News 2002年5月27日 11:30 PM 更新

判例が出るまでは…… プロバイダー責任法が施行

5月27日よりプロバイダー責任ほうが施行された。そこでもう1度、この法律の意義についておさらいしてみよう

 5月27日、「特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律」(通称、プロバイダー責任法)が施行された。ISP(インターネットサービスプロバイダー)やWebホスティング事業者はもちろん、インターネットユーザーにも大きな関わりのあるこの法律について、おさらいするとともに、動きをまとめてみた。

 まず、プロバイダー責任法の位置付けについて。まだ誤解が多いようだが、この法律が施行されたからといって、プロバイダーが何らかの義務を負うということには繋がらない。プロバイダー責任法というよりも、正確には「プロバイダー免責法」というべきである。著作権侵害や名誉毀損といったトラブルが発生した際のプロバイダーの関わり方について、「これだけやっておけば問題ないですよ」ということを定めた法律なのである。そのため、プロバイダーが「こうしなければいけない」ということは、全く定められていない。

 しかしながら、プロバイダー責任法の条文では、どうすればプロバイダーが免責されるのか、詳細な説明があるわけではない。例えば、「プロバイダーが権利侵害を知らなかった場合や、違法情報の存在を知っていても権利侵害だと認めるに足りる相当の理由がなければ、プロバイダーが何らかのアクションを起こさなくても責任は問われない」(総務省の大村真一氏)とされているが、この「相当な理由」という曖昧な表記が、プロバイダーにとっては曲者なのだ。

 社団法人テレコムサービス協会(テレサ協)では、プロバイダー責任法に関するガイドライン案を公開。広く意見を募集し、施行日である本日、原案に修正を加えてガイドラインとして策定した。この中では、「電子メールによる名誉毀損やプライバシー侵害はプロバイダーの責任は及ばない」といったプロバイダー責任法の解釈から、権利者から侵害行為に対する指摘があった場合、プロバイダーがどのような対応を図るべきかまでが定められている。

 しかしながら、このガイドラインは「こうしておけば問題ないでしょうという内容」(テレサ協)であり、「これに沿った対応をすれば、間違いないというわけではない」(同)。そのため、権利者から指摘のあった情報を削除せず、権利者がプロバイダー側の対応に納得しなかった場合などは、「最終的には裁判所の判断に任せることになる」(総務省 大村氏)。

 テレサ協では、「ガイドラインが本当の意味で役立つのは、プロバイダー責任法に関わる判例を組み込んでから」としており、当分の間は、手探りしながら対応を進めるしかないようである。

 一方、権利者にとって、プロバイダー責任法はどのような意味があるのだろうか。日本音楽著作権協会(JASRAC)の加藤衛常務理事は、「プロバイダー責任法は(権利者ではなく)総務省主導で進められた」と、プロバイダーの“義務”が定められていないことに不満を示したものの、「著作権を管理するものにとって、このような法律ができたことは大きな意義がある」と評価する。

 また同氏は、運用面について「(プロバイダー責任法の施行前から)大手プロバイダーは、著作権侵害行為について積極的な対応を見せてくれていた」とした上で、「(プロバイダー責任法の施行により)そういった対応を怠ってきたプロバイダーには誠意ある対応を見せてほしい」と強調した。

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▼ プロバイダー責任法で何が変わる? 総務省大村氏に聞く

関連リンク
▼ 総務省
▼ 社団法人テレコムサービス協会

[中村琢磨, ITmedia]

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