News 2003年1月8日 05:32 PM 更新

CD-Rの「音」を考える
“世界最高レベルのユーザー”に聞く音質向上テクニック(2/3)


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 例えば、プレクスターの最近の製品は、音質が向上するようにトレーの色を工夫したり、ドライブの電源回路部品などの見直しを行い、クロックもセラミックからクリスタルに一部変更するなどしている(プレクスターのインタビュー記事)。こと音質という点をだけ取ると、同社のドライブは高音質をうたいだした「PX-W4012TA」以降、大きく変わっている。

 ヤマハでは、オーディオマスターという機能を搭載しているが、これは、線速度(1倍速時の基準スピード)を74/80分メディアで使用されている「1.2m/sec」から、63分メディアと同じ「1.4m/sec」に上げて記録を行うという機能。

 CDでは、信号をピットと呼ばれている線の長さで記録しているため、線速度は、速いほうが当然有利で、それはダイレクトにジッタやエラーレートに効いてくる。イメージ的には、ビデオデッキの標準モードと3倍モードの画質の違いのような関係だと思えばわかりやすい。

とにかく電源を安定させることが大切!

 CD-Rドライブを作成する場合の作成環境の整備だが、森氏が勧めるのは、「ドライブの外付け」とそれに供給する「電源の安定化」だ。「CD-Rって電源を強化するだけで、随分違ってきます。ノイズだらけのPCに内蔵することは止めて、良い電源を使った外付けケースに入れ、コンセントの“極性”を合わせれば、それだけで記録品質が良くなることが多いんです」(森氏)。

 実際、電源周りは、ドライブメーカーでも音質向上のための重要なポイント。供給される電源自体が“きれい”であればあるだけ良い。一方、コンセントの極性は、どう差し込んでも機器が動作してしまうため、いい加減にされがちだが、ちゃんと極性があるので、実際に使用する場合は、それを合わせた方が良いのだ。

 さらに森氏は、安定化電源などの使用も強く勧める。

 「昔、音質がもっと良くならないかと思い、いろいろやって、これ(安定化電源)にたどり着きました。私は、AV用機器でも定評のある信濃電気製の電源装置を愛用していますが、これの効果は大きかったですよ。ただ、これは価格も高いので多くのユーザーに勧めることはできません。ですが、普通のUPSでよいのでぜひ使ってください。それでも十分効果があると思いますよ」(森氏)。


森氏が使用しているAV用として業界でも定番となっている信濃電気製電源装置

 もう1点。森氏は、多くの人が忘れがちになっている点にも注意を払っている。それは「水準器」を使用して、ドライブの設置環境を水平に保っているということ。「ドライブが傾いていると、記録時に余計な負担がかかってしまう可能性が高いんです。やっぱり、ドライブは、きちんと水平な場所に設置したほうが良いでしょう」(森氏)。


水準器を使用して水平に機器を設置するのもお約束の1つ

CD-Rは、プレスCDより音が良くなる・

 ドライブや使用環境と同様に大きな音質変化をもたらす要因の1つがCD-Rメディアだ。

 同じドライブを使用したとしても、メディアを変更するだけで大きく音質は変化する。言い換えれば、ドライブとメディアの組み合わせを変えることで、自分好みの調整を行うこともできる。さらに森氏は「CD-Rの方が市販の音楽CDよりも音が良くなることも十分ある」という。  「本当に良いメディアというのは、良いドライブと組み合わせて使用すると、プレスCDよりも光学特性、電気特性、機械特性など、すべての面で良くなるんです。言い換えると、特性が良いわけですから、プレーヤーは、再生しやすくなって音質は向上します」(森氏)。

 にわかに信じられない方もいるかと思うが、これは考えようによってはもっともな話。というのは、音楽CDは、記録されているデジタル信号自体は“全く同じ”でありがなら、さまざまな要因によって音質が変化するということが分かっているからだ。

[北川達也, ITmedia]

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