News:ニュース速報 2002年12月25日 08:12 PM 更新

オプトウェアがホログラフィックメディア評価システムを発売

オプトウェアは12月25日、偏向コリニアホログラフィ方式を採用したホログラム記録技術用記録メディアの評価システム「S-VRD(商品略称)」を発売すると発表した

 オプトウェアは12月25日、偏向コリニアホログラフィ方式を採用したホログラム記録技術用記録メディアの評価システム「S-VRD」を発売すると発表した。価格は標準仕様で3500万円。同社では、今後、評価機メーカー各社へのライセンス供与も予定し、国内外を合わせて年間100台、2年で200台の需要を見込んでいる。


オプトウェアが開発した偏向コリニアホログラフィー方式を採用したホログラム記録技術用記録メディアの評価システム「S-VRD」

 ホログラフィック記録技術は、信号を「ページデータ」と呼ばれるデータの“塊”で記録し、単位面積あたりの記録密度を向上させ、同時に記録/再生時の高速化を実現するというもの。CDやDVDとは異なり信号は、線の長さ(面)で記録するのではなく、深さ方向に3次元的に記録される。これを体積記録と呼び、信号を重ねて記録することも可能だ。同社では、現行のDVDサイズ(直径12センチ)のディスクで、記憶容量1テラバイト(DVDの200倍)、転送速度1Gbps(同40倍)を実現可能とする。

 また、偏向コリニアホログラフィ方式は、ホログラム記録技術の実用化に向け、オプトウェアが独自に開発した記録再生方式。同方式では、ホログラフィック記録技術においてデータの記録に使用する信号光と参照光を同軸上に配置し、1つの対物レンズでメディア上に光を照射、信号の記録を行うという点が最大の特徴。

 信号光は、実際に記録されるデータを運ぶのに利用される光で、参照光は、データをディスクのどの位置に記録するかを特定するために利用されている光である。両者が重なり合った部分が実際の信号として記録され、これを「干渉縞」と呼ぶ。これまでは、2つの光を別々の角度から照射し、データを記録することが一般的で、従来のホログラフィック記録用の光学系は複雑で大型になりがちだった。同社では、この方式を用いることで光学系の簡素・小型化に成功した。

 さらに、オプトウェア独自にサーボ系システムなどにより、ピックアップの小型化、振動を取り除くための除振装置の不要化、既存のDVDやCDとの上位互換性が、低コスト化といった実用化への課題を克服したとする。

 S-VRDは、同社の開発した偏向コリニアホログラフィ方式による2次元ページデータを記録・再生し、記録材料の特性を評価するもの。6軸制御のユニバーサルサンプルホルダーで、小片サンプルから12センチのディスク形状サンプル(オプション)まで測定可能という。また、オプトウェアオリジナルのS-VRD用ソフトウェアが付属し、これによって、システムの操作を容易にし、グラフィカルな分析を可能とする。

 評価項目は、記録パワーマージン、SNR、ヒストグラム、ビットエラー率(BER)とエラーマップ、クロストーク、チルトマージンなどで、初期操作トレーニングが提供される。ただし、使用にあたっては暗室への設置が必要となる。

 同社では、この装置の発売により、各社が製品開発に必要なデータ収集をはじめ、独自の先端技術の検証なども可能とする。



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[北川達也, ITmedia]

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