News 2002年6月10日 08:00 PM 更新

2足歩行ロボットがPK合戦 「RoboCup-2002」が19日に開幕

もう1つの“日韓共催”のサッカー大会がある。「RoboCup-2002 Fukuoka/Busan」だ。今回から、2足歩行ロボットによる「Humanoid league」も行われる

 サッカー日本代表の活躍に沸く日本列島だが、もう1つの日韓共催サッカーイベントにも目を向けてみよう。福岡で6月19日に、ロボットによるサッカーの世界大会「RoboCup-2002 Fukuoka/Busan」が開幕する。メイン会場は福岡ドームだが、韓国・釜山でも一部競技が行われるなど、本物のW杯同様の演出で、雰囲気を盛り上げようとしている。

 RoboCupは、「2050年、サッカーの世界チャンピオンチームに勝てる自立型のロボットのチームを作る」をシンボリックな目標に掲げるイベント。2足歩行ロボット「PINO」を手掛けて北野宏明博士らの呼び掛けで、1997年に第1回大会が名古屋で開催された。RoboCup-2002は6回目の大会。2カ国共催は今回が初めてだ。

 RoboCupでは、サッカー競技の「RoboCupSoccer」のほか、災害救助ロボットによる「RoboCupRescue」、ならびにホビイストらによる「RoboCupJunior」が行われる。中でも注目したいのは、今大会よりRoboCupSoccerの新競技として行われる自律型2足歩行ロボットの「Humanoid league」だ。

 Humanoid leagueは、参加資格競技の「片足立ち」、ロボットの身長×5倍の距離を往復する時間を競う「歩行」、5分以内の自由演技「フリースタイル」、ならびにペナルティキック合戦の「ペナルティキック」の4種目を行うというもの。 Humanoid leagueには、11対11とまではいかなくても、ミニゲーム程度のチームプレイを期待する声も多かったが、ロボット業界関係者は「現在の技術では、11体が協調してゴールを狙うというのはまだ無理」と話しており、2050年の大きな目標実現のために、まずは小さな1歩からスタートといったところのようだ。

 なお、Humanoid leagueには、「morph」を擁する北野共生システムプロジェクトや、富士通の「HOAP-1」をベースにした大阪大学、PINOを採用した早稲田大学など、国内外の大学、研究所など12チームがエントリーしている。


左から「HOAP-1」「morph」「PINO」

 2足歩行ロボットによるPKといえば、ソニーが開発中の「SDR-3X」が得意技としていたが(2000年11月の記事参照)、今回はエントリーしていない。ソニーは、RoboCupSoccerにペット型ロボット「AIBO」の専用リーグを作った実績があるが、「ヒューマノイド型ロボットは多数登場している」(ソニーデジタルクリーチャーズラボの土井利忠所長)との理由から、Humanoid leagueへの参加を見送る姿勢を示していた。

 最新バージョンの「SDR-4X」は、2足歩行ロボットとしては、高い完成度を誇るだけに、登場すれば大きな話題となったはず。ただ、特別ゲストとしてホンダの「ASIMO」が登場し、PK合戦に参加するほか、未公開のパフォーマンスを披露するというから、大いに期待したいところだ。

 このほか、最先端のロボットならびに関連技術(人工知能や、制御、センサー、画像処理、通信、駆動装置、メカニカル、電源装置など)を紹介する展示会「ROBOTREX」も同時に開催される。

 RoboCup-2002 Fukuoka/Busan、ならびにROBOTREXの開催期間は、6月19日〜6月25日。一般公開は20日〜23日までとなる。

[中村琢磨, ITmedia]

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