News | 2002年11月20日 01:09 PM 更新 |
「Blu-rayはこれから市場に出るわけですが、開発している本人が、これは欲しいなと思えるものです。こういう思いになったのは、過去を振り返ってみるとCDの時以来。DVDも魅力的でしたが、そういう思いはDVD以上に強いです」。
「Blu-ray Discファウンダーズ」の中核メーカーの1社である松下電器産業のメディア制御システム開発センター所長 田中伸一氏は、現在開発が進むBlu-ray Discについてこのように話す。
Blu-ray Discはリライタブル規格がすでにまとまり、10月に開かれたCEATECでも各社が試作機を展示。製品化に向けて順調に開発が進んでいるように見える。だが、その詳細な情報は意外と不足しており、「どういったことが実現できるのか?」とか、「従来のDVDと比較してどのように変わったのか?」という点は、一般には不透明なままだった。
その点に対する開発者側の答えが、冒頭の田中氏の発言というわけだ。「DVD以上に魅力的な規格に仕上がっている」という田中氏に、Blu-ray Discの機能の詳細や、今後の展開について話をうかがった(関連記事:松下電器が考えるBlu-ray Discレコーダ像は?)。
DVD-RWとDVD-RAMの良いところを取ったBlu-ray Disc
「(Blu-ray Discは)DVD-RWとDVD-RAMのいいところ取りをしたようなもの。形の上ではDVD-RWに近くしていますが、ランダムアクセス性や、部分的な書き換えをどこまで細かくできるようにするかなどの点については、DVD-RAMの良いところを取り入れました」。規格化をすでに終えたリライタブル仕様のBlu-ray Discの物理的な特性について、田中氏はこのように話す。
リライタブル仕様のBlu-ray Discは、「約1000回」の書き換えをサポートしたメディアを採用。これまでの光ディスクの歴史から考えると、現在の仕様は、CDでいうところのCD-RW、DVDでいうところのDVD-RWやDVD+RWといった印象を受ける。
しかし、田中氏は、それはちょっと違うという。現状のBlu-ray Discは、リライタブルとはいってもCDやDVD規格とは異なったアプローチが最初からなされているのだそうだ。
「DVD-RWでは、DVD-ROMと同じようにプレーヤーでの再生互換が最優先。だから、ROMのフォーマットからあまり変えることができないという“縛り”がありました。しかし、今回はROMが後。ですから、リライタブルとしてベストなものを最初から追求できるという点がDVDと大きく異なります」。
ディフェクトマネジメントは最初から搭載
その一例として田中氏は、ディフェクトマネジメント(メディアの欠陥管理)を挙げる。
「ディフェクトマネジメントは最初から規格に盛り込んであり、その上で、部分書き換えをしやすいような手当てもちゃんとしています」。同氏はこう言ってディフェクトマネジメントの存在を認めた上で、「書き換えを初めから考慮したようなフォーマットを採用しました。もちろん、PCとAVが最初からきちんといけます」と言う。
実のところ、ディフェクトマネジメントをどうするかという点は、Blu-ray Discでは大きな問題だった。というのも、AV記録、つまり、ビデオ記録の世界では、下手にディフェクトマネジメントを行ってしまうと、リアルタイムの映像記録に支障をきたしてまうことがあるからだ。
しかし、PC用で使用することを考えると、信頼性を確保するためにディフェクトマネジメントは必須。しかも、DVD-RWに近いBlu-ray Discでは、ディフェクトマネジメントを実装するとき、ディフェクトテーブルをメディアのどの位置に確保するかで、再生互換性が変わってきてしまう。例えば、ユーザーデータ領域の前に配置するか後ろに配置するかの違いで読み出すことができなくなってしまうのだ。
[北川達也, ITmedia]
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