News | 2003年1月8日 04:38 PM 更新 |
森康裕氏の“光ディスク歴”は1989年から始まり、今年で何と14年目。この時点で、「あれ何かおかしくないか、数字が合わないぞ?」――と思った人は、おそらくかなりのマニアだろう。というのは、1989年には、CD-Rの規格「Orange Book PartII」はまだ策定されていないからだ。ということは、もちろん、CD-Rドライブが発売されているわけがない。
森氏の経歴が“CD-R歴”ではなく“光ディスク歴”となっている理由も、実はここにある。「私が、初めて使ったCD互換の記録ディスクは、ヤマハと富士写真フィルムが共同で開発した『プログラマブルディスクシステム(通称PDS)』というCD-Rの先祖にあたるようなものなんです」(森氏)。
PDSとは、金属溶解型の専用のディスクにレーザーを照射してダイレクトに「カッティング(信号を記録すること)」を行うシステム。「原理的にはCD-Rと似ていますが、PDSにはCD-R/RWにある案内溝(ウォブルグルーブ)がなく、多少反射率が低いことなどが大きな違いです。PDSは、ジッタの低く抑えられており、音質が良いです。もちろん、現在でも普通に再生できますよ」(森氏)。
森氏の光ディスク歴はこのPDSから始まり、CD-Rドライブ、そして現在では記録型DVDももちろん使っているという。使用機材は現在では“業者”並みだ。業務用CD-Rドライブとして現在でも標準の地位にあるソニーの「CD-W900E」をこよなく愛し、新品から中古のジャンク品まで長年収集を重ね、現在では、何と「30台を超える台数」を保有しているという。もちろん、そのほとんどが完動品だ。
また、今回見せていただいたCDW-900Eは、すべてが“独自端子”を用いてデイジーチェーン接続するという念の入れよう。実は、CDW-900Eには、最大16台のCDW-900Eを接続可能な独自端子が用意されており、これを使用してCDW-900E同士を接続することで簡単にデュプリケータとして使用することができるのだ。
実際に記録を行う場合は、マスターとなる1台のCDW-900EのみをSCSI経由でパソコンと接続し、それに対して記録を行うと、独自端子経由で接続されたすべてのCDW-900Eも同時に記録が行われる。この機能は筆者も知っていたが、実際に独自端子経由で接続されたのを見るのは初めてだった。森氏はCDW-900Eの同時書き込みの実演も行ってくれたが、12台のCDW-900Eが同時に記録を行っている様子はかなりすごい光景だった。
同氏は他のドライブの収集も行っており、現在の製品から過去の製品に至るまで、大変多くのCD-R/RWドライブを所有している。「何台位あるのか、良くわからないんですよ」と冗談交じりに言う森氏は、「黎明期に登場した名機は、当然すべて所持しています。もちろん、最近のドライブも必要があれば購入してチェックしていますよ」と話す。
実際、今回撮影はしなったが、リコー初のCD-Rドライブ「RS9200CD」や、世界初の5インチハーフハイトサイズのCD-Rドライブ、ビクターの「XR-W1001」なども森氏の部屋には置いてあった。さらに、圧巻だったのは、森氏のこれまたお気に入りドライブ、ヤマハ「CDR100」が何と20台近くも置いてあったことだ。しかも、うち15台は、5台ずつタワーケースに収められ、ボタン一発で複製が行えるデュプリケータになっていた。もちろん、完動品で現在でも現役で使用しているとのことだ。
それ以外にも高音質な音楽CDの作成が行えることで評判が高かったソニー製の「CDU948S」や「CDU921S」などもあり、信濃電気の電源装置の横には、さりげなく、プレクスターの「PX-R820T」を6台搭載したデュプリケータまであった。もちろん、品質にこだわる森氏らしく、オシロスコープやエラーチェッカーなどもあった。
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[北川達也, ITmedia]
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