News 2002年4月19日 09:43 AM 更新

Baniasが動いた――WinHECでIntelがデモ

Baniasは,性能向上だけでなく省電力性との調和を取る,これまでのIntel製チップにない方向で開発され,来年前半にリリースが予定されているモバイルチップ。Intelは,開発が好調なところを見せつけた。

 米国シアトルで行われているハードウェア開発者向け会議「WinHEC 2002」の最終日,Bill Gates氏の後を受けて基調講演に立ったIntel社長兼COO(最高執行責任者)のPaul Otellini氏は,来年前半にリリースが予定されているモバイル専用プロセッサ「Banias」のデモンストレーションを行った。


現地4月18日,講演に立ったIntelのOtellini社長

 Baniasは,消費電力とプロセッサパワーのバランスを見直し,半導体技術の進化の方向を単純に性能向上だけに向けるのではなく,省電力性との調和を取る,これまでのIntel製プロセッサにはない方向で開発された新プロセッサのコードネーム。Baniasのファーストシリコンは先月テープアウトしたばかりだった。

 去る2月末に行われたIntel Developer Forum(IDF)Spring 2002では,Banias専用チップセットのOdumを使ったシステムの実働デモが行われたが,このときのデモンストレーションでは,プロセッサにBaniasではなくPentium 4(Northwood)が使われていた(2月28日の記事参照)。このデモは先日IDF Japanでも行われている。Baniasはプロセッサバスの電圧仕様に変更があるものの,信号ラインやバスプロトコルはPentium 4と同じであるため,電圧変換を行うことでそのようなデモを行うことができる。

 しかし,今回Otellini氏の基調講演で紹介されたのは正真正銘のBaniasだ。同氏はBaniasをワイヤレス機能の統合とともに紹介。デモは出先でのテレビ再生やネット電話でのコミュニケーションといった地味なものだったが,来年前半のリリースに向けて開発が好調なところを見せつけた。


IntelがデモンストレーションしたBaniasとOdumを搭載した試作マザーボード

 Baniasのアーキテクチャを採用するプロセッサは,当初ハイエンドのノートPC向けにリリースされるが,現行のモバイルPentium IIIと同様に,薄型ノートPC向けや小型ノートPC向けに低電圧,超低電圧といった,動作電圧と消費電力の違いによるバリエーションモデルも展開されると言われている。

 また,Baniasと前後して,Intelはチップセットへの無線LAN機能の統合計画やシームレスなワイヤレス接続を行うためのソフトウェア技術の研究開発を行っており,2003年にはシームレスなワイヤレス接続が可能で,ハイパフォーマンスかつ長時間バッテリー駆動,小型・薄型化が進んだ製品を投入するという。

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[本田雅一,ITmedia]

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