News | 2002年12月10日 05:51 PM 更新 |
エンコードK2(ENC K2)は、音質を向上させるという観点から考えると、実に理にかなったシステムだ。
というのも、リコーの「NY74+MA」では、ドライブ側の負担をいかに減らすかという点に注力していた。これは、信号を読み出すときのサーボ変動によるノイズの混入、つまり、エンコードK2(ENC K2)で盛んに言っているところの符号外成分をメディア側からみていかに抑えるかということに着目したと考えることができる。ENC K2も、方法は違うが考え方はほぼ同じ。音質変動の原因となる余分な信号を“とにかくシャットアウトする”わけだ。
では、ENC K2が行っているEFM信号を伝送するときに余分な成分を送らないようにするというこの機能を搭載したCDプレーヤやCD-Rドライブがあれば、音は良くなるのだろうか?――ビクター AV&マルチメディアカンパニー AVM商品開発研究所 桑岡俊治氏(主任技師)は、「(PC用の)CD-Rにこれを入れてもらえば、すべて良くなります。むちゃくちゃ良くなります」という。
もちろん、これには明確な理由がある。「フォーマットエンコーダは、純然たるハード回路だと時間軸に合うちゃんとした回路を作るんですが、PCの場合だと、HDDへのアクセスもあり、リアルタイムでデータをきちんとした負荷変動なしにやり取りすることができません。そういった負荷変動によるノイズが、音質に対しては良くない。変なノイズが多く付加されてしまいます」(桑岡氏)。
同氏によると、これはPC全般に言えることなどだという。「これは、コピーコントロールが入っているとかそういうのは関係なく、PCによるEFMエンコーダというのは、どうもそういう方向にある。だから、当初から、そこを何とかしなければいけないといってメスを入れてきたんです」
音質改善策の1つとしてよく言われているメモリ上にすべてのデータをキャッシュして再生するということについても、「良い軸方向の揺らぎ(ジッタ)は取れる」とそのメリットを認めた上で、それだけではまだ足りないという。
「ただし、取り出すときにアースがつながっています。ENC K2は、その部分がちょっと違うところです。音の場合は、ちょっとした阻害要因があると、その要素がどんどん伝播していって、音を濁らせてしまう。だから、それを取ってやる必要がある。そういう意味では、整形という技術よりは、新たに作り直すという技術を用いないと、どうしても完全に取りきれない」(桑岡氏)。
ENC K2という技術は、まさにその技術。線から点へ、従来とは違う考え方で、徹底したノイズ成分の低減を行ったというわけである。
桑岡氏によるとENC K2の技術はビデオにも有効。「ビデオのタイムベースコレクタというのがありますが、あれは、ビデオ信号の揺らぎをきちんとしたクロックでたたき直して、取ってやるという機能かと思うんです。だから、ビデオもこういった機能(エンコードK2)を入れてやると、もっときれいになると思います」(桑岡氏)。
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