News 2003年2月28日 09:49 PM 更新

パフォーマンスは良好も、依然ぬぐえぬ不安――「Centrinoテクノロジ」プレス向け事前セミナー開催(1/2)

インテルは日本のプレス向けに「インテルCentrino モバイル・テクノロジ」事前説明会を開催した。3月に発表予定のCentrinoに関するマーケットポジショニングとロードマップ、技術情報、評価と検証プログラムについての説明が行われた

 クロックを上げるとバッテリーを消費する。クロックを下げればバッテリーは持つ。従来のモバイル向けCPUは常にこの問題のトレードオフを探って開発されてきた。

 これまでは「忙しいときはパフォーマンス優先、暇なときはバッテリー優先」とCPUのモードを切り替える「SpeedStepテクノロジー」の実装が主流で、ハードウェアアーキテクチャはデスクトップ用CPUのそれとほとんど同じである。

 Centrinoで使われるPentium-Mは、ハードウェア構成から見直して新しく設計された新アーキテクチャCPU。その特徴は「効率の高いアーキテクチャによって、低いクロックでも高いパフォーマンスを発揮する」ことにある。

 この効率の高いアーキテクチャを可能にしているのが「アドバンスト分岐予測」「専用スタックマネージャ」「1MB省電力L2キャッシュ」「400MHz省電力システムバス」である(9月11日記事参照)。


Pentium-Mコアの拡大写真に示された内部モジュール配置とその役割


アドバンスド分岐予測の例として紹介された「ベテランのタクシー配車担当」モデル。ベテランの配車担当は過去の経験に基づいて効率のよい配車計画を行う


マイクロOpsフュージョンの例として紹介された「乗り合いタクシー」モデル。1人1人が1台のタクシーを使うより、(同じ目的地なら)いっしょに1台のタクシーに乗ったほうが待ち時間は減る


「専用スタックマネージャ」(米国ではDedicated Stack Managerと呼ばれていたもの)の例として紹介された「ETC導入済み高速道路」モデル。料金所で支払うレーンが従来のアーキテクチャで、ETC(これが料金支払い専用ハードウェア)を通過するだけで、すばやく通過できる


400MHz省電力システムバスの例として紹介されていた「車が通過するときだけ点灯する街灯」モデル。要は使うときだけ電力を消費する仕掛けである


1MBもの大容量L2キャッシュを搭載し、処理効率を高め省電力化を測るとしている。容量の多いモジュールではかえって電力消費が増えそうだが、「漏れ電流を抑えた回路設計」によって省電力化を実現している

 また、今回実装される「拡張版Intel SpeedStepテクノロジ」は、従来2ステップしか用意されていなかったクロック/駆動電圧モードに対して、より多くのモードを用意することで、負荷に合わせたきめ細かい電力消費管理を行うものだ。今回の説明で明らかになった各モードのステップ間隔は200MHz刻み。一番下のクロック(600MHz)から200MHzずつ増えていくという。なお、最高クロック900MHz、1.30GHz、1.50GHzのPentum-Mでは最後のステップが100MHzとなる。

日本でも進む「Centrino」インフラの構築

 パフォーマンスに目が向きがちなCentrinoブランドプロジェクトだが、モバイルコンピューティングを便利にするための「インフラ整備」も、その目標とされている。このため、インテルは膨大なコストとリソースを費やして、動作検証作業や無線LANアクセス環境の整備を行っている。検証作業については、無線LANを抱合するためにセキュリティ検証やサードパーティ製品検証もインテルが行うなど、その作業量は従来のモバイル向けソリューション開発と比べ非常に増加している。

[長浜和也, ITmedia]

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