News 2003年1月6日 11:18 AM 更新

「究極の全部入り」が登場?――2003年、記録型DVD市場はこうなる(1/3)

CD-R/RWから記録型DVDへと本格的に移行を始めた記録型光ディスク市場。2003年は民生用、PC用双方で爆発的な普及が予測される。では2003年の記録型DVDのスペックや価格はどんなものになるだろうか?

 2002年の光ディスク市場は、CD-R/RWから記録型DVDへと本格的に移行を始めた1年となった。民生用DVDレコーダが上半期にヒットしたのに続き、秋以降にはPC用の記録型DVDドライブも低価格化と高機能化により火がついている。2003年には、波長405ナノメートルの青紫色レーザーを採用した次世代光ディスクレコーダも登場し、さらに脚光を浴びることになりそうだ。

AV用はHDD内蔵の製品が主流に

 民生用のレコーダ分野では、サッカーワールドカップの影響もあり、2002年上半期に記録型DVDレコーダ(HDD内蔵含む)が大ヒット商品となり、爆発的に販売台数を伸ばした。中でも、HDD内蔵のDVDレコーダが大きく販売台数を伸ばし、このタイプの製品は、秋以降も品薄傾向が続くなど、順調に販売台数を増加させている。

 HDD内蔵の製品は、実際に使ってみれば分かるが確かに便利な製品。とあるメーカーの開発担当者が取材で「HDDがなければ始まらんぞといった感じですよ」と言っていたが、まさにその通りだ。例えば、新しい番組の録画中でも、すでに録画済の番組を再生できるるなど、従来のビデオテープでは決して得られない便利さを提供し、民生用のビデオレコーダの新しい使い方を切り開いた。

 この流れは今後も止まることはない。ビデオレコーダは、HDDなどの大容量記録媒体にまず録画し、記録型DVDや次世代光ディスクなどの記録メディアに保存する、といった使い方が一般的になるだろう。昨年は、HDDを内蔵しない製品の販売台数も多かったが、2003年は、HDD内蔵の製品が主流となる可能性が高い。

 もちろん、2003年は、HDD内蔵DVDレコーダはさらに安価になる。おそらく7万円前後ぐらいまで価格を下げ、より一層普及するだろう。加えて、低価格な製品と100GB以上の大容量HDDを搭載したハイエンド向け製品の2ラインを準備するメーカーが増加するはずだ。

 また、民生用のDVDレコーダといっても、採用されている記録型ドライブは、基本的にPC用で使用されているものと同じだ。このため、HDD内蔵の製品では、DVDレコーダの記録スピードも高速化が図られる可能性が高い。HDD内蔵の製品では、おそらく、DVD-Rを使用する場合で4倍速、DVD-RWで2倍速、DVD-RAMで3倍速へと高速化されるのではないだろうか。

 もう1点、注目が集まるのが、DVD+RWレコーダの国内での販売だ。DVD+RWレコーダは、現在のところ国内では販売されていない。しかし、DVD+RWアライアンスの盟主的な存在であるPhilipsは、DVD+RWレコーダを普及させるため、昨年秋にリファレンスデザインを発表している。

 リファレンスデザインというとデザインサンプルのように思えるが、ちょっと違う。これには、記録型DVDドライブそのものが付属するだけでなく、レコーダに必要なMPEG2エンコーダや各種制御用のLSIなどまでが含まれており、事実上の“組み立てキット”なのである。これを使えば、台湾メーカーや中国メーカーなどでもDVD+RWレコーダの開発及び製造を安価にかつ短時間で行うことが可能となる。つまりOEM用のキットのようなものなのだ。

 PC用のDVD+RW/Rドライブの国内外での普及いかんによっては、このキットを使用し、国内でもDVD+RWレコーダの販売を行うメーカーもあるだろう。

秋以降に急激に立ち上がったPC用記録型DVDドライブ市場

 一方、PC用の記録型DVDドライブは、実売価格が3万円前後と低価格になっただけでなく、多機能化や記録速度の高速化など様々な要因が重なったことによって、2002年の秋から一気にブレークした。2003年の記録型DVDドライブは、現在主流のCD-R/RWドライブに代わり、いよいよ本格的な普及期に入ることになるだろう。

 ただし、しばらくの間、リテール用の記録型DVDドライブは、現在同様に品薄傾向が続く可能性が高い。これは、記録型DVDドライブを開発しているメーカーが、昨年12月末現在で松下電器産業、日立LGデータストレージ、東芝、パイオニア、ソニー、NEC、リコー、Philips、ティアックなど全部で9社しかなく、需要に対して供給が追いついていないからだ。

[北川達也, ITmedia]

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

前のページ | 1/3 | 次のページ