News | 2002年10月28日 11:19 AM 更新 |
例えばPXインクを採用する「PM-4000PX」の場合、蛍光灯下で印刷結果を見ると、色評価用の標準光源下で見た場合よりもマゼンタが強く見えやすい。PXインクは光源による影響が特に大きいので、ユーザーならば蛍光灯や白熱灯、太陽光、窓からの光など、さまざまな環境光で見比べてみるといい。
さて、そうした鑑賞環境の問題とは別に、ドライバの設定を正しく行うことも重要だ。ここではエプソンとキヤノン、両社のドライバの設定について紹介しよう。
エプソン製ドライバの場合
エプソンのプリンタドライバは、詳細設定ダイアログ内にあるカラー調整ラジオボタンで、色調整の方法を選択できる。通常、sRGBデータを印刷する場合は[ドライバによる色補正]でガンマ1.8が選択されているはずだ。この設定のままsRGBデータをドライバに送れば、エプソンが開発時に設定した調整パラメータで、感覚的に色がマッチするように出力される(ただし、純正紙しか想定されていない)。
ドライバによる色補正は、基本的にsRGBにマッチさせながら、青や緑で色が飽和している色域(sRGBにクリッピングされた可能性のある領域)を拡張する補正処理が施されているのが特徴だ。また、「PM-970C」と「PM-930C」に関しては、彩度圧縮を行い低彩度領域の鮮やかさをアップさせる処理も施される。それ以外は、基本的に素直な色モードであるため、デフォルト値を基準として、明度、コントラスト、彩度、それにカラーバランスなどをトライ&エラーで調整するのがいいだろう。
またガンマカーブやクリッピングされた可能性のある色域などを含め、完全にsRGBにマッチさせるように設計されたモードもある。 [カラー調整] をsRGBに設定すると、色補正の微調整を行うスライドバーが消える。
sRGBにすると微調整を行えないため、エプソン純正の用紙以外では期待する結果が得られない。ただ、EPSON Natural Photo Colorによる色補正が気に入らない場合や、ドライバによる色補正のトーンカーブが気に入らない場合は、sRGB設定を試すといい。鮮やかさに欠けて見栄えがしないと感じる場合もあるだろうが、基本的にディスプレイと同傾向の色で出力されるはずだ。
キヤノン製ドライバの場合
キヤノンのプリンタドライバはメイン画面の [色調整] ラジオボタンで色調整方法を選択する。デフォルトの [自動] は、sRGB入力を自動的に補正してキヤノンの色設計意図通りに出力するモードである。
このモードでは一切の調整は行えないが、EPSON Natural Photo Colorと同様にsRGBが不得手とする色域に関して拡張した色作りが行われるが、青や緑に加えて肌色を含む全体的な色空間を好ましい色へとシフトさせ、なおかつ破綻がないように非線形な色相変化になるよう調整しているという。
ディスプレイとのマッチング、データとのマッチングともに正確さを意識せず、データに忠実な色を中心に、sRGBで表現できない色域を拡張するのがエプソンのドライバだったが、キヤノンの場合はより好ましい色になるように積極的に色相をずらしながら味付けがされているわけだ。
[本田雅一, ITmedia]
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