News 2003年2月19日 09:05 PM 更新

Centrino搭載ノートはどうなるか――IDF展示会場レポート

IDF展示会場では、東芝、Samsung、FICなど3月発売予定のCentrino搭載機が展示されている。このうち生粋のモバイル機として注目される東芝の試作機を詳しく紹介しよう

 「Intel Developer Forum 2003」の展示会場には、3月中旬の発表を控えるCentrinoマシンが数台並んだ。FICやSamsungの製品など、日本ではそのままのブランドで登場しないものも多かったが、お馴染みとなった東芝Dynabook SSベースの試作機も並んでいる。これらのうち、Samsungと東芝の製品は、日本でも展示機に近い形でリリースされることになるだろう。


 中でも生粋のモバイル機として注目される東芝の試作機を詳しく紹介したい。

 東芝のCentrinoマシンは、前回のIDFでもかなり細かな内容が公開されていたが、今回は自由に触れることができたため、より詳しい内容がわかってきた。

 まず内蔵無線LANは、かねてから噂されているとおり、デュアルバンドから802.11bのみのシングルバンド版へと変更されていた。

 Intel PRO/Wirelessチップの802.11a部分にバグがあり、今年後半にならなければデュアルバンドをサポートできないと言われている。ところがCentrinoはPentium-Mとの組み合わせでなければ成立しない、システムプラットフォームのブランドであるため、802.11aの機能を殺したシングルバンド版が用意されたわけだ。昨年9月の段階では、同じきょう体にデュアルバンドチップが搭載されていた。

 また試作機に搭載されているプロセッサは800MHz版。超低電圧版Pentium-Mは900MHzからスタートするはずだが、試作機だから800MHzなのか、それともデグレードした低価格版として800MHzが存在するのかは現時点ではわからない。

 さらにDynabook SSベースの機種は、利用できる基板面積の狭さから、当初はグラフィック機能内蔵チップセットが採用されるのでは、と思われていたが、現時点ではグラフィックチップのドライバとしてProSavage/IXC用が組み込まれており、外付けチップである可能性が高まってきた。Intelは当初、超低電圧版はグラフィック機能内蔵のチップセットと組み合わせる予定だったが、その後、超低電圧版とOdemチップセットの組み合わせもサポートするように変更された。あるいはそのことと、何らかの関係があるのかもしれない。

 なお、Centrinoの名称はPentium-Mと専用チップセット、それにIntel製の無線LANチップを組み合わせた製品のブランド名だ。このため、デュアルバンドを当初から採用する場合はCentrinoの名前を使うことができない。

 もちろん、Centrinoの名称を使わなければ、他社の無線LANチップも採用できるが、CentrinoではないPentium-M搭載機は、“Intel inside”プログラム(Intel CPU搭載PCの広告費のうち半分をIntelが負担するプログラム)でPCベンダーに支給される金額が大幅に減ってしまうのだ。

 加えてPentium-Mと対応チップセット、それに無線LANチップをすべてセットで注文すると、無線LANチップを相場の半額で購入できる特典もある。このため、Pentium-M採用機の多くはIntel製の無線LANチップを採用することになるだろう。

 これらを勘案して、さらにIntel製無線LANチップを購入する人がいるとは考えにくいからだ。デュアルバンド無線LANの内蔵は、まだ先の話になるのかもしれない。


東芝 Satellite Pro


Samsung製品


FICのデモ機



関連記事
▼ 東芝Dynabookに見るBanias搭載機
IDF会場で唯一、動作しなかった東芝製のBanias搭載機。しかし、単にバッテリが充電されていなかっただけのようだ。東芝の開発担当者により詳しい話を聞くことができたのでレポートしよう

▼ IBM、松下、東芝……IDFで展示された各社のBanias試作機
IDFでは主要なノートPCメーカーがBanias搭載の試作機を展示した。写真を中心にこれらのマシンを紹介しよう


関連リンク
▼ 特集:Intel Developer Forum Spring 2003

[本田雅一, ITmedia]

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.