News 2002年11月29日 08:54 PM 更新

“デュアルチャネルDDRメモリ”がお得になる理由(1/2)

これからの高性能チップセットのトレンドと目されているデュアルチャネルDDRメモリ。性能的なメリットはよく話題となるものの、サーバクラスの超大容量メモリを搭載する場合、コスト的なメリットも大きいことはあまり知られていない

 11月19日に、インテルがサーバ/ワークステーション向けのCPUとチップセットを発表した11月19日の記事。CPUであるXeon(FSB533MHz版)と、Xeon用チップセット「Intel E7505」が主力となった発表であったが、ヘビーユーザーの間で噂となっていた製品も並んで発表となった。Pentium 4用チップセットでありながら、ワークステーション(およびハイエンドPC)向けとして位置づけられる「Intel E7205」だ。

メモリ転送速度を向上する「デュアルチャネルDDR」とは?

 開発コード“Granite Bay”(グラナイト・ベイ)として知られていたこのチップセットは、Intel初の「デュアルチャネルDDRメモリ」をサポートするチップセットとして、以前よりパワーユーザーの間で大きな注目を集めていた。

 このデュアルチャネルDDRメモリとは、チップセットとメインメモリの接続形態の方式を指す。一般的なチップセットでは1本のみ搭載するメモリバスを2本に増加させ、それらのメモリバスに同時にアクセスすることで、理論上、データ転送速度を2倍に向上させる技術だ。

 DDR SDRAMが実質的な動作クロックを2倍にするのに対し、デュアルチャネルの場合は同じクロックで転送できるデータ量(多少強引だが、バス幅=ビット数と言って言えないことはない)が倍になる。一般的なPC用DDR DIMMは、クロック(正確には2分の1クロック)あたり64ビットデータを転送する規格なので、デュアルチャネルで接続することで、クロックあたり128ビットデータ(64ビット×2)が転送可能となる。

 E7205チップセットでは、PC2100 DDR DIMM(DDR266メモリのDIMM。理論上のデータ転送速度が2.1GB/秒)を2枚使用することで、4.2GB/秒のデータ転送速度を実現している。FSB533MHz版Pentium 4のFSBデータ転送速度が4.2GB/秒なので、帯域をすべて使い切れることになる。

 これは従来のハイエンドシステムであるIntel 850Eチップセット+PC1066 RIMM×2チャネル(またはPC4200 RIMM)と同等で、一般的なIntel 845PE/GEチップセットが対応するPC2700 DIMM(DDR333メモリのDIMM)の理論上データ転送速度である2.7GB/秒を大きく超える。  メモリ側のデータ転送速度と実際のPCの性能は決して同列にできるものではないが、比較的大規模なベンチマークでi850Eは最も高性能なPentium 4用チップセットだったことを考慮すると、ほぼ拮抗(きっこう)するものと考えられる。

 実際に、マザーボードメーカーなどの発表するベンチマーク結果では、E7205はi850と張り合うベンチマーク結果を叩き出している。

 こうした「RDRAMを使用せずとも、i850と同等のメモリ転送速度が得られる」特徴こそ、E7205が注目される理由だ。PC2100 DIMM対PC1066 RDRAMでは、RDRAMが1.8〜2倍程度高価なため(256MBノーブランド品同士の実勢価格比較)、ハイエンドクラスのPCのシステム価格を大きく削減することができる。

 ただし、もちろん欠点もある。E7205ではi845シリーズと比べ、チップセットからメモリスロットへの配線が2倍必要となり、さらにマザーボード上の設計難易度も増すため、チップセット自体、およびマザーボードの価格が増す。

 現在販売店に通知されているE7205搭載マザーボードの実勢価格は、安価な製品で2万5000円程度、高価な製品で3万5000円程度となっており、同程度の機能を備えたi845PE搭載製品と比べて5000円−1万円程度高価となる。


“Granite Bay”として知られるE7205チップセット。デュアルチャネルDDR対応に加え、AGP 8x対応など最先端の機能を持つ

デュアルチャネルメモリは“メモリスロット4本”を実現できる

 こうした事情から「高性能だが高価」という評価が一般的になりつつあるE7205搭載システムだが、実は一定の条件を満たすと、PC本体レベルのコストパフォーマンスがi845PE/GEと比べても高くなる。

[橋本新義, ITmedia]

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