News | 2002年11月13日 09:12 PM 更新 |
ソフトバンクグループは11月13日、ADSLサービス「Yahoo!BB」会員向けの動画配信サービス「BBケーブルTV」の試験サービスを12月5日から開始すると発表した。ADSLを活用してCATVと同様のサービスを提供する。2003年初頭にも本サービスをスタートする計画だ。
「メジャーなハリウッド映画も配信」
BBケーブルTVは、Yahoo!BBのADSLモデムと専用セットトップボックス(STB)を接続、家庭用TVでブロードバンドコンテンツを楽しめるサービス。ソフトバンクグループのビー・ビー・ケーブル(BBケーブル、クラビット子会社)が運営する。
視聴できるのは、CATVのように番組を流す「放送サービス」と、映画などをオンデマンドで配信する「ビデオオンデマンドサービス」(VOD)の2種類。放送サービスは「ベーシックパッケージ」として基本料金で好きなだけ視聴可能。ニュースやバラエティ、音楽など十数チャンネルから選べる。
VOD向けコンテンツではワタナベエンターテインメントやホリプロなどの芸能プロ、釣りビジョン、ライバルズ、アミューズピクチャーズなどがコンテンツを供給する予定。また「ハリウッドの複数のメジャースタジオと水面下でほぼ合意している」(ビー・ビー・テクノロジーの孫正義社長)とし、来年には数千タイトルのハリウッド映画を配信できるという。
番組の視聴などはリモコンですべてを操作できる。巻き戻しや早送り、一時停止といった、ストリーミングならではのトリックプレイも可能だ。
「100万人が同時に見てもビクともしない」
動画はMPEG-2形式で、配信帯域は「DVD並み」の2Mbps。VODはユニキャスト方式だが、放送サービスにはマルチキャスト方式を採用。「100万人が同時に接続してもビクともせず、ネットワークも混雑しない」(孫社長)という。
現状では、2Mbpsで利用できるユーザーは下り8Mbpsユーザーの63%、同12Mbpsユーザーの78%。ただ来春から来夏にかけ、DVD並み動画を750Kbpsで視聴できる新型STBを投入する計画。この結果、8Mbpsユーザーで81%、12Mbpsユーザーで97%がサービスを利用できるようになるとしている。
また新型STBのリリースと同時期に、広帯域動画の品質を「ハイビジョン並み」に引き上げる。その分MPEG-2では帯域幅が拡大してしまうため「MPEG-2以外の動画方式も検討している」(BBケーブル)。
コンテンツプロバイダの著作権に配慮し、STBにはHDDなどによる番組蓄積機能を内蔵せず、ICカードで解除できるスクランブルをかけて配信する。
STBは韓国Samsung Electronics製。STB内のソフトウェアはフラッシュメモリに記録しており、ユーザーの要望に応じて番組選択画面などを柔軟に変更できるとしている。価格は「ADSLモデムより少し高い程度」(孫社長)という。
全国展開は来春以降
料金は未定だが、専用STBの使用料金と、放送サービス部分込みで月額2500円程度になる見込み。VODはコンテンツに応じて料金を支払う方式となる。
1カ月程度の試験サービス期間を経て、来年初頭にも本サービスを開始する。当初はサービスエリアが都内に限られるが、来春以降にも全国に拡大する計画だ。
無料試験サービスは東京23区内のYahoo!BBユーザー約500人を対象に実施する。視聴状況を把握するためにモニターは公募せず、抽出したユーザーに対し直接通知して了解を得る形とした。
「BBらしいキラーアプリ」
同日に都内で開かれた発表会で、孫社長は「BBケーブルTVはブロードバンドらしいキラーアプリケーション。電話回線と純粋なIP網、マルチキャスト方式を使ってこれだけの規模でブロードバンド放送を行うのは世界初だろう」と自信を見せた。
新サービスの利用者数やARPU(1ユーザー当たりの収入)に目標については「やってみないと分からない。数字については慎重になりたい」として明らかにしなかった。
[小林伸也, ITmedia]
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