News 2002年10月1日 08:12 PM 更新

電撃アタックで襲撃犯撃退!? 現金護送用ロボット「セコムロボ」

セコムは、現金護送隊員とともに貴金属や現金を護送するロボット「セコムロボ」のプロトタイプを公開した。これは、「国内初の本格追尾型ロボット」だ

 セコムロボ出動だ! セコムは10月1日、悪路走破や自己防御機能を備えた現金護送隊員(現送隊員)追尾型ロボット「セコムロボ」(仮称)のプロトタイプを開発したと発表した。今後、実証実験を行い、2003年度中には“実戦配備”される計画だ。「セコムロボを人間と組み合わせることで、現金護送時の安全性は飛躍的に向上する」(セコム)。

 セコムではこのほかにも、「マイスプーン」という食事支援ロボットを開発しており、「今後、セキュリティのほか、医療・福祉などの分野において、人間の行動の代わりが確実にできるロボットの開発を行っていく」としている。


現金護送隊員(現送隊)と「セコムロボ」。現送隊員はセコムロボが追尾しやすいように、専用のベストを身につける。本体サイズは、1200(長さ)×870(幅)×1400(高さ)ミリ。重量は約380キロ

 セコムロボは、「国内初の本格指示者追尾型ロボット」(セコム)。自分の指示者を音声と画像で認識し、レーザーと超音波を使い、登録された指示者を追尾することができる。追尾中は、障害物を自分で回避可能なほか、平地/スロープ/階段などあらゆる路面状況に対応することが可能。最大走行速度は、定地走行時で約4キロ。また、セコムロボは定地走行時は車輪で駆動するが、階段や段差走行時にはクローラ駆動に変形。最大35度の傾斜を上ることができるという。


クローラ駆動で階段を降りるセコムロボ。車輪駆動からクローラ駆動への変形はスムーズでなかなか見事なものだったが、いかんせんスピードが遅い。降りてる間に襲われてしまうのではないかと心配になる。動画はコチラ


セコムロボ本体上部には全方位カメラが搭載される。現送隊員の画像認識に使用するほか、襲撃犯の顔写真も撮影する


現送隊員のヘッドマウントディスプレイには、セコムロボのカメラの映像が映し出される。「つまり、現送隊員は前を向きながら、背後の映像も見ることができるわけだ」(セコム)

電撃アタック!

 発表会で行われたデモでは、直線ではちゃんと追尾できていたものの、曲がり角に差しかかると、現送隊員を見失い「待って下さい! 待って下さい!」とSOS。その後、自力で現送隊員を発見し、追尾を再開したのだが、これが実戦だったら大変。みすみす襲撃犯にチャンスを与えるようなものだ。セコムロボは、「現在、2人の現送隊員でやっている業務に追加する形で導入される」(セコム)予定だが、「現状だと作業時間は、人間だけでやるより多くなってしまうだろう」という。

 もっとも、セコムロボが拉致されてしまう危険性など、実際にはほとんどないかもしれない。というのも、現送隊員が倒されたり、自分がさらわれそうになったとき、セコムロボは襲撃犯に「電撃アタック」をお見舞いするからだ。発表会のデモでは、「電撃威嚇を起動します」という音声とともに、セコムロボの本体に埋め込まれた多数のスタンガンが一斉に「バチバチッ」と唸りを上げた。


なかなか幻想的な光景だが、イルミネーションではない。不用意に近づくと感電しちゃうぞ! 動画はコチラ

 この電撃アタックはかなりの迫力で、襲撃犯撃退に効果を発揮しそうだが、セコムによれば「(電撃アタックに関して)当局の許可を得たわけではなく、1つの案としてスタンガンというツールを考えてみただけ。現在、現送隊員がスタンガンを持つことも許されていないので、セコムロボの場合もどうなるかは分からない……」とのことだった。ちなみにセコムロボはこのほかにも、「煙幕噴出機能」(かく乱用に煙幕を張る)「襲撃犯捕獲網」(網を発射して襲撃犯の自由を奪う)といった威嚇用手段を備えている。

 また、興味深いのは、電撃アタックなど一連の威嚇機能は、「音声認識でもリモートコントロールでもない」(セコム)という点。では、いったいどうやって操作しているのかというと、「それは企業秘密なので教えられない」(同)とのこと。もしかして、セコムロボが現送隊員や自らがピンチに陥ると、自発的に威嚇を開始するのだろうか? しかしながら、会場にいた現送隊員によれば、「(セコムロボの威嚇行為は)自発的なものではなく、現送隊員の意志によるもの」とのこと。もしかして、テレパシーか!?



関連記事
▼ セコムが日本初の食事支援ロボット「マイスプーン」を発表
セコムとセコム医療システムがさまざまな障害によって手が使えないために介助無しでは食事ができない人をサポートする食事支援ロボット「マイスプーン」を発表した

▼ 福祉・介護の世界で活躍するIT技術
ITの最新テクノロジーは、障害者や高齢者に大きな恩恵をもたらしている。「国際福祉機器展」で、福祉・介護の世界で活躍するIT技術を見てきた


関連リンク
▼ セコム

[中村琢磨, ITmedia]

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.