News 2002年4月4日 08:47 PM 更新

コダック,DPE店向けデジタルプリントソリューションを発表

 コダックが,デジタル化が進むDPE店の業務効率化をはかるためのソリューション「Kodak Easy Store Solutions」を発表した。

 コダックは4月4日,デジタルプリンティングの普及で複雑化するDPE店の業務効率化をはかるためのソリューション「Kodak Easy Store Solutions(コダック イージーストア ソリューションズ)」を発表した。急激に増加しつつあるデジタルプリントサービスのニーズに,DPE店が効率的に対応・処理することができるほか,低コストで導入できるため早期の投資回収が可能な点が特徴となっている。

 Kodak Easy Store Solutionsは,「店舗内のハード機器」「ピクチャーメーカーGC(PMGC)のアップグレードオプション」「店頭デジタル化サービスメニュー」の3つから構成される。

 店舗内のハード機器としては,今年6月に店頭セルフ受注端末「Easy Order Station」を,店頭セルフプリント端末「Easy Print Station」を今夏にそれぞれ販売する。  Easy Order Stationは,店内カウンターに設置可能なデスクトップタイプのセルフ受注端末。ユーザーはタッチパネル入力で,出力するサイズ/枚数の指定や,カレンダーやテンプレート合成などさまざまな形式がディスプレイ上で操作できる。プリントはPMGC経由でデジタルミニラボから出力される。「GUIの簡単な操作で一般ユーザーでも簡単に扱える。セルフオペレーションによって,DPE店の業務負担の軽減にもつながる」(同社)。


デスクトップタイプのセルフ受注端末「Easy Order Station」

 このEasy Order Stationにプリント機能を追加したのがEasy Print Station。神鋼電機の昇華型熱転写方式プリンタが内蔵されており,1枚あたり約15秒でプリントできる。1台でメディアのデータ転送(入力)からプリント(出力)まで対応できるため,デジタルミニラボなどのプリント設備もいらない。「低コストでデジタルプリントシステムが導入できる。他店との差別化,サービスの拡大が,これ1台で実現する」(同社)。


プリント機能が追加された「Easy Print Station」

 また,昨年からスタートした簡易デジタルプリントシステム「ピクチャーメーカーGC(PMGC)」のアップグレードオプションを6月以降に販売する。オプションでは,自店舗で処理できない大型サイズや加工を伴うデータを他店舗や現像所に自動転送する機能や,オンライン受注データを自動的に検出しダウンロードする機能,デジタル画像をオンラインフォトASPサイト「PhotoClick@Retail」のユーザーページに自動アップロードする機能などが用意されている。

 店頭デジタル化サービスメニューでは,従来から提供している「Picture CD」に加えて,フィルム画像をPhotoClick@Retailにアップロードする「Picture Online」を6月より,フィルム画像を携帯電話から閲覧・注文ができる「Picture Mobile」を今夏より,それぞれサービス開始する予定だ。

高まるDPE店でのデジタルプリント需要

 今回,同社がDPE店向けのデジタル化ソリューションを発表した背景には,DPE店へのデジタルプリンティングのニーズが急速に高まっているということがある。

 その理由について同社専務・デジタル開発本部長の大葉二良氏は「従来のデジカメユーザーは,30〜40歳代でPC歴5〜10年の男性が多かったが,このユーザーはデジカメの画像をプリントしようとせず,プリントする場合も家庭用プリンタを使って印刷していた。しかし,最近は,パソコン初心者や女性ユーザー,若年層へとユーザー層が広がっており,プリントをDPE店へ依頼するケースが多くなっている。銀塩フィルムで写真の楽しさを知っている女性や若年層は,もともとプリント率が高い」と分析する。

 デジタルプリントに積極的なDPE店では,プリント全体の30%がデジタルプリントになっているところもあるという。同社では,デジタルプリントがプリント全体(家庭でのデジタルプリントも含む)の60%にまで拡大すると予測している。

 「メディアの容量が大きくなっていることもあって,デジタルプリントの1件あたりの平均プリント枚数は50〜60枚になっている。中には1回の注文で300枚というケースもみられる。デジタルプリントの潜在的な需要は大きい。このニーズをしっかりつかめば,最近のDPEの落ち込みを十分カバーすることができる」(大葉氏)。

 今回のDPE店向けデジタルプリントソリューションは,DPE店業務の効率化がはかられるだけでなく,我々ユーザーが手軽にデジカメの高画質プリントを楽しめる環境の整備にもつながる。

 同社の堀義和社長は,今回の新ソリューション発表にあたって「コダックは約120年にわたり銀塩フィルムを手がけてきた。昨年,画像と情報のシームレスな融合をめざす“Infoimaging”を掲げてきたが,今期は特にデジタル化対応を推進し,写真市場のデジタル化啓蒙に注力していく。デジタル化のキーワードは,“Easyなオープンシステム”。誰もがその基礎技術にアクセスできることが重要となる。創業者のジョージイーストマンは,“あなたはシャッターを押すだけ,あとは当社にお任せください”という有名なフレーズを残した。デジカメのシャッターの押す比率は,従来カメラの4倍に及ぶといわれている。デジタルプリントによって,写真の持つ感動を今一度ユーザーに伝えていきたい」と話している。


「デジタル化対応を推進し,写真市場のデジタル化啓蒙に注力していく」と語る堀義和社長

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[西坂真人,ITmedia]

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