News 2002年11月12日 02:13 PM 更新

ついに始まるDVD-RWへの「DVD+RW VR記録」

理論上は可能と言われながら、実現されていなかったDVD-RWメディアへのDVD+RW VRを使用した記録に対応するソフトが登場する。今後こうしたソフトが主流になっていくかもしれない

 記録型DVDの物理フォーマットに関係なく自由にアプリケーションを記録できるのがPCの便利な点の1つだが、これを実践するソフトがついに登場する。ユーリードシステムズが12月13日に発売するDVDオーサリングツール「Ulead DVD MovieWriter2」がそうだ。このソフトは、DVD-RW/+RWにDVD+RWアライアンスが策定した「DVD+RW Video Recording Format」で記録できる初の製品だ。


Ulead DVD MovieWriter2の起動画面。映像のキャプチャから編集、オーサリングまでこなす

 PCで使用する記録型DVD用のアプリケーションソフトは、DVDレコーダなどの専用機とは異なり、物理フォーマット(DVD-R/RW/RAM、DVD+R/RW)にとらわれることなく、自由に論理/アプリケーションフォーマットを組み合わせることが理論上は可能だ。これは、記録型DVDの規格が、物理、論理、アプリケーションの3つのフォーマットに分けて規格化が行われ、DVD-VideoやDVD-Video Recording Format(DVD-VR)、DVD+RW Video Recording Format(DVD+RW VR)は、すべて物理/論理フォーマット上に載るアプリケーションフォーマット(データの形式)だからだ。

 例えば、DVD-Videoでは、「VIDEO_TS」というフォルダがあるが、DVD-Videoプレーヤーで再生を行う場合に必要となるメニューデータや実際の動画データは、ファイルとしてこのフォルダ内に記録されている。DVD規格では、DVD-Videoなどのアプリケーションは、このようにすべてPC上で扱えるファイルとして記録されており、アプリケーションフォーマットとは、記録するファイル(データ)の形式を定めたものというわけである。このため、理論上は、DVD-RWメディアにDVD+RW VRで記録を行ったり、その逆のDVD+RWメディアにDVD-VRで記録を行うことは可能。しかし、これまでそういったソフトは発売されていなかった。

 理由は、ソフト側が、DVD-R/RWドライブやDVD+R/RWドライブでDVD-VRやDVD+RW VRなどのリアルタイム映像記録アプリケーションを実装するために必要となる書き込み方式をサポートしていなかったからである。

 DVD-Videoは、再生専用を前提として設計されているので、1回書きの「Disc At Once(DAO)」に対応していれば良い。しかし、DVD+RW VRなどのリアルタイム映像録画アプリケーションでは、記録後に部分削除などの簡単な編集作業を行えるだけでなく、空き領域に新たな映像を追記できる。このため、ボーダーやセッションといった単位での追記ではなく、「ファイル単位」といった、より小さな単位で追記が行える記録方式をサポートする必要がある。

 具体的には、DVD-RWでは「リストリクテッドオーバーライト」、DVD+RWでは「ランダムアクセスライト」と呼ばれている記録方式に対応する必要がある。これらの記録方式は、いずれも通常はパケットライトソフト(ランダムアクセスライトソフト)で使用されているものである。1ECCブロック単位で記録を行うことができ、データとデータの繋ぎ目にリンクブロックを必要としない「ロスレスリンキング」でデータの記録を行えることが特徴だ。実際、民生用のDVD-R/RWレコーダでも、DVD-RWメディアを使用する場合は、リストリクテッドオーバーライトを使用して記録を行い、DVD-VRモードやビデオモード(DVD-Video互換モード)による映像録画を実現している。

 Ulead DVD MovieWriter2では、DVD+RW VRに対応すると同時に、新たにDVD-RWのリストリクテッドオーバーライトとDVD+RWのランダムアクセスライトの2つの記録方式をサポートしている。これによって、DVD+RW VRによる記録をDVD+RWはもちろんのこと、DVD-RWにも行えるようになった。

 実際にサンプル版を使ってテストを行ってみたが、問題なくDVD-RWメディアにDVD+RW VRを使用して記録を行うことができた。また、一度記録した映像を削除し、新たな映像を追加するといったこともできた。もちろん、DVD+RW VRの特徴であるDVD-Videoとの互換性も確保されており、作成したディスクは、DVDレコーダ(パイオニアの「DVR-2000」と松下電器産業の「DMR-HS2」)で再生できることを確認している。

 さらに、Ulead DVD MovieWriter2では、DVカメラなどから映像をキャプチャしながらDVD+RW VRを使用して、メディアにダイレクトに記録することもできる。この機能もテストしてみたが、問題なく利用できた。


Ulead DVD MovieWriter2は、DVD-RWメディアに対してもDVD+RW VRで記録できる

 ただし、発売元のユーリードシステムズでは、DVD-RWメディアへのDVD+RW VRを使用した記録は、PC上での再生のみ正式サポート扱いで、DVDプレーヤーでの再生は、現状では非サポート扱いにしている。同社によると「現在、DVDプレーヤーは再生チェックを行っている段階で、すべてのチェックが問題なく終了すれば正式にサポートする」ということのようだ。

 他のメーカーでもUlead DVD MovieWriter2のようにDVD-RWメディアに対してDVD+RW VRを使用した記録をサポートするという動きはある。DVDレコーダでは、実現される可能性が低いこの機能は、PC上では標準サポートとなる可能性が高い。今後は、DVD-VRをDVD+RWメディアで行えるような製品も登場することになるのではないだろうか。

関連リンク
▼ ユーリードシステムズ

[北川達也, ITmedia]

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