News 2002年5月15日 10:36 PM 更新

ALPSのプライベートショーで、近未来の新技術をチェック!

アルプス電気がプライベートショー「ALPS SHOW 2002」を開催した。セットメーカー向けOEMのパーツ展示が中心だが、PCを構成する先進のキーデバイスが数多く紹介されるなど、一般ユーザーでも興味を引きそうな展示が多いのも特徴。注目アイテムをピックアップしてみた

 アルプス電気は5月15日、プライベートショー「ALPS SHOW 2002」を都内で開催した。セットメーカー向けOEMのパーツ展示が中心だが、PCを構成する先進のキーデバイスが数多く紹介されるなど、一般ユーザーでも興味を引きそうな展示が多いのも、このショーの特徴だ。近い将来、PCやAV機器などコンシューマ製品に採用されそうな注目アイテムをピックアップしてみた。

電動ローディング式メモリカードスロット

 今回のプライベートショーに合わせたのだろうが、ここのところ数週間、同社から次々と新技術や新製品が発表されている。

 まずコネクタの展示コーナーには、先日発表された「電動ローディング式メモリカードスロット機構」が展示されていた。メモリカードの挿入/排出を電動で行うというシステムで「記録中のメディアを誤って排出してしまい、データを破損させるといったことを防げる」(同社)という。 メモリースティック用とSDメモリーカード用の2種類があり、メモリースティック用ではCD-ROMドライブのようにトレー方式の電動ローディングも参考出展されていた。


電動ローディング式メモリカードスロット機構

 誤操作防止だけでなく、手動式に比べて高級感も演出できることから、ミニコンポやTV、DVDプレーヤーといったデジタル家電への搭載をメインターゲットとしている。一方、電動化のためのモーターがユニット自体のサイズを大きくしてしまうため、モバイル機器やノートPCには搭載しづらいとのことだった。

メディアプッシュタイプの3in1コネクタ

 もう1つ、メモリースロット関連で目を引いたのが、メモリースティック/SDメモリカード/マルチメディアカードの3種類のメディアを1スロットで対応できるメディアプッシュタイプの「3in1コネクタ」。これも、今月10日に発表されたばかりの新製品だ。


3種類のメディアを1スロットで対応できる「3in1コネクタ」

 SDメモリカード/MMC用端子をスロット挿入口付近に、メモリースティック用端子をスロット奥に配置することによって、挿入状態で記録メディアの露出部分の長さを3種類とも同じにした。独自の「端子保護機構」によって、メモリースティックを挿入するとき、前部にあるSDメモリカード/MMC用端子にメディアが接触して接点部が曲がったりてしまったり、メディア自体が傷つかないようにしている。「すでに数社のPCメーカーの採用が内定している」(同社)。

世界最小TVチューナーユニット

 デスクトップPCではTV機能内蔵モデルが増えているが、ノートPCとなると本体にTVチューナーを内蔵しているものは少なく、NECのLavie Tなど一部のA4ノートPCぐらいだった。しかし、このTVチューナー内蔵化をB5サイズ以下のミニノートにまで広げそうなのが、昨日発表したばかりの世界最小TVチューナーユニットだ。


世界最小TVチューナーユニット(右)と従来タイプ(左)

 カスタムIC化や高密度実装技術などにより、40(幅)×20(奥行き)×5(高さ)ミリと、容積比で従来タイプの約半分のサイズにTVチューナー機能を収めた。これだけ小さくなると、液晶ディスプレイを搭載した小型情報機器に、TVチューナーがどんどん搭載される可能性が出てくる。「液晶モニタ搭載ポータブルDVDプレーヤーやDVカメラ、PDAなどでもTV放送が楽しめるようになる」(同社)。

あの“マイクロドライ”の技術が、こんなところに…

 コンシューマPC分野で同社の知名度を上げたのは、マイクロドライプリンタだろう。2000年12月に店頭販売から撤退したが、一部ユーザーで根強い人気のあった溶融型熱転写方式は、フォトプリンタ用ユニットに受け継がれていた。


フォトプリンタ用ユニット

 フォトプリンタ用ユニットは、同社の得意分野。例えば、キヤノンのフォトプリンタ「CP-10/CP-100」に使われているユニットが、同社の昇華型熱転写方式を採用している。しかし、昇華型は印刷時に大量の電力を使うため、モバイルプリンタには本来不向きとされていた。

 実際、キヤノンの製品でも、CP-10は小型軽量にもかかわらずAC電源駆動のみで、バッテリ駆動に対応したCP-100もフル充電で18枚しか印刷できない。一方、低消費電力が特徴の溶融型熱転写方式は、バッテリ駆動などフォトプリンタのモバイル化に向いている。現在同社では、この溶融型熱転写方式をセットメーカーにアピールしているという。

 「昇華型は印刷時に50ワットを超える電力が必要。一方、溶融型では4〜7ワットで印刷できるため、単3アルカリ乾電池での駆動も可能となる」(同社)。


溶融型は単3電池駆動も可能な低消費電力

身に付けることも可能なポインティングデバイス

 ノートPCの薄型化に貢献しそうなのが、フィルム基板を採用した「フィルムグライドポイント」。ガラス系基板を使用した従来タイプは、センサ部が約2.5ミリほどあったが、フィルムグライドポイントは約0.6ミリと従来の1/4の厚さとなっている。「このような大幅な薄型化によって基板自体を湾曲させることもでき、腕など曲面への搭載も可能にした」(同社)。


ウェアラブル情報端末のポインティングデバイスとして利用することも

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[西坂真人, ITmedia]

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