News:ニュース速報 | 2002年6月17日 08:16 PM 更新 |
小惑星から試料を持ち帰る世界初のサンプルリターンに挑む探査機「MUSES-C」が、11月から12月にかけて打ち上げられる予定だ。これに合わせ、一般の人の名前を刻んで小惑星に送り届けようというキャンペーンが展開されている。Webから無料で応募でき、家族やペットとの連名掲載も可能だ。
キャンペーンはNPOの日本惑星協会と、MUSES-C計画を進めている文部科学省宇宙科学研究所が始めた「星の王子様に会いませんか」。サン=テグジュペリの「星の王子様」が住む星が小惑星だったことにちなんだ。
小惑星は主に火星と木星の間に多数が存在し、最大でも直径1000キロ程度と小型な惑星だ。原始太陽系の組成がほぼそのまま残った“太陽系の化石”と言われる。MUSES-Cが挑戦するのは、小惑星に到達して表面に存在する岩石などの試料を地球に持ち帰るサンプルリターン。もし成功すれば試料を詳細に解析できるため、太陽系の理解に大きな理解を果たすのは間違いない。
MUSES-Cは約1.5×1.5×1.2メートル、約500キロ。各種観測機器と高い自律機能、大型太陽電池パネル2基と高効率な電気(イオン)推進エンジンを備える。
計画では、今年11月から12月にかけて宇宙科学研のロケット発射基地(鹿児島県内之浦町)からM-Vロケット5号機で打ち上げられ、小惑星「1998SF36」を目指す軌道に投入。2004年春の地球スウィングバイで加速し、2005年夏、目標に到達する予定だ。
「19998SF36」は、直径約500メートルと推定されている。MUSES-Cは約5カ月間にわたって表面の観測とサンプル採取を実施、2007年に地球に帰還する。
無事に着陸させる方法も重要な課題だ。MUSES-Cは小惑星の高度100メートル程度に接近した際、ソフトボール大の「ターゲットマーカー」を投下する。MUSES-Cはマーカーを手がかりにして、高度を確かめながら小惑星表面に軟着陸する方法を採用した。
今回のキャンペーンでは、投下されるターゲットマーカーに応募者の名前を埋め込み、小惑星に送り届けるのが目的だ。応募者の名前はアルミ箔のシートに印字され、ターゲットマーカーに包み込まれて着地する。
5月10日から応募受け付けを始め、6月17日時点で集まったのは約16万人。名前は微小な文字で印字されるため、100万人以上でも必ず送り届けるとしている。無料で応募でき、希望すれば家族やペットなどとの連名応募も可能だ。学校のクラス単位での応募も受け付けている。
応募は日本惑星協会のWebサイト(iモードとJ-スカイ、EZwebにも対応)からか、往復はがきで。締め切りは7月6日。
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