News 2002年8月22日 11:43 PM 更新

マイクロソフト、日本独自開発のグループウェアをリリース

マイクロソフトが、Webベースのグループウェア「SharePoint Team Services」をベースにした独自開発の製品をリリースした。日本市場に特化した「掲示板」や「回覧板」といった機能を備えているのが特徴だ

 マイクロソフトは8月22日、Webベースのグループウェア「GroupBoard Version 2.0 Powered by SharePoint Team Services」(GroupBoard 2.0)の無償提供を開始した。本日より、同社Webサイトでダウンロードできる。GroupBoard2.0は、マイクロソフト日本法人が独自開発した、中小企業や大企業の部門(1サイトでの利用者は20―30人)などをターゲットにした情報共有ツールだ。


GroupBoard 2.0のホーム画面。左側にはメニュー、右側には個別機能の内容が表示される。ここに表示される内容は、ユーザーが自由にカスタマイズできる

SPTSではなくGroupBoard

 マイクロソフトはこれまで、「GroupBoard 1.x」ならびに「SharePoint Team Services」(SPTS)という2つのWebベースグループウェア製品をラインアップしていたが、この製品のリリースによって、製品ラインが統合された。なお、Group Board 1.xシリーズは、「Exchange 2000 Server」のアドオンソフトとして提供されていた簡易グループウェアで、SPTSの登場前からマイクロソフトで開発を行っていたもの。一方、SPTSは「Office XP」(2001年6月リリース)の目玉機能の1つとして登場したサービスだ。

 GroupBorad 2.0は、正式名称に「Powered by SharePoint Team Services」とあるように、GroupBoardにSPTSの機能を取り込む格好で開発されている。このため、Exchange 2000 Serverがなければ動かなかった1.xシリーズとは異なり、SPTS同様、Windows 2000 Serverがあれば利用できる。「GroupBoardの敷居を下げることができた」(オフィス製品部の横井伸好氏)。

 米Microsoftがワールドワイドで展開するSPTSではなく、Exchange 2000 Serverのアドオンにすぎなかったソフトが生き残ったことは意外な気もするが、これは「SPTSを日本市場向けに作り直すよりも、アーキテクチャだけをSPTSのものにして、UIや機能は日本で独自に開発したほうが完成度が高くなる」(マイクロソフト)と判断したからだという。

SPTSに独自機能を付加

 GroupBoard 2.0には、SPTSに搭載されている「お知らせ」「連絡先」「社内アドレス帳」「ディスカッション掲示板」「共有ドキュメント」「TO DO」といった基本機能に加え、登録メンバーの在籍情報を確認できる「行き先掲示板」、施設の利用予約/確認用の「施設予約」、グループ予定の作成/管理を行う「グループ スケジュール」といった独自機能が追加されている。

 また、SPTS同様、Office XPと連携して、「Excel」で作成した表や「Outlook」の連絡先/予定表データのインポートしたり、Office XPのアプリケーションで作成したドキュメントをGruopBoard 2.0上に直接保存することが可能。さらに、GroupBoard 2.0のWebクリエを利用して、アンケートデータをExcelのスプレッドシートに展開することもできる。

 GroupBoard 2.0は、20―30人単位の小規模なグループを対象にしたものだが、複数のGroupBoardサイトを階層化して管理する機能も備えている。例えば、部門の中にいくつもの課がある場合に(営業部門の中の営業1課や営業支援課など)、それぞれの課ごとにGroupBoardを「サブWeb」として立てれば、効率的に情報を共有することが可能だ。また、このようにして部門ごとにGroupBoard 2.0サイトを用意した場合には、「SharePoint Portal Server 2001」で企業ポータルとして各サイトを統合できる。

 このほか、GroupBoard 2.0は、Exchange Server 2000をインストールすることで、ブラウザ上で電子メールの送受信が可能になるほか、GroupBoard 2.0のドキュメントフォルダに登録された文書を回覧できる「回覧板」機能などが追加される。ただし、これらの機能については「サンプル提供」となっており、マイクロソフトのサポート対象外となる。


Exchageとの連携により提供される「グループスケジュール」機能の画面。予定情報は「Outlook予定表アイテム」として保存することができる


グループスケジュールでは、Outlook同様、月ごとや週ごとの定期的な予定を作成可能だ

 GroupBoard 2.0を利用するには、サーバ側にWindows 2000 Server(SP3)、ならびにFrontPage Version 2002もしくはそれを含むOffice XPのライセンスが必要。クライアント側は、基本的にWindows 2000 Serverのクライアントアクセスライセンスのみで構わないが、Office XPやExchange 2000 Serverとの連携機能を使用する場合には、それぞれについてライセンスが必要になる。

 なお、従来のGroupBoardはアドオンソフトという位置付けだったため、マイクロソフトの正式サポートを受けることはできなかったが、GroupBoard 2.0からは、そのほかのマイクロソフト製品同様、プロフェッショナルサポートの対象となった。ただ、SPTSをベースに新規に開発された製品のため、同1.x シリーズのユーザーが2.0にアップグレードしたり、データを移行したりすることはできない。

関連リンク
▼ GroupBoard 2.0

[中村琢磨, ITmedia]

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