News 2003年2月26日 00:01 AM 更新

プラスとマイナスのシェアはどうなった?――最新光ディスク市場分析(1/2)

日立マクセルが開催したプレス向けセミナーで、光ディスク専門の市場調査会社によるDVD市場の動向分析が報告された。プラスとマイナスのシェアの推移や今後の市場の見通しなど、気になるその結果は……

 現在の日本国内の記録型DVD市場は、民生用のDVDレコーダ(HDD内蔵を含む)だけでなくPC用のリテールドライブも品薄傾向が続くなどまさに“絶好調”。日立マクセルの「最新DVDプレスセミナー」で行われた光ディスク市場専門の市場調査会社「ふじわらロスチャイルドリミテッド」の藤原貞利氏の講演でも、「2002年は下期になって急激に伸びた」という。


講演を行った光ディスク市場専門の市場調査会社「ふじわらロスチャイルドリミテッド」の藤原貞利氏

DVD+RWがシェアを急拡大中――PC用記録型ドライブ

 藤原氏によるとPC用の記録型DVDドライブの生産実績は、昨年トータルで520万台。前年比で3倍ほどの伸びを示している。「特に下期に急激に伸びた」(藤原氏)。この結果を藤原氏は、「昨年あたりから、富士通やNEC、ソニーなどの日本メーカーだけでなく、Dell、Hewlett-Packardなどの海外メーカーが積極的に採用を開始した結果」と分析する。


昨年大幅に普及した記録型DVDの市場動向

 各フォーマットごとの2002年度のシェアは、PC用のドライブが「DVD-RAMが約16%、DVD-RWが約47%、DVD+RWが約37%。「欧米市場でDVD+RWフォーマットが急進中」(藤原氏)で、この調子でいけば「半分にいっても不思議ではない」。

 この躍進について藤原氏は、特にDellの採用の影響が大きいと言う。一方、DVD-RAMについては、「当初はAppleの採用もあって圧倒的だったが、そのAppleがDVD-RWを搭載し、DVD-RWが主役になった」。加えて「カートリッジ入り=高価という印象が、マイナスイメージを与えた」と分析している。


昨年度のフォーマット別シェア。DVD+RWが急速に増加している。

 2003年度の記録型DVDの開発動向についても藤原氏は触れ、「マルチフォーマット化」、「高速化」、「スリムドライブ」、「低価格化」の4つを挙げる。中でもマルチフォーマット化の進展が著しく、従来からあるDVD-Multi(DVD-RAM/R/RW対応ドライブ)、Dual RW DVD(DVD(DVD-R/RW/+R/+RW対応ドライブ)に加え、Super Multi(DVD-RAM/R/RW/+R/+RWすべてに対応したドライブ)も登場するという。

 また、「年末には追記型DVDは8倍速へと高速化」し、「9.5ミリのウルトラスリムドライブも登場する」。OEM価格も現在の150ドルから100ドルへとより低価格になるのではないかと予測する。

DVD-RAMが圧勝――民生用ドライブ

 民生用分野もPC同様に2002年度は大幅に市場を伸ばした、トータル生産台数は170万台で、PC用と同様に下期に大幅に市場を拡大している。ただし、こちらは現在のところ「市場の80%は日本国内。海外ではまだそれほど立ち上がっていない」(藤原氏)。さらに民生用のこの市場では、「HDDとのハイブリッド型の製品に人気が集まっているのが特徴。お互いに相手の欠けている部分を補った点が受けている」と藤原氏は話す。

 民生用の2002年度の記録型DVDのシェアは、DVD+RWが15.4%、DVD-RWが15.5%、DVD-RAMが69%とDVD-RAMが圧倒的。特にドライブとしてみた場合は、東芝製DVDレコーダでも採用されている松下電器産業製の組み込みドライブが圧倒的という。ただし、パイオニアが昨年第4四半期より急速にシェアを挽回中で、年末のみならトップシェア。DVD+RW陣営も仲間作りを行っており、巻き返し策を展開中という。

 藤原氏は、記録型DVD市場が2002年に大幅に伸びた理由を「マルチメディアPCアプリケーションの進展」、「PC差別化の手段」、「再生インフラの進展」、テープからディスク、つまり「アナログよりはデジタルへ」という世界的な流れの4つを挙げる。

[北川達也, ITmedia]

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