News 2003年1月17日 09:23 PM 更新

“3倍ズーム&320万画素”のEXILIMを見てきました(前編)

薄型デジカメの代名詞になったカシオのEXILIMが、3倍ズーム&320万画素というスペックを手に入れた。どのようにして沈胴式の光学3倍ズームレンズが搭載できたのか。そのコンパクトなボディに搭載された最新テクノロジーとは? 開発者に聞いた

 EXILIMシリーズに、待望のズームモデル「EXILIM ZOOM」が登場した。薄型ボディが特徴のEXILIMに、どのようにして沈胴式の光学3倍ズームレンズが搭載できたのか。そのコンパクトなボディに搭載された最新テクノロジーとは? EXILIM ZOOMの企画開発を担当した同社開発本部商品企画室リーダーの渋谷敦氏に話を聞いた。


光学3倍ズームを搭載した「EXILIM ZOOM」

 カードサイズデジカメ「EXILIM」は、昨年6月の発売とともに多くのユーザーに支持されるヒット商品となり、9月には200万画素の上位モデルも登場。薄型カードサイズとともに、電源投入後にすぐ撮影できるクイックレスポンスへの評価も高く、常に携帯して日常の瞬間を切り取る“ウェアラブル・デジカメ”というジャンルを築き上げた。

 そのEXILIMが今回ズームレンズを搭載した。ズームレンズ搭載の薄型デジカメでは、ミノルタのDiMAGE Xシリーズがあり、これはプリズムで光を90度曲げてズームシステム自体をボディに収めた「屈曲光学3倍ズームレンズ」によって光学3倍ズームでは世界最薄となる20ミリという厚さを実現している。

 これに対し、同じく光学3倍ズームレンズを搭載したEXILIM ZOOM「EX-Z3」は、DiMAGE Xよりも約3ミリ増となる22.9ミリの厚さ。だが特筆すべきは、このわずかな厚みに3段沈胴式のズーム機構を備えた点だ。


わずかな厚みに3段沈胴式のズーム機構を備えた


 ペンタックスが開発したこのズームレンズ「smc(スーパーマルチコート) PENTAX LENS」によって、薄型ボディに沈胴式のズーム機構を搭載することが可能になった。その画期的なシステムとはこうだ。

 ズーム時に高解像度で歪みのない高画質な画像を得るためには、レンズ構成を多群多枚にする必要がある。「そのため従来の沈胴式ズームレンズは、沈胴時に光軸上のレンズ群の間隔をできるだけ詰めて収納するのだが、レンズ群の厚さからズーム機構の薄型化には限界があった」(渋谷氏)。


EXILIM ZOOMの企画開発を担当した同社開発本部商品企画室リーダーの渋谷敦氏

 EXILIM ZOOMが採用したsmc PENTAX LENSは、中央部のレンズ群が沈胴する時に光軸上から外れて上部に格納され、鏡筒にレンズが上下2段になって収納される。


smc PENTAX LENSの仕組み。レンズが上下2段になって収納される

 「レンズ部を正面から見ると、上部に格納されるレンズ群のスペースを確保するために、レンズが中心からずれているのがわかる。このシステムによって従来の沈胴式ズームレンズユニットが厚さ24.4ミリなのに対して、約半分の厚さとなる13.5ミリというサイズを実現した。このレンズユニットは開発当初からペンタックスと情報交換を行い、採用を検討していた」(渋谷氏)。

薄型化の秘密は、先進の高密度実装技術

 EXILIMは、CPU/ASIC/SDRAM/フラッシュメモリを一体化した同社の高密度実装技術「MCM(Multi-Chip Module)によって基板面積で従来比70%減という小型化を図り、薄型ボディを作り出していた。EXILIM ZOOMでは、この高密度実装技術をさらに駆使し、平面実装していた各チップを立体的に実装する「Stack MCM」技術を採用。MCMよりもさらなる集積化が可能となり、面積比で40%以上減らすことに成功した。


各チップを立体的に実装する「Stack MCM」技術を採用

 「平屋を2階建てに建て直したというイメージ。MCMで21ミリ角だったモジュールが、Stack MCMでは13×19ミリというコンパクトサイズになった。立体実装でも厚さは1.7ミリと従来のモジュール(2ミリ)より薄くなっており、体積的にも小さくなっている」(渋谷氏)。

 このような最新テクノロジーを結集することで、3段沈胴式ズーム/2インチ液晶ディスプレイ/光学ファインダ/フラッシュ/3Mピクセルといったデジカメのフル機能を、このサイズに収めることができたのだ。

 だが渋谷氏は、「新製品はEXILIMの後継モデルではなく、“EXILIM ZOOM”という新ブランドであることを理解してもらいたい。従来のEXILIMが進化したというわけではなく、いつでも持ち歩けるウェアラブル・カメラに“ズーム”のジャンルを作っていこうという試みで、薄型のみを追い求めたものではない」と強調する。

 それでは、EXILIM ZOOMが目指すのは、いったいどんなデジカメなのだろうか。新ブランドにかける同社の意気込みについては、「後編」で紹介したい。

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[西坂真人, ITmedia]

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