News | 2002年11月25日 12:21 PM 更新 |
ジェネラルオーディオとしては十分な性能
では音質的にはどうなのだろうか?
前述した通り、スピーカーの振動板が分割共振するのだから、ピュアオーディオ的な評価を行うと決して良い結果にはならない可能性はあるがが、一般的なスピーカーとしてある程度の水準はクリアしている。もちろん、PC用としてはもう十分なレベルだ。PCの周辺はスピーカーを置きたくとも、置く場所を確保するのはなかなか難しい。
また標準添付のスピーカーともなるとコスト面でも厳しく、ロクな音がしないものが多い。それらの置き換えとして考えると、かなり良いというのが正直な感想。いや、期待していなかっただけに、普通にクリアな音でかなり驚いてしまった。
さらに、音の指向性が非常に弱く、どの位置から音を聞いても音質の変化をあまり感じないのだ。コンベンショナルなスピーカーは、音が良く聞こえる場所が非常に限られており、特に高域ほど指向性が強い。ところがNXTのスピーカーは、高域も部屋全体に広がるのだ。これはなかなか新しい感覚。
ただし、音質を特に気にする人には気になる部分が無いわけではない。共振を利用しているためか、音の減衰が遅く、わずかにエコーがかかったようになる。これはアクチュエータ部に触れている部分と周辺部で、音が出るまでのわずかな時間差があるためだろう。機種によっては、振動板に特殊なダンパーを挟んでいるそうだから、同じNXTの技術を使った製品でも、スピーカーごとに事情は異なるのかもしれない。
まぁ、しかし、そんなことはかなり細かい話。おおむね高音質と言って差し支えない。少なくとも一般向けのジェネラルオーディオとしては、デザイン面での優位も考えると、かなり魅力的な技術であることは間違いない。
ただ、個人的にはもう少しデザインの自由度を活かした製品があればいいのにとまじめに思ったりする。スピーカーをスピーカーの形で置くのではなく、ディスプレイ前のパネルが振動して音が出てくるのと同じように、部屋の中の風景になじむ別のモノがスピーカーになったりしたら、すごく楽しくはないだろうか?
ピエゾを使ったアクチュエータで小型デバイスにも組み込みを
通常のNXTスピーカーに使われているアクチュエータ部はボイスコイルを使ったものだが、NHTはピエゾ素子を用いたアクチュエータによる提案も行っている。ピエゾ素子は非常にコンパクトなため、意外なところにスピーカーを埋め込むことが可能になる。
たとえばNXTは携帯電話のディスプレイをスピーカーにするソリューション提案を行っている。欧州ではすでにSiemensが採用しているそうだ。ディスプレイ部のカバーにピエゾ素子を取り付けることで、スピーカーレスで音を出せる。なかなかクリアな音がするため、着メロユーザーの多い日本ではウケるはずだ。このほかたとえば、カーナビの画面をスピーカーにしてしまうといったアイディアもおもしろいと思う。
これまで小さな質の低いスピーカーしか組み込めなかったところに、この技術が応用されていけば、コストも安いだけにあちらこちらでNXTの技術を見かけることになるのかもしれない。
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[本田雅一, ITmedia]
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