News | 2003年2月7日 08:28 PM 更新 |
Motorolaは2月7日、携帯型デジタルオーディオ製品向けの新リファレンスデザイン/開発キットと、デジタルオーディオ向け24ビットDSPの新製品「DSP56371」を発表。同日都内で行われた発表会で、来日した同社デジタルオーディオマーケティング担当本部長のJohn Hansen氏から新製品の詳細が語られた。
発表された新リファレンスデザインは、同社のオーディオコントローラ「SCF5249」ベースで駆動。SCF5249はワンチップにDSPの音楽デコーディング機能とマイクロコントローラのシステム管理機能を搭載したもの。「従来は2個のチップに搭載されていたコンポーネントをワンチップに集約したことで、システムコストの大幅な縮小が可能となる」(Hansen氏)。
また、このリファレンスデザインでは、優れたパワーマネジメント機能を活用することが可能。「必要なパフォーマンスレベルに応じてコア作動周波数をダイナミックに変更するソフトウェアコードを高度に最適化した。従来の標準的なバッテリ寿命に比べて30%以上の長寿命化が図れる」(Hansen氏)。
CD-ROM、フラッシュメモリ、HDDなどさまざまなメディアフォーマットに対応。セットメーカーはCD/MP3/HDDなど各種プレーヤーを1つのプラットフォームで構築できるなど、柔軟な設計が行える。また、各種メディアに最適なコーデックを内蔵しているので、開発期間の短縮が図れる。
「このリファレンスデザインを利用すれば、オーディオメーカーは高付加価値な携帯型デジタルオーディオ機器を、今年度末までに魅力的な価格で店頭に並べることができる」(Hansen氏)。
CCCDにも柔軟に対応できるCDプレーヤーも可能に
このリファレンスデザインを利用して設計したシステムは、MP3/WMA /AACなどさまざまな音楽フォーマットに標準で対応することが可能。さらにこのシステムでは、ソフトウェアのアップグレードによって今後登場する新フォーマットにも柔軟に対応できるのが特徴。CDを介してソフトウェアを読み込ませることができるため、製品購入後に一般ユーザー側でアップグレード作業が行えるという。
「CDプレーヤーの中には一部のCCCD(コピーコントロール機能付きCD)が再生できないものもあるが、このリファレンスデザインで作られたCDプレーヤーは現在販売されているCCCDはほぼ再生できる。また仮に、これまでとは違うコピーコントロール技術で作られたCCCDが将来出てきたときも、ソフトウェアをアップグレードすることで再生可能になる」(同社)。
高付加価値なデジタルオーディオ機器が低コストで作れる新DSP
同社は、プロ/一般ユーザー向けのデジタルオーディオ用DSP製品群を提供している。今回発表されたDSP56371は、従来のDSP製品(5636xシリーズなど)に比べて性能が2倍に強化され、チップの実装メモリも従来比で約4倍も容量アップ。また、エンハンスド・フィルタ・コプロセッサやSPDIF受信機/送信機を追加したほか、DSPコアと周辺回路の一体化によってコンパクト化を図っている。なお、従来のDSP5636xシリーズとの互換性は維持されている。
「従来製品と互換性を維持したことで、これまで蓄積した豊富なオ−ディオライブラリや対応ソフトウェアを生かすことができ、開発コストを下げられる。また、内部メモリの容量増によって、外部メモリや高速バスも不要となった。安価なプリント基板を使えるため、コストダウンが図れるほか、チップへのメモリ内蔵化によって高速アクセスも可能になった。システム設計の簡素化とコストダウンを図れる」(Hansen氏)。
通常時の消費電力が119ミリワットと低レベルなのもDSP56371の特徴だ。駆動に数百ミリワットが要求される外部メモリ(SRAM)を使用しないのでシステムとしての節電が可能なほか、2つの低電力モードをチップに搭載することで消費電力を更に低減している。
対象となる商品はAVレシーバ/ホームシアター/サラウンドデコーダ/ミニコンポ/デジタルTV/カーオーディオなど。Dolby Digital、DTS(Digital Theater Systems)、DTS-ES(マトリックスおよびディスクリート)、DTS 96/24、AAC Multichannelなど、業界標準のデコーダ規格をサポートしている。
「中国などアジアメーカーの台頭で、国内セットメーカーは厳しい価格競争を強いられている。今回の新製品は“普及クラスでも高付加価値を”と切望するメーカーにとって、最適なソリューション」(Hansen氏)。
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[西坂真人, ITmedia]
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