News | 2003年2月18日 10:42 PM 更新 |
2月18日から開催している組込み開発者向けカンファレンス「The Microsoft Windows Embedded Developers Conference 2003 Japan」では、日本初公開のMedia2Go以外にもさまざまなWindows CE.NET搭載の組み込み機器が紹介されている。
インテル通信事業本部長の高橋恒雄氏が午前中のセッションで披露したのが、Intel PCA(Intel Personal Internet Client Architecture)に基づく「Windows Powered Smartphone」のコンセプトデザイン。仏カンヌで開催されている携帯電話関連の展示会「3GSM World Congress 2003」で、2月17日(現地時間)に発表されたものだ(別記事を参照)。
「IntelのXScaleコアプロセッサPXA262を搭載し、OSにはMicrosoftのSmartphoneを使っている。われわれは携帯向けに、“PCAビルディングブロック”を提唱している。これは、コンピューティングエンジン、コミュニケーションエンジン、メモリという3つのビルディングブロックがあれば、携帯電話が出来上がるというアーキテクチャ。開発が容易なため、PCAを進めていけばいろんなベンダーが参加できる」。
「PCAで重要なファクタは4つの“M”で表される。それは、性能を表す“Mips値”、低消費電力を示す“milliwatt(ミリワット)”、小さくパッケージングするという“立方millimeter(ミリメートル)”、そして大容量メモリの“Mbit(メガビット)”だ。MipsとMbitを合わせた“2M”をmilliwattとmillimeterを合わせた“2m”で割り算した数値を高くすることが、PCAにおける性能向上の指標となる」(高橋氏)。
IntelとMicrosoftの共同開発で生まれたこの“Wintelケータイ”は、GSM/GPRS方式に対応。176×220ピクセルのカラーディスプレイを備え、カメラも内蔵。連続通話5時間、連続待受時間72時間を実現した。2003年後半に出荷を予定している。
キーボード付きPDA型スマートフォンも“Wintel”
展示会場でも、独創的な提案が目立つのはXScaleとWindows CE.NETの組み合わせ。中でも目を引いたのが、bSQUAREが展示していたキーボード付きPDA型スマートフォンの試作機だ。XScaleコアプロセッサPXA250とWindows CE.NETを搭載している。
GSM/GPRS方式に対応し、VGA(640×480ピクセル)の液晶ディスプレイを備える。画面が大きいため、GUIもPCライクになっているのが特徴。ウェブ閲覧やメール送受信、スケジュール管理などPDA的な使い勝手の良さが売りのスマートフォンだ。
これは同社のWindows CE.NET総合開発ツール「スマートビルドディベロップメントパッケージ」を使った組込みマシンの実例として作られたものだが、その完成度の高さから「このままのスタイルで製品化を検討したいというメーカーが数社ある」(同社)という。
PDA型翻訳機やVGAサイズのMedia2Goも
非Intelプロセッサでも、ユニークな提案を発見。AMDブースで紹介していた音声通訳ソリューションがそれだ。昨年2月にAMDが買収したAlchemy Semiconductorの省電力ハイパフォーマンス組み込みプロセッサ「Au1100」を使っている。
これはNECが昨年12月に発表した組み込み機器向け日英通訳ソフトを利用したもの。今回展示していたのは開発ボードに載った評価キットだが、製品化の際にはPDAサイズで収まるという。
「省電力で高速なAlchemyプロセッサによって、瞬時に翻訳する音声認識スピードを持ちながら、通常のPDAよりも長いバッテリ駆動時間が可能になる。現在NECとともに、さまざまな企業にアプローチしているところ。話がまとまれば、年内にもPDAタイプの音声翻訳機が登場する」(同社)。
また、Media2Goのリファレンスデザインも展示していた。XScaleベースのMedia2GoはQVGA(320×240ピクセル)だったが、Au1500を搭載したAMD製Media2Goは、VGA(640×480ピクセル)でなめらかな動画再生を行い、処理速度の速さをアピールしていた。
[西坂真人, ITmedia]
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