News 2002年5月23日 09:53 PM 更新

データ放送も提供へ 日韓W杯に勝負をかけるスカパー

スカパーが、双方向のデータ放送サービスを拡充する。W杯の開催にあわせ、6月4日より出場国情報や勝敗表などを配信する「サッカー!プラス」を開始する

 デジタルCS放送「SKY PerfecTV!」運営のスカイパーフェクト・コミュニケーションズは5月23日、双方データ放送サービスの強化を目的として、「SKY Perfec TV! Plus」(スカパー!プラス)を開始すると発表した。その1つとして、日韓W杯の開催にあわせ、6月4日よりサッカー専門データ放送コンテンツ「サッカー!プラス」(CH.551)を提供する。日韓W杯の全試合を無料放送で加入者を伸ばしているスカパーだが、同時に、データ放送サービスを立ち上げることで、さらなる加入者増を狙う考えだ。

 スカパー!プラスを利用するには、既存サービス用のデジタルチューナーに専用アダプタ「スカパー!プラス対応アダプタ」(6月中旬発売予定。価格未定)を取り付ける必要がある。また、今年の秋をメドに一体型受信機「スカパー!プラス対応CSデジタルチューナー」を投入する予定だ。このスカパー!プラスサービスでは、受信機側にデータ放送用のアプリケーションを組み込まず、衛星からアプリケーションごとダウンロードさせるため、「通常のデータ放送と比較して表示速度が高速になっている」(同社)という。コンテンツは、XML/BML/HTMLで記述される。通信速度は、上りが2400bs、下りが1Mbps。


スカパー!プラス用アダプタ(上)と一体型チューナ(下)

 6月4日開始のサッカー!プラスでは、W杯の組み合わせ表や、順位表、出場国情報のほか、サッカーくじ「toto」の買目予想や投票状況、ならびにくじ結果などを配信する。また6月15日には、中央競馬専門放送「グリーンチャンネル」(Ch.388、Ch.389)において、データ放送用アダプタ/チューナをPAT(電話投票)方式端末として使用し、馬券を購入できるサービスを開始する予定だ。情報は30秒ごとに更新されるという。


サッカー!プラスではW杯情報だけでなく、Jリーグの勝敗表や得点ランキングといった情報も配信する。なお、スカパー!プラスは、分割画面で利用するサービスではないので、サッカー観戦中に詳細情報が知りたい場合は、その都度、チャンネルを切り替える必要がある

 スカパーでは、2000年12月より、NTTデータと共同でデータ放送サービスの運用を開始。競艇専門放送「レジャーチャンネル」において「オッズプラス」という双方向サービスを提供していた。そのオッズプラスは、スカパー!プラスにおいて、「JCLオッズステーション」という名称で提供される。

W杯後は……

 スカパーの加入者数は、2002年3月末時点で304万2000件。日韓W杯直前の5月に入ってから、仮登録が急激な伸びを示しているという。全64試合生中継するほか、10チャンネルを使い、日本代表特番やハイライト番組を提供するのだから、サッカーファンにはたまらない。「マックスで、1日7000件近くに達する」(同社)という驚異的な仮登録数も納得だ。

 スカパーでは、W杯効果として、2002年の加入者(個人契約)の伸びを前年比43.2%増の56万件と予測している。また、CATV契約などを含む累計登録件数は、62万8000件増の367万件で、スカパーが黒字化に必要だとしていた350万件のラインを2002年中に10万件以上オーバーすることができる。

 加入者急増で2002年度の売上720億円(対前年比21.1%増)を見込むが、一方で、W杯無料放送の影響により、経常損失は240億円と大きく膨らむ。それでも、W杯に勝負をかけるスカパー。W杯後に、W杯目当てのユーザーの解約を最小限に食い止めることができれば、「2002年第4四半期に単期黒字、2003年単年度黒字」(スカパー)も現実的になるかもしれない。

 「W杯後に解約率が上がるのではないかと言われているが、スカパーは海外のサッカーリーグの放映権を持っており、W杯で活躍した日本人選手がどんどん海外に出ていけば、サッカー好きの視聴者は離れないはずだ」(細田泰社長)。

 サッカーファンにはたまらない言葉だが、アナリストにも通用するのだろうか……。

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[中村琢磨, ITmedia]

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