News 2002年9月3日 09:10 PM 更新

違法コピーソフトで授業――MSなどがコンピュータスクール3校に賠償請求

米MSなどが、違法コピーしたソフトを授業に使用していたパソコンスクール3校を相手取り、損害賠償を求める訴訟を起こした。請求額は合計で5億7000万円に上る

 社団法人コンピュータソフトウェア著作権協会(ACCS)は9月3日、米Quarkや米Microsoft、ならびにジャストシステムなど5社が、コンピュータソフトを不正使用していた東京、大阪のコンピュータスクール3校を相手取り、著作権侵害による損害賠償請求訴訟を東京地方裁判所、ならびに大阪地方裁判所に提起したと発表した。

 被告は、「東京コンピュータ専門学校」を経営する学校法人豊樹学園、「東京ゲームデザイナー学院」のエッグエデュケーショナルインテリジェンス、ならびにPCスクール「ヘルプデスク」運営のヘルプデスクの3法人。被告らのコンピュータスクールでは、「Microsoft Office」「QuarkXPress」「一太郎10」などのソフトを違法コピーし、生徒や受講生が実習に使用するPCにインストールしていたという。内部からの情報提供で発覚した。なお、ヘルプデスクに関しては既に証拠保全手続(担当裁判官が立ち会う調査)が行われている。

 「コンピュータ技術やデジタルコンテンツの創作技術を習得させるという重要な教育事業を営んでおり、知的財産の重要性について、高い意識を持つべきだ」(ACCSの久保田裕専務理事)。

 ACCSによれば、被告はいずれも不正使用の事実を認め、損害賠償の支払いに応じる構えを見せている。しかしながら、金額面での折り合いがつかず、メーカーが訴訟に踏み切ったという。被告3校がぞれぞれ請求された損害賠償金額を合算すると約5億7000万円に上る。賠償金の算出方法は、違法コピーしていた本数分について、正規品を購入した2倍にあたる金額を支払うというもの。

 なお、資格試験予備校の「東京リーガルマインド」(LEC)がソフトの不正使用で訴えられたケースでは、原告側はこの算出基準を使用してLECに約1億1400万円の損害賠償を請求。東京地裁はLECに対して、8500万円の支払いを命じる判決を下している(2000年4月19日の記事2001年5月16日の記事参照)。

 ACCSではここ数年、企業だけでなく、教育機関における違法コピー防止に向けて啓蒙活動を活発化。国公私立大学や専門学校に対し、ネットワークを悪用した著作権侵害行為の防止や、ならびにソフトウェアライセンスを再確認を促す文書を送付している。



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▼ 社団法人コンピュータソフトウェア著作権協会

[中村琢磨, ITmedia]

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