News 2002年11月21日 03:27 PM 更新

大幅に強化されるOutlook 11

MicrosoftはCOMDEXでOffice 11の海外記者向け説明会を開いた。そのポイントの1つがOutlookの大幅な強化だ

 米国ラスベガスで開催中のCOMDEX/Fall 2002において、Microsoftは次期Office(正式名称未定、通称Office 11)の海外記者向け説明会を開いた。Office 11は来年中旬の発売が予定されている。

 Office 11の改善点は大きく分けて、

  • Outlookの大幅な強化
  • XMLデータへ直接接続する機能の実装
  • SharePoint Team Serviceの強化とOfficeアプリケーションとの連携

の3つ。なお、すでにいくつかの報道があるXDocsは、XMLスキーマや対応する入力フォームを開発するツールとなるようだが(10月10日の記事参照)、スタンダードなOfficeパッケージには同梱されないため、今回のセッションで説明は行われなかった。おそらく開発者向けパッケージに含まれると思われる(一部の報道でPDFとXDocsの競合について言及するものがあったが、両者は全く異なるもの)。

 まず、この記事ではOutlookの強化について紹介することにしたい。

データベース構造を一新したフルモデルチェンジ

 従来のOutlookは独自形式のデータベース上で、メールやスケジュールなどの情報アイテムを一括管理する方式だったが、ストレージに利用するデータベースのパフォーマンスが低すぎるとの指摘が多かった。一括管理を行うのはOutlook 11でも同じだが、PST(個人用フォルダ)やOST(Exchangeメールボックスの複製ファイル)のデータベース構造を大幅に見直し、パフォーマンスが大きく改善されているという。旧PST、OSTはデータベースサイズが最大で2Gバイトを想定しており、パフォーマンスのスケーラビリティが著しく低かった。

 また新しいメッセージデータベースは、検索インデックスを利用した高速検索もサポート(現行OutlookはExchange 2000のインデックス検索に依存しており、ローカルデータベース上での検索が非常に遅い)し、同様にフォルダビューの並べ替えや分類もインデックスを利用して素早く切り替えられる。

 さらに新メッセージデータベースは、データベース複製を行えるように設計変更が行われた。例えばデスクトップPCとノートPCの間で、Exchangeサーバを介すことなく同期を行うことができる。Exchnageを利用していないモバイルユーザーには福音と言えるだろう。

 個々の機能改善や機能追加は目で見てよく分かるため目立ちやすいが、こうした基礎的なパフォーマンスや運用性の改善は、既存ユーザーにとって大きな魅力となるはずだ。見方を変えると、これまでのパフォーマンスが低かったとも言えるが、今回の改善でそうした批判を一掃できるだろう。

画面表示形式の一新

 Outlook 11のデフォルト画面レイアウトは、フォルダビュー、メッセージリスト、メッセージプレビューのそれぞれの領域が、縦分割で並ぶ新しいものになった。Microsoftによると、いくつかのレイアウトでユーザービリティテストを行った結果、このレイアウトが最も多くの情報量を得られるとの結論が出たという。縦型にすることで横分割よりも多くのメッセージをリストでき、またプレビュー画面でもより多くの行数を同時に表示できる。

Outlook 11のデフォルトの画面レイアウト

 メッセージの表示エリアはペーパーライクなデザインとなり、文字表示にもClearType技術を用いて電子ブック並みの品質で表示できるという。

 さらに画面を詳細に見ると、フォルダビューのツリーにメール関連のフォルダしか表示されていないことがわかる。メール利用時に他のフォルダをマスクすることで操作性を改善しようとしているようだ。右下のタスクトレイにはアウトルックのアイコンが並んでいるが、これは今回から追加されたメール着信通知機能のアイコンである。


 以下はスクリーンショットと共に、各機能についてコメントしよう。

従来のOutlookにもフラグ機能はあったが、分類は可能なものの色分けするには、フラグを設定した後で、色分け機能を用いて特定種類のフラグに色を付ける設定を行う必要があったが、Outlook 11ではこれを簡略化し、最初から色付きのフラグを付与できるようになった

あらかじめ条件が設定されたサーチフォルダという特殊なフォルダがフォルダツリーに追加されている。これをクリックすると、あたかもフォルダのように見えて検索条件でフィルタリングしたメッセージリストにアクセスできる。未読メッセージだけの一覧や、サイズの大きな添付ファイルを探す場合などに便利

検索機能そのものはローカルインデックス以外、従来と同じ。しかし、検索結果をサーチフォルダに保存する機能が加わっている。これにより普段よく利用する検索を、フォルダにアクセスするのと同じように行うことが可能になる

サーチフォルダのアイテムは検索結果を登録数だけでなく、新規作成でカスタムのフォルダを作成することも可能



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[本田雅一, ITmedia]

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