News | 2002年5月28日 08:58 PM 更新 |
今週金曜日、いよいよサッカー日韓W杯が開幕する。世界最大のスポーツイベントであるW杯には、外国からも大勢のサポーターがやって来るが、日本語がまったく分からないという人も少なくない。決勝の舞台となる横浜市では、こうした外国人サポーターに道案内をしてくれるボランティアを募集。道が分からない場合は、胸に青色のピンバッチを付けている人に尋ねればよいことになっている。
総務省が、5月28日よりJR東京駅丸の内北口(コンコース中央)で開始した「3次元GIS(Geographic Information Systems:地理情報システム)による立体経路案内デモンストレーション」も、W杯のために日本を訪れた外国人に向けたものだ。
デモでは、東京駅周辺地区の地下から地上経路の立体案内モデルシステムを披露。実際に触れて、誰でも試してみることができる。「東京駅構内は、世界的に見ても構造の複雑さはトップクラス。海外からやってきた人々に、日本の情報通信技術の素晴らしさをアピールする」(総務省)。
このデモスペースには係員が常駐し、日本語と英語でシステムの使い方を案内。利用者は、画面を操作しながら、目的地までの経路を、3次元CGと実写の組み合わせた映像で検索することができる。なお、総務省によれば、3次元CGと実写を使ったGISシステムはこれが初めてだという。
携帯端末型が理想
3次元GISシステムを推進しているのは、総務省の情報通信政策局宇宙通信政策課宇宙通信調査室という部署。今回のデモンストレーション用には、NTTコミュニケーションズが総務省から依託を受け、PCベースのデスクトップシステムを開発した。
デモ会場で案内にあたっていた、NTTコミュニケーションズe-Japan推進部電子自治担当の山本貴夫氏によれば、このデモシステムは「W杯の開幕にあわせて、急遽作ったもの」とのことで、「まだまだ改良の余地はある」という。「例えば、利便性を考えれば、タッチパネルで操作できたほうがいいと思う」(同氏)。
また、このシステムには、丸の内北口コンコースから目的地(約70カ所)までの道順がプリセットされているのだが、利用者はその場で道順を記憶しなければならない。「画面を見ながら、赤い看板のところで曲がって下さいなどと説明することになる」(同氏)。
確かに、ユーザービリティという点ではまだまだ改善できそうだが、山本氏は、「携帯電話でGPS対応電話が登場しているが、このシステムも本来は携帯端末で使うのがベスト」と説明する。「これぐらいの3次元CGが動く携帯電話があれば、ネットワーク経由でサービスを提供することもできるはず。もしくは、キオスク端末のような格好で設置してもいい。ネットワークでデータの更新も行える」(同氏)。
いろいろ課題はあるようだが、今回のデモはあくまで実証実験。実際に利用する海外のサポーターなどから意見を聞き、フィードバックを今後の開発に繋げていけばよいのである。
「ただ、スペースの都合上、残念ながらこのデモは5月31日までなんですよ」(山本氏)。
開幕日に終了? それでは、アピールにならないんじゃ……。
[中村琢磨, ITmedia]
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