News 2002年9月5日 11:14 PM 更新

音楽CDのデジタル試聴機はネットワーク対応が主流に

都内ホテルで開催されたデジタル試聴機の展示会では、「ネットワーク対応型」の製品が注目を集めていた

 音楽CDの試聴機といえば、CDプレーヤー型を思い浮かべる人が多いかもしれないが、実は、最近、パッケージではなく音源データを利用するデジタル試聴機を導入する店鋪が増えてきている。日本レコード協会(RIAJ)によれば、7月末の時点で国内216店鋪で1658端末が稼働中だという。

 9月5日、都内ホテルで開催されたデジタル試聴機の展示会では、ネットワーク対応型の デジタル試聴機が注目を集めていた。


各社の新製品が一同に

 デジタル試聴機が普及し始めたのは、従来はパッケージで搬送していた音源データが、昨年の10月からオンラインで配信できるようになったからだ。音源は、RIAJと加盟レコード会社24社が設立したJMD(ジャパンミュージックデータ)が提供。楽曲保有数は、約7万タイトル95万曲。試聴音源は、レコード会社とJMDの契約により、各楽曲の最初の30―45秒となっている。

 JMDのオンライン配信サービスがスタートしたのを受け、「世界初ネットワーク型検索試聴機」の触れ込みで登場したのが、ブイシンクの「リスニングポッド」である。JMDのサーバに専用ADSL回線で接続し、そこに格納されているすべての音源データを試聴できる。CDプレーヤー型の試聴機と異なり、デジタル試聴機では、楽曲の最初のわずかな時間しか聞くことはできないが、100万曲にアクセスできるというのは大きなメリットだ。なお、パッケージで音源を搬送していた頃は、JMDの音源生成から店頭への導入までリードタイムが2週間あったが、オンライン化されてからは、新譜の85%がリリース前に試聴可能になったという。


ブイシンクの「リスニングポッド」。ディスプレイの下にあるバーコードスキャナにCDジャケットのバーコドをかざすと、試聴音源の再生が開始される仕組み。「発売前のCDのプロモーションとして、店頭にバーコードが印刷されたカードを置いてもいい」(ブイシンク)。この試みは、既に宇多田ヒカルの「DEEP RIVER」発売時に行われたとのこと


こちらはプレクスターのデジタル試聴機「リスニングステーション」。現行モデルはネットワークに対応していないが、次期モデルではJMDのサーバにアクセスできるようになるもよう

 このオンライン試聴システムを、レコード販売店のPOSシステムと連携させたのが、プラネットの「HOTNAVI」。JMDのシステムはバーコードスキャンだけではなく、CDが見当たらなかったときなどのために、試聴音源のディレクトリ検索にも対応している。HOTNAVIでは、これを使い、ディレクトリ検索で見つけたCDの在庫が店鋪にあるかどうか確認できるのだ。「これで販売チャンスは逃さない」(プラネット)。

 またHOTNAVIでは、クライアント側に固定式の端末だけでなく、「Pocket PC 2002」搭載端末も使用する。Pocket PCには、バーコードスキャン用のアダプタと無線LANカードを装着。来店したお客さんにこの端末を貸し出して、店内を自由に歩きながら好きな楽曲を試聴できるようにするという。


利用者に貸し出すのは、Pocket PC端末とヘッドホン。またHOTNAVIのシステムでは、店内にキャッシュサーバを設置し、毎回JMDのサーバにデータを読みにいくのではなく、店内サーバからPDAに音源データを配信する

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[中村琢磨, ITmedia]

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