News 2002年11月29日 11:59 PM 更新

スクウェア・エニックス、“世界No.1ゲームソフトメーカー”へのシナリオ

大きな衝撃を与えたスクウェアとエニックスの合併ニュース。その興奮冷めやらぬ11月29日、両社のトップが新会社の戦略を語った

 スクウェアとエニックスが11月26日に発表した合併のニュースは、業界や一般ユーザーに大きな衝撃を与えた。

 その興奮冷めやらぬ11月29日、エニックスとスクウェアが新会社の戦略説明会を実施。先日の合併記者会見と同様に、エニックス会長の福嶋康博氏、スクウェア社長の和田洋一氏、エニックス社長の本多圭司氏の3人が、合併の目的や今後の展開について説明にあたった。


左からスクウェア社長の和田洋一氏、エニックス会長の福嶋康博氏、エニックス社長の本多圭司氏

 新会社の会長に就任予定の福嶋氏からは、「世界最高品質のデジタルコンテンツメーカーを目指す」「コンテンツ資産やクリエイターなど人的資産の有効活用」「収益基盤の大幅強化」といった合併の目的が語られ、新会社の社長に就くことになる和田氏からは経営状態が良い2社による“攻めの合併”である点など、合併記者会見で語られた内容があらためて強調された。

 両社の合併に関しては、さまざまな声が上がっている。その中には、高収益企業を目指して“堅実路線”を進めてきたエニックスと、映画事業や大規模なオンラインゲームなど“リスキー”な取り組みに果敢に挑戦してきたスクウェアとでは、カルチャーが違いすぎてうまくいかないのではといった見方もある。

 この件について福嶋氏は「エニックスも過去、利益の範囲内で常にリスクを背負ってやってきた。ただし、当たるか当たらないかといった(バクチのような)ことはやらなかった。正直言って3−4年前のスクウェアなら、合併しなかっただろう。だが、和田氏が社長になってからの経営を見ていると、最近のスクウェアはしっかりしてきたという印象で、エニックスに似てきたなということが見えてきた」と語り、ゲームソフトメーカーとして目指すモノは同じであるとした。

強力なタイトル資産の優位性

 今回、業界大手の2社が手を組むことにより、ゲームソフト業界の勢力図は大きく塗り変わる。スクウェアとエニックスの小売ベースでの売り上げ(2002年3月期)を単純合計した時のシェアは15.73%となり、14.91%の任天堂を抜いて堂々トップに輝くのだ。ちなみに、3位はコナミで11.26%、4位はSCEで7.58%、5位はカプコンで7.25%となる。


ゲームソフト業界の売り上げシェア(小売ベース、2002年3月期)

 ただし、ビッグタイトルの有無でシェアの浮き沈みも激しくなるのがこの業界の特徴だ。だが両社は、販売本数が200万本を超える、いわゆる“ダブルミリオン”以上のタイトルを、両社合計で18タイトル(スクウェア10タイトル、エニックス8タイトル)も出してきた。その内訳は、ファイナルファンタジー(FF)がIVからXまで、ドラゴンクエスト(ドラクエ)がIIからVIIまでと、やはり両社の2大代表作がダブルミリオンの中心となっているが、「クロノ・トリガー」(292万本)、「キングダムハーツ」(230万本)、「ドラゴンクエストモンスターズ」(240万本)といったFF&ドラクエ以外のタイトルもある。

 和田氏は、これら潤沢なオリジナルタイトル資産が、合併によって得られる“優位性”であると強調する。

 「ダブルミリオン以上販売されているタイトル自体が全世界的にみても少ない中、われわれは過去にこれだけのダブルミリオン以上のタイトルがある。さらに、FFは海外展開しているが、ドラクエは国内だけでダブルミリオン以上を達成している。両社が合併によることによって、この資産をさらに拡大することができる」(和田氏)。

“イノベーション”の発信源になるため、プレゼンスを確立

 だが、エンタテイメントとして躍進してきたゲーム(デジタルコンテンツ)も、これまでの勢いに陰りが見られているのも事実だ。ゲーム産業自体が、現状で頭打ちなのではという調査報告もある。

 「たしかに、この何年間は決定的な変革が起きていなかったのは事実。ユーザーは今、まさにこのイノベーションを求めている。ここにどう応えるかが、今回の合併の背景にある」(和田氏)。

 ゲームの世界では、ハード(インフラを含む)とソフトの両輪が密接につながって、初めてイノベーションが起こってくる。だがハードの世界は、マイクロソフトが参入するなど世界のトップ企業まで加わった乱戦状態になっており、イノベーションが起こりづらい状況。和田氏は、このような状況だからこそコンテンツメーカーがイノベーションの発信源にならなければいけないと説く。

 「変化への適応力やR&D投資能力といった強じんな企業体質を確立し、デジタルコンテンツのトップメーカーとしてのプレゼンスを確立することが、合併の最大の目的」(和田氏)。

 合併後の事業計画では、初年度となる2004年3月期の連結売上高は610億円、2005年3月期は800億円を目指し、2006年3月期には1000億円企業に成長するといったシナリオが描かれている。

 「このようなむこう3年間の売り上げ目標をゲームの出荷本数でみてみると、それぞれ900万本、1200万本、1500万本となる。今年度の両社の出荷本数を合わせると、すでに1100万−1200万本という数が出てくるので、この売上目標はまったく達成不可能な数字ではない」(和田氏)。

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[西坂真人, ITmedia]

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