News 2002年7月8日 05:55 PM 更新

っぽいかもしれない
IVR2002を見てきた(1/2)

産業用バーチャルリアリティ展に行ってきた。もう、ニュースは掲載されているけど、わたしは、例によって偏ったレポートをしよう

 「第10回産業用バーチャルリアリティ展」(IVR2002)に行ってきた。毎年楽しみにしているイベントで、さっさと行こうと思っていたのに、なんかばたばたしちゃって、行けたのは最終日。というわけで、例によって偏ったレポート。ちゃんとしたのが見たい人は、Newsにすでに掲載されているニュースを見てください。

Mixed Reality

 IVRも、以前は、Virual Realityを作り出すためのデバイスやシステムの展示がほとんどだったのだけど、最近では、使うとこんなことができますというようなコンテンツ系の展示が多くなってきた。そして、今年は、キヤノンが「Mixed Reality」(MR)を引っさげて登場してきたのだ。

 MRについては、去年の3月の「MRプロジェクト研究成果発表会『MiRai-01』」についてのコラムでざくっと説明したことがあるのだけど、「Virtualと現実とをミックスさせるもの」だ*1

 今回キヤノンが展示したのは、「お部屋が水族館になる」システム。ビデオシースルーHMDをかけて、あたりを見回すと、その(現実の)風景の中に、Virtualの魚たちが泳いでいるのが見えるのだ。ウミガメ(多分タイマイ)もいる。HMDにはCCDカメラがついていて、それで撮影した画像と魚とを合成してHMD内部のディスプレイに表示しているわけ。また位置センサもついているので、視線の向きや角度を変えれば視野もそれに追従する。



 キヤノンにはおとくいの「Contact Warter」があるのだけど、あれに比べると魚と「一緒に遊べない」分、こっちのほうがおとなしい。でも、ブースの柱や、うしろで並んでいる人たちの顔の上を魚が泳いでいる風景っていうのも、なかなか興味深い。

 キヤノンは「MR Platform System」として、このようなMR環境を作るためのシステム環境を提供する用意がある。これを使えば、誰でもMRなコンテンツが作れるってわけ。いや、誰でもっていうのはうそだ。センスが必要だ。こういうコンテンツはセンスの差が派手にあらわれそうだから、こわいよ。

 日本SGIのブースにも、同様のシステムを使った展示があった。こちらは、ぐっと実用的に自動車だ。そこにはいない自動車を外から眺めたり、乗り込んで現実のスイッチをおすと、virtualの操作パネルに情報が表示がされるなんていうもの。MiRai-01のときの「いまそこにあるMRカー」を一歩進めたって感じだ。

立体視と立体感の違い

 派手だっていったら、これだっていうのが、スピンの「ステージビュー」。幅5m×高さ5mの黒ずくめのステージである。このステージの空中に画像がいきなり写るのだ。迫力。


動画はこちら

 構造はこうなっている(下図参照)。また、図にはないけど、スクリーンの画像は天井側に置かれたプロジェクタにより投影される*2


 斜めになっているフィルムがハーフミラーの役目を果たして、空中に像が浮かんでいるようにみえるというわけ。でも、大きいってこともあって、このフィルムはほとんど見えない。あるっていうことを知って、ステージの一番はじを見ると、そういえば縁が見えるような気がするっていうくらい。

 そして、いちばんすごいことは、ここに表示されている画像は立体映像ではないってことである。3Dのレンダリング作ったりはしているだろうけど、画像としてはごく普通の1チャンネルの平面画像。にもかかわらず、「立体的に見える」のだ。

 そう思ってみると、表示されるオブジェクトはなかなか演出が考えられている。出てくるものはほとんどゆっくりまわりながら出てくるとか、背景は絶対にないとか、平面だってことに気づきにくいようになっているのだ。とはいっても、人間の実写画像もそれなりに立体的にみえる(これはぐるぐるまわったりしない)。こうなってくると、大きさの効果っていうことになるだろう。この人間はおおよそ実物大のサイズで表示されているのだ。そのことによる「リアリティ」が平面画像を立体的に見せている。「立体感」というものは立体視だけから生まれるわけではないのだ。

JoyChair-R1

 川田工業のロボクラフト*3の動く椅子「ジョイチェア」は今年も健在。いや、ついに外側のシャーシがついて、しっかりとした商品という体裁になった。名前も「JoyChair-R1」と「-R1」がついた。いよいよこの秋(10月予定)に150万円で発売*4(既報はここ)。


 従来、10度に抑えていた振れ幅を15度に増やし、そのかわり踏ん張れる足のせ台を設置。応答速度はあいかわらず良く、サスペンションの効かないカートの走向の振動もちゃんと再現している*5。ひじ置き部分にはジョイスティックもつき、これでゲームの操作をしたり、あるいはJoyChair-R1そのものを動かしたり、ティーチングさせたりなんてことができる。お望みなら、2つのJoyChair-R1をお互いで操作して対戦することもできる(思いつきなので、おもしろいのかどうかはわかんない)。

 これはもう、何に使うかを考えるフェーズになった。何が楽しいだろう?


*1すでに耳にタコだって人もおおいだろうけど、「Virtual」は「仮想」ではない。現実を日本語で書いておいてVirtualは英語のままにしておくのはそのためだ。
*2ビクターのQXGA(2048×1536)プロジェクターDLA-QX1が使われていた。
*3いわずもがなだけど、あのisamuの、である。
*4いただいたパンフレットは「10月にリリース」と言い切っているのだけど、お話によれば「...という予定になっています」だそうだ。わたしは楽しみだからプレッシャーをかけることにする。「10月だそうです」。
*5いろいろな乗り物のゆれを画像とともに再現するデモを見せて(のせて?)もらったのだけど、バイクが意外に揺れないこと、ボートがものすごく揺れることが、印象に残っている。

[こばやしゆたか, ITmedia]

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