News：100Mbpsの専用線も引けます――都市公団の“SOHO”住宅

News

2002年4月3日　08:44 PM 更新

100Mbpsの専用線も引けます――都市公団の“SOHO”住宅

　都市基盤整備公団は，住宅内に仕事を行うスペースを用意した賃貸型SOHO住宅を，東京・目黒に建設中の都心共同住宅内に設置した。100Mbps対応の専用線や打ち合わせに使える共用集会所など，「自宅で仕事」に考慮した設備が用意されているのが特徴だ。

　都市基盤整備公団（都市公団）は，住宅内に仕事を行うスペースを用意した賃貸住宅「SOHO住宅（施設付き賃貸住宅）」を，建設中の都心共同住宅内に設置。4月3日に，一般募集に先がけてマスコミ向けに事前内覧会を行った。SOHO機能を持った賃貸住宅は，都市公団では初の試みとなる。　

都市公団の賃貸型SOHO住宅

　SOHO住宅は，JR山手線の目黒駅から徒歩1分という好立地に建設中の団地「シティコート目黒」（東京都品川区）内に設置。シティコート目黒では，国有地だった約1万6700平方メートルの敷地に計4棟の団地が建設されており，入居戸数は484戸となっている。このうちの11戸がSOHO住宅として用意された。

　「仕事を行う空間を住宅に併設した，まったく新しいタイプの賃貸住宅」（都市公団）というSOHO住宅は，日常的な住居の「プライベートスペース」と，仕事用の「ワークスペース」が1住戸内に併設されているのが特徴となっている。

SOHO住宅内のワークスペース

　シティコート目黒では，WAKWAKピアルのインターネット接続サービス「BB-EAST」が全484戸で利用可能となっており，都市公団が政府のe-Japan戦略に基づいて新規建設物件に敷設したLAN配線を利用して，最大100Mbpsのインターネット接続が行える。居住者は月額1750円の定額料金で，高速なブロードバンド常時接続環境を手に入れることができる。

敷設されたLAN配線を利用したブロードバンド常時接続環境が手に入る

　ただし，100Mbpsの光ファイバーが引き込まれるのは，入り口の団地内収容施設までで，各住戸へのネットワーク敷設はメタル配線を使うFTTC（Fiber To The Curb）形式となっている。また，高速回線とはいえ484戸でシェアするため，常に高速接続が保証されているわけではなく，SOHOで利用するには心もとない。

　そこで，SOHO住宅のワークスペースには，住居部分とは別に最大100Mbpsの専用線（1回線分）が引き込めるようになっている。「この専用線はBB-WEST用として収容設備にきているのとは別の回線を使うため，SOHO用として安定した通信速度を確保できる」（都市公団）。

ワークスペースには，住居部分とは別に最大100メガbpsの専用線が引き込める

　そのほか，電話回線は，2回線が引き込める住居スペース用に加えてワークスペース用にさらに2回線が引き込めるようになっており，仕事用とプライベート用の電話を使い分けることができる。また，通常住居の電気容量は30アンペアで居住者の希望により50アンペアまで増量可能だが，SOHO住宅ではコピー機など大容量が必要なオフィス機器に対応するため，100アンペアまで増量ができるようになっている。

　11戸のSOHO住宅は，中庭を囲むように1階住居部分に用意されており，SOHOのコミュニティが形成しやすいようになっている。この中庭には全住宅共用の集会所（有料）も設けられており，業務の打ち合わせ用スペースとして利用できる。

中庭には打ち合わせに使える集会所を用意

　さらに，中庭側にワークスペース専用の玄関が用意されているのもSOHO住宅の特徴だ。「入り口をを2つ設けることで，一般生活の動線と，来客など仕事上の動線を完全に分離できる。ワークスペースと住居スペースの中間にトイレを配置して共用できるといった間取りの工夫もされている」（都市公団）。

トイレは共用できるようにワークスペースと住居スペースの中間に配置

　このSOHO住宅は，1K＋W（ワークスペース）から2LDK＋Wまであり，月額家賃は20万6000～26万6000円台となる予定。「この月額家賃は，シティコート目黒内の同じ広さの一般用住宅とほぼ同等の金額。SOHO対応だからといって，特別高くなっているわけではない」（都市公団）。

　都市公団では，SOHO住宅のワークスペースにおける業務として，設計やデザイン，執筆業，弁護士，IT環境を必要とするビジネスなどを想定しているが，法人登記の有無などは必要なく，個人でも入居可能だ。

　ただ，一般住居棟内にあるため，風俗営業や物販業，飲食業，レンタル業など，不特定多数が出入りしたり騒音を発するような業務・行為は禁止されている。「ただ，物販業でも通信販売など人の出入りがないものなら利用可能。逆に，設計やデザイン関係でも，不特定多数の出入りがあるようなら，お断りするケースも出てくる。基本的には，一般棟の住民に迷惑がかかるような業務はダメと考えてもらいたい」（都市公団）。

　SOHO住宅は，4月13日から第1次入居分として6戸の募集が行われ，6月下旬より入居が開始される。残り5戸分の第2次募集は，6月から行われる予定。

[西坂真人，ITmedia]

ITmediaはアイティメディア株式会社の登録商標です。