News:ニュース速報 | 2002年12月17日 04:28 PM 更新 |
産業技術総合研究所(産総研)は12月17日、透明な状態と鏡の状態を自由にコントロールできる「調光ミラー材料」で、可視光透過率を従来の3倍となる50%以上に高めた新材料を開発したと発表した。大型ガラスへの応用が容易な点が特徴で、建物の窓などに使用すれば省エネに貢献できるという。
調光ミラー材料は、透明な状態と鏡の状態、その中間の状態に自由に制御できる薄膜材料。1996年にオランダのグループが発見した。ただ従来の材料は希少元素を使用していたり、透明時の透過率が低いなどの問題から実用性は低かった。
産総研の基礎素材研究部門環境応答機能薄膜研究グループは、マグネシウム・ニッケル系合金薄膜を使用した調光ミラー材料の改良を進めた。薄膜形成に使用される「マグネトロンスパッタ」を使用し、膜の組成や厚さ、スパッタ時のガス圧などを変えて試したところ、世界で初めて50%以上の可視光透過率を持つ材料を作成できる条件を見つけた。
同グループによると、マグネシウム・ニッケル合金は安価な上、スパッタ技術は成熟しているため大型ガラスへの応用が容易。膜の構造を調整すれば電気的に状態を変化させることも可能で、スイッチひとつで鏡−透明に切り替えるガラスが実現できる。例えば建物の窓ガラスなどに使用すれば、夏の日中は鏡状態にすることで日差しを防ぎ、冷房負荷を抑えることができるなど、省エネ効果が期待できる。
今後はさらに透過率の向上を目指すほか、耐久性を高めて実用化を目指す。
[ITmedia]
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