News 2003年1月27日 11:14 PM 更新

東芝HDD&DVDレコーダ開発者に聞く(前編)――フラッグシップモデル「X3」は何が違うのか(1/2)

ビデオレコーダに新しい形を提案、大ヒットしている東芝の「RD-Styleシリーズ」にフラッグシップモデルが追加された。ちょっと見では従来モデルとあまり変わらないこの製品。しかし、細部には開発者のこだわりが散りばめられていた

 「12月の販売台数は単月だけみていれば、昨年比5倍以上はいっているでしょう。しかも、DVDレコーダ市場全体で、HDD&DVDレコーダという製品が80%から90%を占めていました。つまり、5人に4人ぐらいは(DVDレコーダ単体製品と比較して)実売で3万円から5万円高い商品を選んでいるんです。これは、画期的なことと言えるのではないでしょうか」。

 「HDDに録ってDVDに残す」という新しいスタイルを提案。今やHDD&DVDレコーダの代名詞ともなった「RD-Styleシリーズ」の仕掛け人的存在である東芝 デジタルメディアネットワーク社の片岡秀夫氏(映像ネットワーク事業部 DVD商品企画担当 担当主任)は、現状にこう感慨深げだ。

 中でも年末商戦に向けて発売した同社の「RD-XS30/40」は大ヒット。最近では他メーカー製を含め、このタイプの商品を総称して「RDスタイル」と呼ぶ販売店もあるという話も聞くほど。

 その同社が、このほど投入した新製品がフラッグシップモデル「RD-X3」だ。


RD-Styleのフラッグシップモデル「RD-X3」

 RD-Styleシリーズは、開発関係者の商品作りにかける“こだわり”が多くのユーザーに支持されてきた。それだけに、“フラッグシップ”でどういう製品作りをしたのかが、ユーザーにとっては気になるところだろう。

 X3はRD-XS30/40をベースに開発が進められ、基本機能はネットワーク機能を搭載したRD-XS40と同等。このためあまり変わり映えしないようにも見えるが、実際にはフラッグシップらしく、細部がブラッシュアップされている。そして、ハードウェアの開発担当者に話を聞いたところ、予想通り開発陣のこだわりが随所に散りばめられていた。


中央が東芝デジタルメディアエンジニアリング デジタルAVグループ デジタル機器開発技術担当 DVDシステム第二チーム チームマネージャー 桑原光孝氏。左は東芝 デジタルメディアネットワーク社 デジタルメディアデベロップメントセンター AV設計第四部 第一担当の須田肇氏、右は同映像ネットワーク事業部 DVD商品企画担当 担当主任片岡秀夫氏

レコーダとしての基本性能を高める

 意外なことに、元々そうした狙いがあったわけではなく、「プログレッシブだけは搭載しよう」ということで(X3の)プロジェクトは立ち上がったのだという。しかし“X型番”には「特別の思い入れがある」(ハード面の開発を担当した東芝デジタルメディアエンジニアリングのDVDシステム第二チーム チームマネージャー、桑原光孝氏)。誰彼とはなしに「X3なんだから、それだけじゃ弱い」という声が上がって、結果的に当初の予定とは異なり、こだわりきったハードウェア構成になったのだそうだ。

 そのポイントは大きく分けて2つある。1つは画質。もう1つはオーディオ(音)だ。

 まず、画質面では、RD-X3は、プログレッシブ(IP変換)をRD-Styleシリーズとしては初めて搭載している。これは当初の予定通りだが「どうせやるんだったら、安いプログレは入れたくなかった」(桑原氏)と、フラッグシップモデルにふさわしいものにするための工夫を凝らした。

 桑原氏がまず注力したのは、IP変換に使用するデバイスの選択である。「ただIP変換をやればよいということではありません。X3はまず“レコーダ”なんです。それならオンエアを中心としたビデオ系ソースが主力だろうということで、それに長けたデバイス選びをしました」(桑原氏)。

 というのも、映像ソースには大別してフィルム系とビデオ系があり、IP変換デバイスは、メーカーによる癖だけでなく、フィルム系のソースに強いもの、ビデオ系に強いものに分かれるからだ。「両方にほどほど良いものはあるが、両方とも完璧というものは、今のところ残念ながらないんです」(桑原氏)。

 そこで今回はビデオ系にウェイトを置きながら、双方のバランスを取ることを追及。「運良く、非常に優れたデバイスを入手することができました」(同氏)。

 これが決まると、次のポイントは映像用のDAコンバータ(DAC)の選択だった。DACは映像の最終的な骨格を決めると言ってもよい重要な部分。「せっかくIP変換がよくなったのだからと、その選択には悩みました。当初は54MHzという話もあったんですが、いろいろ調べて行くとコストパフォーマンスが良くない。108MHzにしてしまったほうが、もろもろの点でかなりいいものが構築できる。それも54MHzとそんなに違わないコストなんです」(桑原氏)。

 結果として採用したのは、“12bit/108MHz”の映像用DACである。108MHzの高性能DACは、現状では三菱電機が29万8000円という高級機で採用しているだけで、それ以外のメーカーでは松下電器もパイオニアも27MHzまたは54MHzのものしか採用していない。「12bit/108MHzのDACを搭載することで、X3にレコーダとして最高の再生能力を持たせることができると考えました」(同氏)。

 映像におけるRD-X3“最後のこだわり”が、“ビデオアンプ”だ。「IP変換がよくなった。ビデオエンコーダ(DAC)もいい。となれば、最後にあるのがビデオアンプ。これに何を使うかで最終的な映像が確定する」。

 デジタル機器の場合、どうしてもDACなどのスペックに話しがいきがちになる。しかし、アナログ信号を扱う機器では、アンプ回路は画質や音質を決める上で重要な要素。オーディオでどんなによいデバイスを採用していても、アンプ回路が良くなければ最終的な音質が向上しないのがよい例だ。

 もちろん見せ掛けのスペックだけを考えれば、この部分を「安くまとめることもできた」が、それだと「108MHzのDACの真価は発揮できない」(同氏)。

[北川達也, ITmedia]

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