News 2002年11月8日 11:59 PM 更新

ハイテクマウスの実力は?――ロジクールのMX-700

新開発の光学エンジンや最新RF無線方式の採用など、最新技術が盛り込まれているロジクールのコードレス光学式マウス「MX-700」。その実力を、発売前にチェックしてみた

 ロジクールが先日発表したコードレス光学式マウス「MX-700」。新開発の光学エンジンや電波を使った無線方式の採用するなど、最新技術が盛り込まれている。このハイテクマウスを11月15日の発売前(発表当初は10月25日発売とアナウンスされていたが変更された)に触ることができたので、その使用感をお届けしよう。


ロジクールのコードレス光学式マウス「MX-700」

 使いやすい理想のポインティングデバイスを追い求めて、マウスをいくつも買い込んでいるユーザーは多い。マウスオペレーションを基本としている現在のPC環境では、ユーザーに1番身近なインタフェースがこのマウスだ。それだけに、PCショップにはさまざまなカタチ/色/機能の製品が所狭しと並んでいる。

 また、その価格も幅広い。バルク品では数百円で買えるものもあれば、標準価格で1万円を超えるものもある。そんな中でMX-700の価格は、実売で9800円前後とマウスの中では明らかに“高級機”。だがその価格は、使いやすさを追求して最先端のテクノロジーを駆使した結果でもある。


MX-700はマウスの“高級機”

 そのテクノロジーの1つが、新開発の「MXオプティカルエンジン」。従来の光学式マウスの多くが400dpiの分解能だったのに対して、MX-700の新エンジンでは分解能が2倍の800dpiとなり、さらにその高解像度情報を従来機の約3倍のスピードで読み取れるようになった。

 表示能力が向上した最近のPCでは、大画面ディスプレイで高解像度画面を表示するのが当たり前になっている。広い画面ではマウスの移動距離も増えるため、マウスのプロパティでポインタの速度を上げて移動距離を最小限に抑える設定を行うのだが、これだと精密な動きに対応できない。分解能や読み取り処理スピードが遅かった従来の光学式マウスでは、この傾向が顕著に表れていた。

   MXオプティカルエンジンを搭載したMX-700は、大画面環境でもスムーズかつ正確にマウスポインタをコントロールでき、手のアクションを最低限に抑えられる。実際に使ってみると、確かにこれまでの光学マウスに比べて、素早いマウスさばきや繊細な動きにもしっかり反応しているのが分かる。

エルゴノミクスデザインのマウス本体は、やや重め

 マウス本体の形状は、手にフィットするエルゴノミクスデザイン。独自の「クルーズコントロールボタン」やWeb閲覧に便利な「フォアード&バックボタン」、「アプリスイッチボタン」など、合計8つのボタンを装備している。これらボタンの機能割り当ては付属のアプリケーション「MouseWare」で自由にカスタマイズすることも可能だ。


8ボタンのマウス本体は、手にフィットするエルゴノミクスデザイン

 バッテリーは汎用タイプの単3形ニッケル水素充電池を2本使う。日常的に使うマウスは、ひんぱんに充放電を繰り返すことになるため、バッテリー劣化もそれだけ早くなる。専用充電池をマウス本体に内蔵する方法よりも、手軽に入手・交換ができる汎用タイプがベターなのかもしれない。わずか10分間のクイックチャージでも約2時間は使え、4時間30分のフル充電後は約10日間の利用が可能になる。


バッテリーは汎用タイプの単3形ニッケル水素充電池を使用

 マウス本体の重さは約120グラムだが、バッテリーを入れると170グラムぐらいになる。滑りがいいので、机にピタリと置いて使っている時にはあまり重さを感じないが、マウスを使っていると操作場所をちょっと変えたくなってヒョイと持ち上げることはよくある。この時に170グラムの重さを実感する。ズッシリとした安定感はあるので、このあたりは好みの問題だろう。

便利なクレードルを標準装備

 MX-700は、ワイヤレス受信機と充電器が一体になったクレードルが標準でついてくる。携帯電話ライクなこの充電方式は、手軽で便利なだけでなく省スペースにも貢献し、何よりも見た目がスマートだ。


ワイヤレス受信機と充電器が一体になったクレードル

 このクレードルへの電源供給は、USBのバスパワーではなく付属のACアダプタを利用する。これはちょっと残念。ただしACアダプタの接続方法に工夫が施してあり、クレードル本体側ではなく、USB端子側にコネクタが装備されている。つまり、PCの場所からACアダプタの電源コードがコンセントにつながるので、クレードルから出ているのはUSBケーブルのみということになり、見た目上はバスパワーで動いているかのようになるのだ。机の上に出るものには、極力ケーブルが無いほうが好ましいので、この方法は評価できる。


USB端子側に装備されたACアダプタのコネクタ

 MX-700は、このクレードルとマウス本体とのワイヤレス通信にも最新技術が導入されている。

 コードレスマウスのデータ転送では、赤外線(IR) と無線周波数(RF)の2つの方式が一般的だ。MX-700のワイヤレス通信はRF方式を採用している。見通しが必要なIR方式に比べて、障害物に強いのがRF方式の特徴。電波の届く範囲ならコードレス受信機をどこに置いたってかまわないのだ。

 その一方で、データの転送速度が遅いのがRF方式の欠点だった。MX-700では、従来のRF方式に比べて約2.5倍の処理能力を持つ「Fast RF」と呼ばれる無線周波数技術を採用してその欠点を克服している。

 マウス操作が可能な距離は半径約1メートル。データ通信に見通しは必要ないので、クレードル(受信機)を机の下や本棚の上、さらには机の引出しに入れてもちゃんと操作できた。

最先端テクノロジーは「光学式」と「ワイヤレス」で快適に操作するため

 光学式のレスポンスの遅さをカバーする「MXオプティカルエンジン」や、RF方式ワイヤレスの欠点を克服する「Fast RF」など、MX-700に搭載された最新テクノロジーはすべて、ワイヤードマウスの性能をコードレスマウスで実現するためのもの。さらにクレードル方式の充電スタイルが、乾電池交換の煩わしさからも解放してくれた。値段が少々高い点と重さ以外は、お勧めできる一品だ。

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[西坂真人, ITmedia]

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