News | 2002年12月11日 06:51 PM 更新 |
Roxioは12月11日、同社社長兼CEOのChris Gorog氏の来日記者会見を実施。Gorog氏は、デジタルメディア関連ソフトウェア群の紹介や国内外での事業戦略、Napster資産を生かしたサービスビジネスの展開について語った。
“ライティングソフトメーカーのRoxio”と聞いても、ピンとこない読者もいるのではないだろうか。だが、“Adaptecのライティングソフト”といえば「ああ、なるほど」とうなずく数も増えてくるだろう。いや、それよりも最近は“あのNapsterを買収した企業”と言ったほうが、通りがいいのかもしれない。
Roxioは、2001年5月にAdaptecのソフトウェア部門がスピンアウトして設立された。企業名の認知度よりも、Windows用「Easy CD Creator」 やMacintosh用「Toast」といったCD/DVDライティングソフトのほうが一般ユーザーにはよく知られている。また、2002年2月にはMGI Software社を買収し、MGIが持っていた写真編集ソフトNo.1シェアの「PhotoSuite」やビデオ編集ソフト「VideoWave」を自社ラインアップに取り込み、デジタルメディア関連の総合ソフトメーカーを目指している。
企業名よりもソフトのほうが知られている理由は、OEM供給率が9割と高く、PCやPC周辺機器などへのバンドルによってエンドユーザーの手に渡っているケースが多いからだ。
「Roxioは世界最大規模のデジタルメディアカンパニーで、インストールベースで1億人のユーザーを抱える。デジタルメディア関連ソフト市場の約半分のシェアをわれわれが持っている。さらに、ライティング/写真・ビデオ編集/バックアップなど多彩なデジタルメディア関連のソフトをラインアップしている。Roxioほど幅広い製品を展開している企業は他にはない」(Gorog氏)。
同社のトップシェア実績は、デジタルメディア関連における高い技術力がバックボーンにある。「Microsoftにテクノロジーが評価され、Windows XPやWindows Media Player 9に、われわれのCD作成機能が採用されている」(Gorog氏)。
デジタルメディア統合パッケージ新製品の発売は来春
Gorog氏が今回来日した目的の1つに、来春発売予定のデジタルメディア統合ソフト「EasyCD & DVD Creator 6.0」のPRがある。
「この新製品は、CD/DVDのレコーディング、写真/ビデオの編集などが統合されて1つのシンプルなアプリケーションになっている。この中には、“Audio Central”という新開発の音楽管理ソフトも含まれている。またDVDオーサリングツール“DVD Bilder”も含まれるほか、Photo Suiteは専用バージョンで用意される。さらに“Drag&Disk”という新開発ツールで、簡単操作も実現している」(Gorog氏)。
ロキシオ・ジャパン社長の漆山正幸氏は、EasyCD & DVD Creator 6.0の発売時期について詳細は決まっていないとしながらも「英語版は来年早々の“まだ寒いうち”にリリースされる。日本においては、リテール/OEM版ともに“桜の咲く前”には、発売される予定」とコメントした。
Napsterの“魅力的な資産”は、どう利用する?
Roxioは2001年11月18日に、Napsterの技術資産やブランド・商標など全資産を買収すると発表。同年11月29日には買収を完了している。
「われわれが買収の中で取得したものは、Napsterの資産/技術/知的所有権/特許のすべて。だが、重要なのは、Napsterの抱える訴訟や法的な賠償責任などは、いっさい“買収”しなかったことだ」(Gorog氏)。
同社は、Napsterの訴訟や負債に関する責務はいっさい負わないことを買収の条件に盛り込んでいる。さらにGorog氏は、同社がNapsterの“闇の側面”に対しては断固反対というスタンスを示してきたことを強調する。
「われわれは、海賊サイトは先頭に立って反対してきた。また、アーティストに対して対価を支払うべきと声高に叫んできた。こういった権利は、デジタルメディアの普及には絶対に必要」(Gorog氏)。
著作権を侵害する行為に対しては断固反対という姿勢を見せる同社だが、最近増えているコピーコントロールCD(CCCD)に関しては「非常に複雑な問題」(Gorog氏)と慎重になる。
「問題は、ディスクのリッピングができてしまい、シェアドサイトに流せてしまうという点。生産的な解決策としては、(ファイル交換システムに)合法的なサービス体制を作ること。もちろん、非合法的なサービスに対しては断固として臨む。逆に、合法的に使おうとするユーザーに対して、それを阻害するコピープロテクションに対してはわれわれは支持しない」(Gorog氏)。
「Napsterのもっとも大きな魅力は、あの巨大なブランド力そのもの」とGorog氏。同社がNapsterのイメージ調査を行ったところ、97%のユーザーが「Napstar=デジタルからのダウンロード」と答え、しかもこれらユーザーはNapsterを好意的なイメージで捉えていたという。
「(ダウンロードに対して)料金を支払うというユーザーも多かった。この有効な資産をどう活用していくかは発表できる段階ではないが、そこでは音楽だけでなくビデオや書籍も扱っていくことを考えている。われわれは、“合法的なサービス”としてのNapsterの復活を目指している」(Gorog氏)。
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[西坂真人, ITmedia]
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