News:ニュース速報 2003年2月21日 09:30 PM 更新

CESAリポートで読むオンナの本音


 ゲームソフトメーカーで構成するコンピュータエンターテインメント協会(CESA)がこのほどまとめた「2003CESAレディース調査報告書」。「女性の半数以上はゲームで遊ぶ気がない」などといった結果が話題になったが、詳細に読むとさまざまな年代の女性の本音も見えてくる。

 今、一番ほしいものは?──「ケータイでんわ。魔法を使えるようになりたい。ゲームセンターを一日中やっていたい」(6−12歳)、「自分が満足できる職業が見つかり、かつやりがいが持てるような職業に就きたい」(19−22歳)、「平和な世界(子どもたちを救いたい)」(50−59歳)、「扱いが簡単なパソコン」(60歳以上)。

 同報告書は、「キッズ」「シニア」とCESAが取り組んできた属性調査の第3弾。新需要の開拓に役立てるのが狙いで、首都圏と京阪神地域に住む6歳以上の一般世帯女性(有効回答500サンプル)にゲームについて聞いた。

 報告から分かったのは「女性の現ゲーム参加者は15.6%」「ゲームをやらない理由は『目が疲れる・視力が悪くなりそう』『ゲームの面白さが理解できない』」、「遊んでみたいゲームのイメージは『教養目的のもの』『勇気づけられるもの』」──。女性が「ゲーム業界でもっとも攻略が難しいとされる属性」(CESA)という現状が浮かび上がる。

 もともと同報告書は、ゲーム制作者側が圧倒的に男性が多かったため、これまで女性のニーズを十分には汲み上げてこなかったという反省も込められている。そのため報告書では、ゲームに関する設問に加え、女性の一般的な意識やライフスタイルを探る自由記述も掲載している。「今、一番ほしいものは?」もその1つだ。

「オトコって……」

 中でも「異性に対する思いは?」は興味深い。「ガキくさい」(6−12歳)、「結構みな子どもっぽい」(19−22歳)といった耳が痛い意見から「うんこやるときに、すぐ、わかるから、かわいそう」(6−12歳)は確かに当時記者もそう思った(東陶機器のニュースリリース)。さらには「メールを送っても返事が遅いことが多い気がする」(19−22歳)。

 男性優位な社会への意見がもっとも多い。「女でよかった☆」(23−29歳)という意見は少数で、「色んな意味で、まだまだ男性優位」(同)、「私も男性に生まれたかった。まだまだ男性優位な社会だと思う」(40−49歳)、「女性を下に見ているような言動など、時々感じます」(50−59歳)と不満は強い。

 ただ若年層が男性を比較的“突き放した目”で見ているのに対し、中高年層の“恨み”は根深いようで、意見もきつい内容が目立つ。「女は弱いと思っている、また、自分よりダメだと思っている男性、それは間違い、女性は本当は強いのだよ。力弱くみせてふるまっているだけだよ。そんなこと見抜けない男性がまだまだいっぱいいる」(50−59歳)、「現代の日本男性は甘ったれの人が多い、妻を家来と思っている男が多い」(60歳以上)、「日本の男性はダメ」(同)。

好みの細分化で行き詰まる「送り手優位」

 レポートでは、読売新聞の山畑洋二記者による「送り手と受け手の、そして男と女のアンバランスが目立つ」とする分析も掲載。送り手側が圧倒的に男性中心だったこれまでを振り返り、好みの多様化で受け手側も細分化している現在では「従来の送り手主体は行き詰まっている」と論じている。「万人受けする無難さ」はこうしたニーズに対応できないというわけだ。

 例えば女性向けゲームといっても「ハンサムな男性に囲まれた学園のヒロイン、お姫様が登場するだけではニーズをカバーできない」(山畑記者)。20代のOLをねらった育成型玩具がターゲット層にはヒットせず、想定していなかった中高年層に受け入れられた、という例もある。男性側のステレオタイプと半端なマーケティングに基づく見え透いた商品ではダメ、ということのようだ。

 従って、「シニアの女性をターゲットにしたゲーム」の企画が、「一人暮らしのお年寄りが、孫を名乗る13人の美少年な孫と突然同居することになり、『おばあちゃん』『おばば』『ばばさま』などと呼ばれつつ、好みの孫と思いを遂げるのだ、タイトルはずばり『孫王子』」というような内容だった場合、これは確実に、ハズれるだろうな……。

 レポートはA4判76ページ。通信販売、全国の政府刊行物サービス・センター、書籍通販サイト「専門書の杜」で販売する。5250円。同時に「CESAネットユーザー調査報告書・第五集」(A4判、69ページ、5250円)も刊行した。

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