News 2002年10月4日 09:24 PM 更新

「コンピューティングと通信の融合」はIntelで――Otellini氏来日講演

Intel社長兼COOのPaul Otellini氏が来日。「インテル・マネジメント・セミナー」の基調講演に登場した。セミナーではBaniasやハイパースレッディングのデモも行われた

 インテルは10月4日、都内で「インテル・マネジメント・セミナー」を開催。来日したIntel社長兼COOのPaul Otellini氏が基調講演を行った。


Intel社長兼COOのPaul Otellini氏

 Otellini氏の講演内容は、先日行われたIntel Developer Forum Fall 2002(IDF)での基調講演とほぼ同じもの。その概略は、こうだ。

 「メインフレームからPCへと移行してきたコンピューティングの世界は、さまざまなデバイスが融合する第3世代になり大きな変化を迎えようとしている。その究極のゴールは、“いつでも、どこでも、誰もが”コンピュータを活用できる環境をもたらすことにある」。

 「ムーアの法則に象徴される半導体の進化によって、PCだけでなくあらゆるデバイスにコンピューティング機能が備わった。サーバやPCは通信ネットワークに接続され、逆に携帯電話など通信機器は強力な演算能力を持つようになっている。半導体は、このようなコンピューティングと通信の融合を牽引する“エンジン”となる。われわれの使命は、革新的な半導体集積技術によって、コンピューティングと通信の融合を推進していくこと」。


半導体はコンピューティングと通信の融合を牽引する“エンジン”

 Otellini氏は、“コンピューティングと通信の融合”の1つの答えとして、現在開発が進められている新しいプラットフォーム「Banias」を紹介した。同社は、来年上半期に製品化が予定されているBaniasに、802.11a/bデュアルバンドのワイヤレスモジュール「Calexico」を搭載。プロセッサに無線LAN機能を統合しようとしている。

 「Baniasは、開発当初からモバイルワイヤレスコンピューティングを意識していた。そして、最高の駆動時間と性能、小さなフォームファクタ、シームレスな接続性というノートPC向けプロセッサの最高水準を目指して、開発が進められている」(Otellini氏)。

 講演会場では、NEC、松下電器産業、東芝という3社のBanias試作機を紹介。ビジネスマンがカフェのホットスポットを利用して、出先から簡単に無線LANによるワイヤレス通信を行うという設定のデモンストレーションが行われた。


NEC(左)、松下電器産業(中央)、東芝(右)という3社のBanias試作機

 また、自宅にあるTVチューナー内蔵PCを通信で呼び出し、出先のノートPCでTV番組をワイヤレスネットワーク経由で視聴するというデモや、会社のPCにVPNでアクセスしてセキュアなネットワーク環境でファイルを共有するというデモも実演。ワイヤレス環境にシームレスに接続できるBaniasの機能をアピールしていた。

 さらにOtellini氏は、Baniasに続く将来のプロセッサのビジョンについても言及。

 「研究所では、10億個のトランジスタを搭載したプロセッサをすでに開発している。このような高度な集積技術が確立されれば、チップの片隅に無線通信の機能を入れてしまうことだって可能だ。この強力なプロセッサを搭載したインテリジェントな製品は、機器同士でコミュニケーションがとれるようになる。その通信はシームレスに行われ、プロトコルの選択などをユーザーが気にかける必要はない。コンピュータ用デバイスと通信用のデバイスは統合されていく」(Otellini氏)。

ハイパースレッディングのデモも

 また、併せて「ハイパースレッディング」のデモも実施。これは年内発表予定のデスクトップPC向けプロセッサ、Pentium 4/3GHzに最初に搭載されると見られており、セミナーでは同プロセッサを搭載した自作機とCeleron/1.2GHzを搭載したデスクトップPCを用意。熱帯魚がデスクトップを泳ぐ「AQUAZONE2」と、MPEGエンコーダソフト「TMPGEnc」によるビデオ圧縮、DVDソフトの再生という3つのアプリケーションを同時に動かして、1個のプロセッサが論理的に2個のプロセッサであるかのようにデータ処理できるハイパースレッディングの優位性をアピールした。


ハイパースレッディングのデモのようす

 「コンピューティングと通信の融合は大きなビジネスチャンスを提供する。そしてインテルの半導体は融合のコアデバイスとなる。日本はこのような融合をもっとも歓迎する市場。日本の最高の技術とインテルの技術は成長のための強力な方程式になる。現在のような景気後退の時こそ、皆が買いたいと思う製品を提供する必要がある。そして、それによって不況から脱出したい」(Otellini氏)。



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[西坂真人, ITmedia]

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