News 2002年8月5日 08:14 PM 更新

IT導入で学校はどうかわる? 「教育ソリューションフェア2002」

パシフィコで「教育ソリューションフェア2002」が開幕した。展示会場にはITと教育をテーマにしたゾーンが設けられ、タブレットPCを使用した授業モデルの提案などが行われている

 みなとみらい・パシフィコ横浜で8月5日、「教育ソリューションフェア2002」が開幕した。2002年4月より導入された新学習指導要領のもと、学校ではPCやインターネットなどを使用した授業が行われていることもあり、展示会場には「IT教育ゾーン」が設置され、タブレットPCを使用した授業モデルや校内LANを使用したセキュリティシステムなどが紹介されている。期間は8月7日まで。


教育ソリューションフェアには、インテルやアドビシステムズなどIT業界の企業も多く出展。無線LAN製品などを出展している。夏休み中ということもあり、展示会には学校の先生の姿も多く見られた

 学校向けのプレゼンテーションツールを開発しているスカイ・シンク・システムでは、新製品の「SKY DIGITAL CLASS」を出展。タブレットPCを用いた授業のデモンストレーションを行っている。タブレットPCはNECが開発中のプロトタイプを使用。Windows 2000ベースのシステムに、独自開発のプレゼンテーション用ソフトを組み込んでいる。同社コンテンツネットワーク事業部の太田詠子氏は、「プロジェクターを使えば、黒板代わりにもなるが、実際には黒板と併用してもらうのがい。写真や立体図など通常の板書授業では使いにくかったものも簡単に扱える」と説明する。


黒板ソフトのデモ。板書技術は教師の質が問われるものだが、「筆ペン」で板書すれば、誰でも“あいだみつを風”にだって書ける。ちなみにこのデモでは、タブレットPCから無線LANでプロジェクタにデータを送信、投影している

 このシステムの特徴は、プレゼンテーションの流れを記録しておける点。「録画・録音モード」を使うと、プレゼンテーションの最中に話したことや、書き込んだ内容をそのまま保存できる。「このシステムで生徒に自由研究などの成果を発表させて、内容が素晴らしいものであれば、ほかのクラスでもその内容を忠実に紹介することができる。また、授業を欠席した生徒に、授業の内容をデータでわたすこともでき、子どもの学習レベルをあげるのに役立つはず」(太田氏)。

校内LANをセキュリティに使う

 政府のe-JAPAN重点計画のもと、全国学校へのインターネット導入が進められている。既に、LANが整備されている学校もあるほどだが、スカイ・シンクの太田氏は、「LANを構築したはいいけれど、何に使えばいいのか分かっていないケースがよくある」と話す。そこで同社では、LAN対応カメラを使い、IPネットワークベースの「セキュリティシステム」を導入することを勧める。

 実際、展示会場では学校内LANを使ったセキュリティシステムを提案する企業が目に付く。例えば、松下電器産業と松下通信工業は、学校向けの映像モニタリングシステム関連製品を出展。IPベースの製品では、ネットワークカメラ「WV-NM100」を参考出品し、HDDレコーダーと組み合わせたシステムを紹介している。「いわゆる監視カメラは高価なものだったが、構内LANを使えば、はるかに安くシステムを構築できることもあり、引き合いも多い」(同社)。



参考出品されたネットワークカメラ「WV-NM100」。JPEGのほか、MPEG-4にも対応する。解像度は、JPEGがVGA/QVGA/QQVGA、MPEG-4がCIF/QCIFとなる。カメラ部分は遠隔地から操作可能で、左右140度、上下120度の範囲で制御できる

 また、スカイ・シンクでも、多地点映像システム「SKY MULTI EYE」を提案している。こちらも、LAN対応カメラを使ったIPベースのシステムだが、PCのブラウザだけでなく、iモード対応携帯電話、ならびにPocket PCにも対応しているのが特徴だ。SKY MULTI EYEでは、カメラと赤外線センサーを組み合わせることで、「何かがカメラの前を横切ったときなど、異変があった場合だけ録画を行う」(太田氏)こともできる。その場合、携帯電話にメールで通知がいくというわけだ。学校の屋上など、基本的に生徒の出入りが許可されていない場所に設置すると有効だという。

 ただ、太田氏によれば、「カメラの前を走り抜けられたら、まともに撮影できない可能性もある」という。本当に、セキュリティが必要なら警備会社にまかせたほうがいいかもしれない。


「SKY MULTI EYE」。複数のカメラ映像を同一画面上に表示できるのが特徴だ。カメラサーバシステムは、Windows 2000 ServerとApacheで構築している。カメラは標準仕様で9台まで管理できる。データはJPEGで取り込んでおり、「8台のカメラが10秒おきに録画」した場合で、データ容量は約23Gバイトになる(画像1枚は50Kバイト。1台のデータ容量は1日につき約422Mバイトとなり、1週間では約3Gバイト。8台分で約23Gバイトという計算)


IT教育ゾーンではこのほか、現役の先生たちによるプレゼンテーションも行われている。その1つ、「Dプロジェクト」は、“デジタル”“デザイン”というキーワードを取り込んだ授業モデルを考えようという試み。アドビなどのIT企業もオブザーバーとして参加する産学協同プロジェクトだ

関連リンク
▼ 教育ソリューションフェア2002
▼ スカイ・シンク・システム

[中村琢磨, ITmedia]

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