News 2003年1月21日 03:40 PM 更新

レーベルゲートCD、22日スタート。気になるサポートは?(1/2)

1月22日から「レーベルゲートCD」の販売が始まる。初のネット認証対応コピーコントロールCDということもあり、注目しているユーザーも多いだろう。特に気になるのが、再生できなかったときのサポートだ

 ソニーミュージックエンタテインメント(以下、SME)が22日より発売を開始するレーベルゲートCDは、ネットワークを認証機能を搭載した新しいコピーコントロールCD(以下、CCCD)。すでに導入が始まっている従来のCCCDでは、音楽が記録されている第1セッションにPC上からはうまくアクセスできないような工夫が凝らされており、リッピングしてパソコンで音楽を楽しむことができないという制限があった。

 しかし、レーベルゲートCDでは、ネットワーク認証を組み合わせることでこれを解消(レーベルゲートCDのネットワーク認証方法)。PC上に複製できる楽曲が、第2セッションに用意されたビットレート132KbspのATRAC3を用いた圧縮音源であること、ハードディスク上への複製は1度目は無料だが、2度目から課金が必要となることなどの制限はあるが、PCでも音楽を楽しむことができるように考えられている。

 ネットワーク認証を組み合わせることで、従来の音楽CDとも、すでに各社が導入を始めたCCCDとも異なる新しい形のパッケージメディアの姿を模索するSMEに、その背景とサポート面について話を聞いた。

音楽の普及にはコピーも重要な要素

 「パッケージビジネスの売り上げが今減少御している。1つの要因として、カジュアルコピーや、ネットワークを含めた違法コピーの問題があります。しかし、すべてのコピーが悪いわけではありません。コピーがあったからこそ、これだけ音楽が普及したということを私たちはすごく重要視しています」(ソニーミュージックエンタテイメント 広報室 課長 井出靖氏)。

 SMEが導入するレーベルゲートCDの基本的な考え方は、井出氏が語ったこの一言に尽きる。レーベルゲートCDは、確かにCCCDの一種。しかし、第2セッションにパソコンに複製して楽しむことができる圧縮音源ファイルを用意した。

 それも、「コピー」という行為をすべて悪と決め付けるのではなく、音楽普及のために欠かせない重要な要素の1つと考えたからだ。さらに、きちんとルールを守って音楽を楽しんでいるユーザーも数多くいる。「こういった人たちを無視できない。これは、音楽文化の普及のためにも、ここを閉ざすことはありえないでしょう」(井出氏)。

 実際、レーベルゲートCDでは、パソコンへの複製が無料なのは1度だけだが、いったんパソコンのハードディスクに複製した楽曲は、NetMDやメモリースティックウォークマンなどのOpenMG対応機器に3回まで複製(チェックアウト)できる。OpenMG対応機器では、複製した楽曲をコピー元(ハードディスク)に返す(チェックイン)こともでき、そうすることで、複製回数は元に戻る。つまり、常に最大3台のOpenMG対応機器に複製を行って楽しむことができるわけである。

 とはいえ、CD-Rやインターネットの普及は、違法コピーの温床ともなりかねないことも事実。デジタルという理論上の音質劣化がないものが無差別に流通してしまうような環境は、著作権者にとっては死活問題だ。

 「もちろん、違法使用は許したくない。CD-Rへのコピーとか、ネット上のフリーなライブラリ。一歩先へ行けば無料交換できてしまうような世界が“すぐ近く”にあるような状況はなんとかしたい」(井出氏)。

 レーベルゲートCDは、コンテンツプロバイダーとしてのSMEが、認めるべき複製は認め、認めない部分は認めないためにはどうすればよいのかを考えた末に出した現状での1つの結論というわけだ。「従来のCCCDが果たしていない部分(PCに複製して音楽を楽しむこと)を何とかしたかった。レーベルゲートCDでは、そういった部分(コピーできる部分)のセキュアな音源ライブラリの構築をユーザーにしていただきたいと考えている」(井出氏)。

 もう1点、井出氏は、レーベルゲートCD導入の背景に、コピーの「実数管理」を実現したかったこともあると話す。「従来、デジタルコピーというのはMDもそうですが、世代管理しかできなかったんです。ソフトコンテンツ会社の永遠のテーマとして、コピーの実数管理をできればできればいいなというのはあって、今回、PCだけですが、いわゆるコピーが実数管理できるようになった」。

レーベルゲートCDを聞けない場合にどうするか

 CCCDを導入する場合、常に付きまとうのが、再生できなかったときにどう対処するかというユーザーサポートの問題である。

[北川達也, ITmedia]

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