News | 2002年10月3日 09:52 PM 更新 |
夢かロマンか、はたまた蛮勇か――。元イーベイ社員が設立したネットオークション事業のアイ・オークション(アイオク)。イーベイではマーケティングを担当していた原生社長は、再びネットオークションにチャレンジする理由を「イーベイ時代にやり残したことがあるから」と語る。
米eBayの撤退後、イーベイ社員の多くは、アマゾン ジャパンやグーグルなどのネット企業に新たな職を見つけていった。原社長も、複数の企業からオファーをもらっていたという。しかしながら、オークション事業への未練から、同氏は起業の道を選んだ。
「もしかしたら、キャリア的に見れば企業に就職した人のほうが幸せかもしれない。ただ、ここ数年で、国内にネットオークション文化が根付いてきている。市場はあるのに、イーベイはナンバー1になるという使命があったゆえに、日本から撤退することになってしまった。そこに、なにか引っかかるものを感じた。アイオクは、ネットオークションはヤフーオークションのようなポータルだけではないということを示したい。ネットオークションにはいろいろな形があるはずだ」(同社長)。
アイオクが目指すのは「特定の品物に特化したオークションサイト」を成立させることである。
「イーベイはコレクターアイテムに強いのが特徴だった。その頃からの付き合いで、アイオクに商品を出品してくれるクライアントもいる。この分野に関しては、どのオークションサイトよりも充実させていくというのがわれわれのモットー。コレクターコミュニティー向けのオークションサイトを目指す。eBayの日本撤退を“日本にはコレクターがいないからだ”と指摘した海外メディアがいたが、それは間違っている。日本にもコレクターコミュニティーは存在する」。
「地味にやっていきます」
原社長はアイオクのこれからについて、「地味にやっていく」と話す。現在、アイオクには出資起業からの出向も含めて6人ほどの従業員がいるが、「そんなに増やすつもりもない」という。さらに、「トラフィックの誘導は最重要課題ですが、あんまり増えすぎても困る。システム費用がかさんでしまいますから。むやみに大きくするのではなく、落札率を上げてくれる熱心なユーザーを確保することのほうが大事」と続ける。
「例えるなら、ヤフーオークションは大通りに面した一等地に建っているショッピングセンターで、アイオクは裏原宿のショップといったところ」。
アイオクを立ち上げると言った時、イーベイ時代の関係者からは「普通の会社で働いたほうがいいよ」や「2年間もイーベイにいて、何も分かってないのか」などと冷めた目で見られたという。さらに、原社長によれば ネットオークションのヘビーユーザーが運営する比較評価サイトで行われていた「アイオク」に対するアンケート調査では、「絶対失敗する」という回答が最も多かったという。 だが、原社長は「簡単に終わらせるつもりはない」と決意を語る。
「イーベイのサービス終了が決まってから、商品を出してくれていたお客さんに、“本国のほうが撤退するのでこれっきりで……”と謝って回った。それでも、またアイオクに出品してくれているお客さんもいるのだから、今度は期待を裏切りたくない」。
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