円,5月17日発売)のC3シリーズ3機種を発表した。


液晶テレビAQUOSの新製品

 C3シリーズは,AQUOSシリーズの上位モデルで採用されている同社独自の「ASV方式低反射ブラックTFT液晶」を搭載。前後・左右170度の広視野角で,輝度は450カンデラ/平方メートル,コントラスト比は500対1だ。「どの角度から見てもハイコントラストで,明るい場所でも鮮明な映像が見える」(同社)。


どの角度から見てもハイコントラストなASV方式低反射ブラックTFT液晶

 新感覚のデザインもAQUOSシリーズの特徴だが,今回のC3シリーズもC1やB1シリーズに引き続き,国際的なインダストリアルデザイナーの喜多俊之氏がデザインを担当している。前衛的なC1から,B1では無難なデザインに変わっていたが,今回のC3は両シリーズのよさを取り入れたデザインに仕上がっている。


前衛的なC1(左)とおとなしめのB1(右),C3(下)は両シリーズのよさを取り入れた

 今回のC3は,新開発の重低音専用ウーハーを加えた「2.1chサウンドシステム」や,BSアナログチューナーを内蔵したほかは,機能面で目新しいところはないが,注目したいのはその価格だ。特に20V型のLC-20C3は20万円となり,15型以上では初めてインチ1万円を達成している。  「パネルの歩留まり改善,機構回路の1チップ化などでコストダウンをはかり,従来モデルに比べて10〜15%のコストダウンに成功した」(同社)。

 液晶TVの市場は,昨年に松下電器産業が本格参入したほか,サムスン電子やLG電子といった韓国勢がワールドワイドでは健闘している。しかし,同社の独壇場であることには変わりがない。同社では現在,13〜30インチまで13機種という多彩なラインアップの液晶TVを発売し,2001年度の世界出荷は50万台に及ぶ。さらに「ここ3カ月は月産6万台規模にまで拡大している」(同社)という好調ぶりだ。

 同社常務・AVシステム本部長の濱野稔重氏は「C3シリーズのラインアップで,2002年度は世界で100万台を狙う」と強く語る。同社では液晶TVの2002年度市場規模を150万台とみているので,実に2/3のシェアを狙っていることになる。

今年9月に「限りなく40インチに近い」液晶TVが登場

 液晶TVで独走する同社だが,一方,競合他社は同じ薄型大画面TVでも“プラズマTV”に力を入れているところが多い。液晶TVの優位性は,長寿命ディスプレイと省電力性だ。自発光方式のプラズマTVは発光セル自体の寿命が懸念されるが,発光部がバックライトだけの液晶TVは,必然的にプラズマTVに比べて長寿命になる。また消費電力は,同インチではプラズマTVの約半分だ。

 一方,40〜60インチクラスがすでに製品化されているプラズマTVに比べて,大画面化が液晶TVの最大の課題といわれていた。しかし液晶TVも,一般家庭向けへの普及サイズといえる30インチは昨年達成している。さらに同社は「歩留まりなどコスト面の課題をクリアできれば,40インチまでは技術的にはすぐにでも製品化できる」と昨年から明言していた。

 このような液晶TVの大画面化について濱野氏は「下期の初めまでには,限りなく40インチに近いものを発売する予定。現在,画質調整など最終段階に入っている」と語り,“ライバル”プラズマTVの売れ筋サイズである37インチ以上の大画面液晶TVが,今年9月頃に発売されることを明らかにした。


同社の濱野稔重常務・AVシステム本部長

 同社は今年2月に,三重県亀山市に大型液晶テレビ生産工場を新設すると発表している。この亀山工場は,2002年9月に着工,2005年5月より生産を開始する予定だ。「パネルから商品まで一貫ラインで生産できる亀山の新工場ができたら,40インチ以上もぜひやりたい」と,液晶TVの大画面化にむけ,濱野氏の鼻息も荒い。

 「当社の液晶TVとブラウン管TVの比率は,台数面ではまだ及ばないものの,金額面では2001年度下期(2002年3月末)で液晶TVが上回る予定だ。台数ベースでも2003年度には逆転するとみている。そして亀山新工場ができる2005年には,液晶TVが当社の柱となる事業となっているだろう」(濱野氏)。

C3シリーズの主な仕様は以下の通り。

形名LC-20C3LC-15C3LC13C3
画面サイズ20V型15V型13V型
液晶パネルASV方式低反射ブラックTFT液晶
輝度450カンデラ/平方メートル
視野角上下・左右ともに170度
接続端子ビデオ入力×3,S入力×1,D1入力×1,アンテナ入力×1,ヘッドフォン出力×1
重さ(スタンド含む)約9キロ約5.9キロ約5.2キロ
価格20万円14万円8万8000円
発売日4月3日4月24日5月17日

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