News 2002年8月2日 10:56 PM 更新

“ガンダム”をデジタルで録画したい

BSデジタル放送のデジタルWOWOWで、劇場版「機動戦士ガンダム」が放映される。せっかくのデジタル放送、テープ方式のD-VHSではなく、ランダムアクセスが可能なディスク方式でデジタル録画する方法を考えた

 BSデジタル放送のデジタルWOWOWで、「機動戦士ガンダム」の劇場版が明日(8月3日)放映される。それも、I だけでなく「II 哀・戦士編」「III めぐりあい宇宙編」の3部作と、1988年に公開された「逆襲のシャア」の計4作品が1日で一挙に楽しめるのだ。

 ガンダムシリーズは、地上波放送では何度が放映されてきたが、デジタルWOWOWでは初登場となる。それも今回は、デジタルハイビジョン放送だ。「あの感動の名作を、デジタルで録画して後世に残したい(それもハイビジョンで)」――物欲モードが、久しぶりに“ON”に入った。

 BSデジタル放送をデジタル録画するのに、もっともポピュラーなのは「D-VHSビデオ」を使う方法だ。ストリーム記録を行う転送レート28.2MbpsのHSモードを使えば、高画質のデジタルハイビジョン放送をクオリティを落とさずに録画できる。

 しかし、D-VHSビデオデッキは実売で10万-15万円前後と値段が高い。エンコーダ/デコーダを搭載せず、ハイビジョンのストリーム記録に的を絞ったタイプでも実売で7万-8万円前後はする。さらにD-VHSテープも一本700-1000円前後と意外と値がはる。そもそも、頭出しに時間がかかり、見たいシーンがすぐに見れないテープ方式は、デジタル時代にふさわしくない。やはりデジタル放送は、ランダムアクセスが可能なディスク方式で記録したい。

 そうなると、DVDレコーダかHDDレコーダということになる。しかし、DVDレコーダで、デジタルハイビジョン放送をストリーム記録できるモデルは、まだ登場していない。もし仮に製品化されたとしても、DVDの容量では20数分のストリーム記録しかできない。次世代大容量光ディスク規格のBlu-Rayが待ち望まれる理由がここにあるのだ。

 HDDレコーダでもデジタルハイビジョン放送をストリーム記録できるモデルは少ない。ソニーのHDDレコーディングユニットVRP-T1であれば、同社製BSデジタルチューナーと組み合わせることで、デジタルハイビジョン放送を録画できるのだが、価格が実売で10万円前後と高く、また、他社のBSデジタルチューナーでは利用できない。

BSデジタルハイビジョン放送対応のレコーディングHDD「Rec-POT」

 「BSデジタルのハイビジョン放送をディスクに録画するためは、やはりBlu-Rayの登場を待たなければいけないのだろうか……」。

 あきらめかけていた時に、今年4月に発売されたアイ・オー・データ機器の「Rec-POT」を思い出した。Rec-POTは、デジタル放送チューナー内蔵機器とi.LINK(IEEE1394)ケーブルで接続することで、BSデジタルハイビジョン放送をデジタルのままストリーム記録できるレコーディングHDDだ。内蔵HDDの容量は80Gバイトで、BSデジタルハイビジョン放送(HDレート)を約7時間、標準放送(SDレート)を約21時間録画することができる。デジタルコンテンツの著作権保護技術「DTCP」に対応しているため、WOWOWの録画も行える。


BSデジタルハイビジョン放送対応のレコーディングHDD「Rec-POT」

 Rec-POTの優れた点は、その価格だ。オープン価格となっているが、現在の実売は5万円前後。同様の製品であるソニーのVRP-T1が、同じ80Gバイトの容量で10万円前後であることを考えると、Rec-POTのコストパフォーマンスは高い。それでも、メディアが交換できないHDDレコーダーは、HDDが埋まってしまえばおしまいだ。

 だが、こう考えてみてはどうだろうか。劇場版ガンダムのDVDソフトの価格は、3部作が各7800円、逆襲のシャアが6000円だ。4作品を購入すると、約3万円となる。さらに、BSデジタル放送ではこの夏(7月20日-8月末)、8社共同で300本の映画を一挙放送するという「BSデジタル映画祭」を繰り広げている。DVDソフトでは1本数千円する映画タイトルを何本か録画すれば、5万円の本体価格などすぐに元がとれそうだ。ただし、7時間しか録画できないHDレートでは、ガンダム3部作でHDDは埋まってしまう。DVDに比べて、SDレートの画質が大幅に落ちるのならば問題だが……。

 いろいろ検討した結果、今回はRec-POTを購入した。


購入したRec-POT

ハイビジョンだけどハイビジョンじゃない?

 さて準備は整った。あとは、明日の午後12時40分から始まる放送を待つのみだ。あらためてWOWOWの番組表を確認してみると、デジタルハイビジョン放送を示す「HV」マークの横に「*」という怪しげな記号が……。

 調べてみると、

 「HV」=放送方式、映像素材共にデジタルハイビジョン
 「HV*」=標準画質の映像素材をデジタルハイビジョンで放送

 となっているではないか。ハイビジョン素材ではないものをハイビジョンで放送する? これはどういうことなのだろうか。

 WOWOWの広報に聞いてみると、「HV*」というマークの時は、標準画質(480i)の映像をアップコンバートしてHDレート(1080i)のデジタルハイビジョン素材にして放送しているとのこと。「もともとがSD(標準画質)の素材なので、ハイビジョン素材をHDレートにしたものと比べると画質は落ちるが、SDレートの放送よりは若干だがキレイに見える。だが画質面よりも、むしろアピール度を高めるためにHV*にしているところが大きい」(WOWOW広報)。

 WOWOWがデジタルハイビジョンで放送する時は、191、192、193chの3チャンネルを使う。番組表を見ると、3チャンネル枠いっぱいに番組名が出るため、当然ほかのコンテンツより目立つというわけだ。「注目度の高い作品は、3チャンネル枠を使うHDレートにしてユーザーにアピールしている」(WOWOW広報)。

 ハイビジョン素材じゃないデジタルハイビジョン放送でデジタル録画したガンダムは、TV(地上波)で見たとき以上の感動を果たして与えてくれるだろうか……。

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[西坂真人, ITmedia]

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