News | 2002年10月10日 11:23 PM 更新 |
「新しいビジネスモデルを、より効率的なストリーミングによって提供したい」。
Windows Media 9 Seriesのプレステクニカルセミナーで、マイクロソフトの河野 万邦氏(ニューメディア&デジタルデバイス本部マーケティング部シニアプロダクトマネージャー)は、コンテンツプロバイダがWindows Media 9 Series(以下、WM9S)を採用するメリットの1つをこう語った。
WM9Sには、ライブコンテンツやオンデマンドコンテンツのいずれでも使用できる「DRM(Digital Right Managiment)」が実装されている。コンテンツプロバイダは、これによって、よりセキュアな環境で、ストリーミングサービスを展開できるようになる。もちろん、DRMを用いることで、ストリーミングデータは暗号化され、視聴回数や期間、コピー可/不可、コピーの回数などまでを細かく制御可能だ。
また、WM9Sでは広告もサポート。コンテンツプロバイダーが広告効果を確認できる詳細な利用状況レポート機能などを提供している。プラグインアーキテクチャも採用されており、サービスにフィットした形で新たな機能を提供することもできる。
さらにWM9Sでは、より魅力的なストリーミング環境にする「ファストスタート」、「ファストキャッシュ」、「ファストリコネクト」などの機能を搭載する。
ファストスタートは、コンテンツ再生までに必要なバッファリング時間を大幅に短縮する機能。これまで数秒から数十秒必要だったものが、デモでは再生を開始した瞬間に再生が始まるほどの高速化がなされていた。
同社によると、この高速化はストリーミング開始時に端末とサーバ間で帯域の確認などを行い、バッファリングデータをバースト転送することで実現しているという。
ファストキャッシュはファストスタートと似たような機能だが、ネットワークの混雑などでバッファが空になり、映像などが途切れないようにする機能だ。ネットワーク帯域で許される最高速度でストリーミングデータのキャッシュを行い、再生が止まることを防いでいる。
ファストリコネクトは、サーバとのコネクションが切断され再生が止まってしまった時に、自動的に復旧し、中断した場所から再開する機能である。
また、ビデオ用の面白い機能として、「Video Smoothing(Frame Smoothing)」という機能も搭載されている。これは足りないフレームを補完して映像の再生を行うものだ。例えば、秒間10フレームしかない映像を「30フレーム」に補完するわけだ。補完というと画像が荒れるようなイメージがあるが、デモを見た限りでは、フレームの補完はスムーズに行われており、かなりの出来の高さだった。
オーディオ用にも「Windows Media Audio 9 Lossless」という面白いコーデックを新たに採用。これは「可逆圧縮」を採用しており、オリジナルを2分の1から3分の1のサイズに圧縮できる。同社では、このコーデックを「オーディオファンを満足させる究極のコーデック」と呼んでいる。
DRMを実装し、従来のストリーミング環境を大きく向上させる機能を搭載してコンテンツビジネスを進めるというマイクロソフト。その願い通り、新しいコンテンツビジネスは果たして花開くだろうか。
[北川達也, ITmedia]
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