News 2003年1月17日 07:56 PM 更新

シャープ、外から家のコンテンツが楽しめるホームサーバ

シャープが、同社初のホームサーバ「パーソナルサーバー(HG−01S)」を発表。ホットスポットなどを利用して、サーバ内のビデオ映像をノートPCでストリーミング再生できるなど“外出先から家庭内のコンテンツに気軽にアクセスできる”機能を搭載した

 シャープは1月17日、ノートPC/携帯電話/PDAといったモバイル端末と連携して外出先から家庭のコンテンツにアクセスできるホームサーバ「パーソナルサーバー(HG−01S)」を発表した。2月15日から発売する。価格はオープンだが、実売は10万円前後になる見込み。


ホームサーバ「パーソナルサーバー(HG−01S)」

 パーソナルサーバーは、HDDとTVチューナー、ブロードバンドルータ/802.11b準拠の無線LANアクセスポイント機能を備え、HDDレコーダやストリーミングサーバ/ウェブサーバ/ファイルサーバなどに利用できるいわゆる“ホームサーバ”だ。802.11b準拠のワイヤレスLAN機能を備えたPCがあれば、家じゅうどこででもサーバ内の録画ビデオや放送中のTV番組を視聴できる。ワイヤレスLANに最適化した独自のビデオストリーミング技術により、コマ落ちやブロックノイズを低減した。PCでのTV/ビデオの同時視聴は最大2台まで可能。


家じゅうどこででもサーバ内の録画ビデオや放送中のTV番組をPCで視聴できる

 今回のパーソナルサーバーの“売り”は、ホットスポットなど外部のブロードバンドアクセスポイントを利用して、サーバ内のビデオ映像をノートPCでストリーミング再生できるなど“外出先から家庭内のコンテンツに気軽にアクセスできる”機能を搭載した点だ。


外出先から家庭内のコンテンツに気軽にアクセスできる

 その仕組みはこうだ。まずパーソナルサーバーにアクセスするPCは、同社独自の端末登録方式によってあらかじめ「鍵情報」を登録しておく。それをもとにアクセス時の認証を行うことで、自分や家族以外のPCからのアクセスを遮断するのだ。パーソナルサーバーには、VPN(Virtual Private Network)機能を家庭向けにカスタマイズした独自のセキュア機能が搭載されており、外出先から簡単かつ安全にアクセスできる。ダイナミックDNSサービスに対応しており、IPアドレスが固定されていない環境でも、自宅のパーソナルサーバーにワンタッチでアクセス可能。

 「128bit長の強力な暗号化が施され、プライベートデータやTV番組の録画映像などの著作権データが、オープンなネットワーク上で家庭内と同じレベルで保護される」(同社)。

 アクセス可能なPCの登録は、パーソナルサーバー1台にPCが最大5台まで。ダイナミックDNSは、シャープスペースタウンで提供する「ダイナミックDNS」サービス(無料)を利用する。

 また携帯電話を使っての録画予約も行える。独自の学習機能を搭載し、いつも見ている番組の視聴頻度や、あらかじめ選んだキーワードからおすすめ番組を表示・自動録画できる「自動学習おすすめ番組機能」を備えた。


携帯電話での予約画面

 HDDレコーダ機能は、ネット上から見たい番組を選べる電子番組表(ADAMS EPG+)や、タイムシフト再生などが利用可能。120Gバイトの大容量HDDには、MPEG-2長時間モードで最大約115時間(標準モード60時間、高画質モード30時間)の録画が行える。録画データはすべてMPEG-2形式で保存されるが、その録画データからMPEG-4データを作成することも可能。今回、本体に装備されたPCカードスロットを経由して、メモリカードにMPEG-4ファイルをコピーしてザウルスなどで楽しむデモも行われた(参考出品)。


TV番組をMPEG-4に変換して、ザウルスで視聴するデモも行われた

 また、本体にUSB端子を装備。USB接続の外付けHDDを使ってコンテンツのバックアップを行えるほか、USB接続したクレードル経由で薄型・軽量ノートPC“MURAMASA”「PC-MM1シリーズ」の内蔵HDDに直接MPEG-4データを保存することも可能。

 そのほか、携帯電話から画像の閲覧/追加ができる「公開アルバム・投稿アルバム機能」(iモード/J-SKYの画像メールに対応)や、保存したデータを設定ひとつで簡単に公開できる「ホームページ公開機能」を備えた。

ネットワークに“家族の絆”を作り出す製品

 同社副社長の新本孫宏氏は「パーソナルサーバーは、当社が今年力を入れるユビキタスアプライアンスの第1弾。この製品が家庭に入ることにより、モバイルPC/携帯電話/携帯端末を使った新しいコミュニケーションができるとともに、家庭のTVが情報端末に進化する。今後展開するユビキタスアプライアンス製品の核としていきたい」と新製品への期待を語る。

 パーソナルサーバーはVPNと独自の端末登録方式を用いることで、登録した家族のPCだけが外部からアクセスできるシステムを作った。

 「PAN(Personal Area Network)という個人のネットワークが注目されているが、パーソナルサーバーはこのPANもしくは家族(Family)を中心にしたネットワーク“FAN(Family Area Network)”で活躍する商品。VPNを使ってセキュアな環境を構築することで、インターネットという社会のオープンなネットワークの世界に“家族の絆”を作り出す。“家族”という単位の中で、完全にセキュアで安全な環境を構築するという新製品の発想は、白モノ家電のネットワーク化にも生かせる。そういった意味で将来の可能性を秘めた製品」(情報システム事業本部開発プロジェクトチーム統括の中村眞氏)。

関連リンク
▼ パーソナルサーバーのホームページ
▼ シャープ

[西坂真人, ITmedia]

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