News 2002年5月27日 07:15 PM 更新

スライドショーより“フォトシネマ” 「LiFE with PhotoCinema」

VJソフト「motion dive」で評価の高いデジタルステージが、今度はデジカメで撮影した画像をプロのクリエーターが作成したようなクールなスライドショーにできるソフトを発売する(“フォトシネマ”というらしい)。サンプル版を入手したので、ZDNetのフォトシネマを作ってみた

 旅行やパーティ会場で、デジタルカメラで撮影した画像を友達に見せたいとき、どうしているだろうか? インターネット上のフォトアルバムサービスを利用する? それともメールに添付する? でも、せっかく見せるなら、かっこいいほうがいい。さらに、未熟な撮影テクニックをカバーしてくれるツールがあるとしたら、“日曜カメラマン”にとっては嬉しい限りだ。そんなワガママを満たしてくれそうなのが、デジタルステージが開発した「Life with PhotoCinema」である。


デジタルステージの「LiFE with PhotoCinema」。価格は1万9800円。6月14日発売。対応OSは、Windows 98/98SE/2000/XP、ならびにMac OS 8.6以降。ただしMac OS XではClassic環境のみで動作

 デジタルステージといえば、VJ(ビデオジョッキー)ソフト「motion dive」シリーズで知られる。motion diveシリーズは、簡単にハイレベルなモーショングラフィックスが作れるとして高い評価を受けているが、LiFE with PhotoCinemaは、画像素材を集めてワンタッチでクリエイティブなスライドショーを作成できるという点において、使いやすさはmotion diveを上回る。

制作はわずか数分

 LiFE with PhotoCinemaのことを、「クリエイティブなスライドショー」を制作するソフトと紹介したが、正確には「フォトシネマ」を作るものらしい。デジタルステージによれば、フォトシネマとは、「映画を観るように写真を観る」ことを指す。静止画に“動き”を付け加えることで、テレビCMや、映画の予告編のような雰囲気にすることができるのだという。ソニーの「VAIO」に「ムービーシェーカー」という画像ミックスソフトがプリインストールされているが、その高機能版といったところだ。

 言葉で長々と説明するよりも、まずは、LiFE with PhotoCinemaで作成したフォトシネマを観たほうが話が早い。デジタルステージのWebサイトに、サンプルフォトシネマが掲載されているので紹介しよう(視聴にはSockwaveのプラグインが必要)。なぜWeb上で観られるかというと、LiFE with PhotoCinemaには、「HTML書き出し」機能があり、製作したフォトシネマをShockwaveファイルとHTML形式で出力することができ、Webで広く公開することもできるというわけだ。

 サンプルを観て、「こんな凝ったものを作るのは面倒」と思ったかもしれない。だが、この程度の作品であれば、ほんの数分もあれば作れる。

 まず、プロセスを簡単に説明しよう。

 LiFE with PhotoCinemaを立ち上げ、「NEW 新しくつくる」を選び、エディット画面を表示する。フォトシネマで使いたい画像素材を選択し(デジタルステージによれば10枚もあれば十分な作品が作れるという)、画像を読み込む。次に、バックグラウンドで流したい楽曲を選択、長さを編集する(インジケーターでINとOUTのタイミングを決定する。Webで公開する場合は著作権に注意)。最後に、フォトシネマのスタイルを決める(例えば、先ほどのサンプルで使用していたのは、「OLDFILM」というもの。このほかに、「DEFAULT」「STYLISH」の2種類が用意されている)。これで作業は完了である。


画像は自動で圧縮

 続いて、1つ1つの作業を詳しく説明しよう。

 まず、画像素材の選択についてだが、LiFE with PhotoCinemaでは、基本的に撮影した画像に手を加える必要はない。画像素材を読み込む際に、自動的に画像サイズが640×480または480×640に変換される上、画像の回転もこの中で行えるからだ。さらに、ファイルサイズも圧縮され、例えば、469KバイトのJPEG画像だと、19Kバイトと非常にコンパクトになった。ただし、画像の色補正などの機能は搭載されていないので、この部分だけは自分で修正する必要がある。なお、LiFE with PhotoCinemaで読み込み可能な、ファイル形式はJPEG/BMP/PICT/GIF/TIFF/PSD/PNG/TARGAである。


 「Webに公開するときのファイルサイズは、楽曲の長さで決まる」(デジタルステージ)ため、楽曲の編集には気を使いたいところ。LiFE with PhotoCinemaでは、スライドショーのように1枚づつ画像を見せていくのではなく、同じ画像を何回も使ったりするので、無駄に楽曲が長いと、間延びした感じの作品になってしまう。長篇よりも、30秒〜1分くらいの短いフォトシネマを複数制作したほうがベターだろう。またINとOUT部分はそれぞれ、自動的にフェードイン/フェードアウトの効果が加えれる。なお、音楽ファイルはMP3形式だけがサポートされる。


 LiFE with PhotoCinemaの最大の特徴は、エフェクト機能にある。DEFAULTは、フェードインやフェードアウトなど基本的な画面効果を加えるもので、OLDFILMは、セピア調の画面ノイズにより昔の映画のような雰囲気を演出する。また、STYLISHは、画像素材にオリジナルのグラフィックが追加され、演出効果が一番大きい。さらに、初回限定1000本限定のBOXタイプには、エキストラディスク「Extra DISC(Style set BUILDER)」が同梱され、「Macromedia FLASH」とあわせて独自のスタイルプラグインを作成することもできる。


右から「DEFAULT」「OLDFILM」「STYLISH」

 この「おまかせ」機能が、LiFE with PhotoCinemaのウリではあるのだが、細かい部分で修正を加えたいという場合もあるはず。というのも、素材として選択した画像が、常に全部使われるとは限らず、また、エフェクト効果も同じDEFAULTでも、書き出す際に微妙に違っていたりするからだ。そんな時は、「じぶんで」モードで修正を加える。このモードでは、エフェクトのタイミングをリアルタイムで調整したり、好きなタイミングで画像を切り替えたりできる。画像の気に入ったパターンになるまで作業を何度も繰り返すよりは、おまかせで作成したものに修正を加えたほうが、短時間でイメージ通りのフォトシネマが作れるだろう。また、マニュアルモードでは、テキストを入力することも可能。「フォトシネマにちょっとした物語やタイトルを入れるのも簡単」(デジタルステージ)だという。


マニュアルモードではテキスト入力が可能

ZDNetのフォトシネマだ!

 LiFE with PhotoCinemaがどのようなソフトウェアか理解してもらえたと思うが、続いては、このソフトを使って、ZDNetのフォトシネマを作ってみようと思う。LiFE with PhotoCinemaにはデフォルトのサンプルムービーとして家具ショップ「IDEE」が手がける「sputnik」のフォトシネマが用意されているのだが、これが非常にカッコイイ。画像を選んでエフェクト効果を決めるだけでいいのだから、ZDNetのフォトシネマも似たような雰囲気になるはずだ。

 ZDNetのフォトシネマでは、画像を10枚使用し、時間は30秒ということで制作を進めた。というわけで、画像素材を集めてみた。下の写真がそれである。普段、取材で撮影しているわりには、お世辞にもクールとは言えない写真ばかりで情けなくなるが、これがきっと、カッコよくなるのだろう。


 腕試しということで、「おまかせ」モードで3パターンを作成してみた。問題は、BGM。いろいろ使いたい曲はあるのだが、Webで公開するとなると、著作権が問題になるので、あらかじめLiFE with PhotoCinemaに組み込まれているものを使用した(デジタルステージによれば、LiFE with PhotoCinemaに入っている楽曲は個人で楽しむ分には使っても問題ないとのこと)。さて、出来はどうだろうか。容量は、いずれも2Mバイト程度だ。

 【DEFAULT仕様】【OLDFILM仕様】【STYLISH仕様】(Sockwaveのプラグインが必要)

 やっぱり、素材画像はある程度のクオリティがあったほうがいいみたいである……。

 LiFE with PhotoCinemaで制作したフォトシネマは、Webで公開するだけでなく、独自形式のアプリケーションで保存して、CD-Rなどに焼いて友人に渡したり、スクリーンセーバーとして使うこともできる。デジタルカメラとともに使いたいソフトとして、人気を集めそうなLiFE with PhotoCinemaだが、「おまかせ」モードと「じぶんで」モードの中間ぐらいのモードがあればもっと便利だろう。

 おまかせモードには、どんなフォトシネマになるのか作ってみないと分からないという楽しみはあるが、気に入った画像が出てこないとちょっと悲しくなってしまう。そこで、読み込んだ画像のうち、「必ず使いたい画像」や」「画像のでる順番」をクリックだけで決められるようになれば、使い勝手も向上するはず。また、デジタルステージによれば、エディットモードには現在、3種類しか用意されていないが、今後、プラグインとして順次増やしていく予定とのこと。さっそくはまってしまった筆者としては、大いに楽しみなところだ。

関連リンク
▼ デジタルステージ

[中村琢磨, ITmedia]

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.