News | 2002年8月8日 11:12 PM 更新 |
「アイドルだって、普通の人間と同じなんだ」――。8月8日、「アイコラ」(アイドルコラージュ)の問題点について話し合うパネルディスカッションが開催された。パネラーとして参加したホリプロの掘義貴社長は、同社のタレントがアイコラの素材として使われていることについて、「(アイコラにされることは)有名税だと言う人もいるが、使われたアイドルがどれだけ傷付いているか考えてほしい。やった人はすぐ忘れるが、やられた方はずっと忘れない」と訴えた。
パネルディスカッションのテーマは、アイコラを題材に、「ネット上の肖像権」について考えてみようというもの。自分のホームページなどで、アイコラではなくても、タレントの写真を無断で使用している人も少なくないが、「許諾がなければ、肖像権侵害の対象となる」(堀社長)。日本では法律の条文として肖像権は存在しないが、パネルディスカッションを主催した特定非営利法人(NPO)のシロガネ・サイバーポールでは、「数々の判例によって(肖像権は)法的に認められている。肖像権の侵害行為を法的に訴えることは十分に可能だ』と強調する。
「アイコラそのものは、個人で楽しむ分にはしかたないかなとも思う。だが、それがネット上で公開されるとなると話は別。アイコラは性的な興味をそそるものばかりで、(ホリプロには)未成年のタレントも多いことから非常に問題だと考えている」(堀社長)。
肖像権には、「プライバシー権」としての肖像権と、「パブリシティ権」としての肖像権がある。プライバシー権は、有名、無名を問わず、「自分の写真が勝手に雑誌に使われている!」などといったケースで、権利侵害を主張することができる。一方のパブリシティ権とは、有名人だけに認められているもの。「有名人の肖像には経済的価値がある」(プロマイドや写真集など、肖像自体が商品価値を持つため)との考えにより、有名人の肖像を使用するには、許諾と使用対価の支払いが必要になるというわけだ。
堀社長は、「タレントの場合、通常はパブリシティ権が重要になる。(ネット上で勝手に写真が出回ると)CM契約やモデル契約の価値がなくなる」と話す。ただ、単に画像が出回るだけでなくアイコラとなって流通した場合には、「人格権としての肖像権のほうが重要かもしれない」(同社長)という。
「地方出身者だと独身寮に住んでいることもあるが、現状では窓をすべて遮らざるを得ない。カメラを持って寮のまわりをウロツク人もいる。さらに、学校の登下校の様子も監視され、(タレントの)生活環境はどんどん狭くなっていく。女の子たちはアイコラが掲載されているような雑誌など買わないが、ネットをやる子は多い。2ちゃんねるを見て、本気でショゲている。タレントにはプライバシーがないように考えている人がいるのかもしれないが、それは間違っている。(アイコラ職人には)モラルを持ってほしい」(掘社長)。
関連記事
[中村琢磨, ITmedia]
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.