News:ニュース速報 2002年7月31日 07:17 PM 更新

日常の摩擦で発生する超微小プラズマを発見 産総研

産業技術総合研究所は7月30日、摩擦で起きる100μメートル程度の超微小プラズマを発見、撮影に成功したと発表した。原因不明だったHDDの劣化現象などの解明につながるという

 独立行政法人の産業技術総合研究所(産総研)は7月30日、摩擦で起きる100μメートル程度の超微小プラズマ(マイクロプラズマ)を発見、撮影に成功したと発表した。マイクロプラズマはペンで文字を書いたりする程度でも発生すると見られ、原因不明だったHDDの劣化現象などの解明につながるという。


マイクロプラズマの平面像

 先端半径300μメートルのダイヤモンドピンを、厚さ1ミリの回転するサファイアディスクに接触させた。接触点に発生したマイクロプラズマを光学顕微鏡で拡大し、高感度CCDカメラで撮影し、長径100μメートル以上で彗星のコマのように広がるマイクロプラズマを確認した。摩擦により接触点周辺が帯電して電子を放出、空気中の分子に当たってプラズマが発生しているものとみられる。

↓11_02.png 「放電マイクロプラズマ」発生のモデル

 マイクロプラズマは、産総研ナノテクノロジー研究部門メゾテクノロジー連携研究体の中山景次体長が存在を提唱していたが、実際に確認されたのは初めて。HDDのヘッドと磁気ディスクの摩擦試験中に見つかった。絶縁体、半導体、金属酸化膜を含むほとんどの材料で発生することが分かったという。

 観察によると、HDDヘッドに加わった荷重が3グラムと極めて低い状態でも発生していた。HDDの経年劣化の原因になっていると見られ、マイクロマシンなど次世代超小型機器の開発にも影響を及ぼすという。また指で物を擦ったり、ペンで文字を書くといった日常生活でも発生していると考えられ、「摩擦のあるところマイクロプラズマあり」(産総研)だという。

 産総研は「摩擦現象や帯電現象の解明につながる上、各種機械部品の性能向上などに役立つ」としている。

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