News:ニュース速報 2002年8月5日 06:23 PM 更新

極薄ウエハーも非接触で高速切断 浜松ホトニクスが新技術を開発

浜松ホトニクスは8月5日、シリコンウエハーからチップを切り出すダイシング工程で、ウエハーに接触せずに高速に切断する「ステルスダイシング」(SD)技術を開発したと発表した

 浜松ホトニクスは8月5日、シリコンウエハーからチップを切り出すダイシング工程で、ウエハーに接触せずに高速に切断する「ステルスダイシング」(SD)技術を開発したと発表した。刃を使った従来方法に比べ高速かつ効率良くダイシングが可能な上、極薄ウエハーを使用した次世代半導体の実用化にもつながる。


ステルスダイシングの原理

 SDでは、ウエハーに対して透明な近赤外レーザーを照射してウエハー内部に集光させる。レーザー光の強度を高めた場合に発生する「多光子吸収」現象により、照射した部分が改質層を形成する。改質層を垂直に成長させることでウエハーを割り、チップを分割する。


 刃で切断するブレードダイシング(BD)に比べ約5倍高速な毎秒300ミリの切断が可能になる上、切断ぶれがないためチップ間距離を最小1μメートルにまで狭ピッチ化でき、チップ切り出し効率を向上できる。チッピングをわずかに抑えることで歩留まりも向上、完全ドライプロセスなため純水による洗浄工程なども不要になり、製造コストを削減できる。

 積層により大容量化を実現する次世代メモリなどでは100μメートル以下の薄型ウエハーを使用する。BDでは厚さ50μメートルが限界とされてきたが、SDなら30μメートルの極薄ウエハーも高速に切断可能という。

 また日立製作所が開発した0.4ミリ角の超小型チップ「ミューチップ」(2001年6月29日の記事参照)に適用した場合、8インチウエハー1枚からBDに比べ約2万5000個も多く切り出すことが可能だという。

 2003年春にもSDを搭載したダイシング装置を製品化する計画。また新技術を半導体メーカーや製造装置メーカーに広く公開、技術提携やライセンス供与を進める。

関連記事
▼ 日立、0.4ミリの超ミニチップでICカード

関連リンク
▼ ニュースリリース
▼ 浜松ホトニクス

[ITmedia]

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.